表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: のえるん
3/4

3

中学3年生になって急に進路という言葉が自分にのしかかってきた、それが夏休み明けから拍車がかかった。

今日は高校の先生が「学校説明会」をしに来校するらしい。

蒼汰は公立の小学校から公立中学校へ進学している。その際に私立の中学校へ進学したクラスメイトもいたがごく数人だった。まだこのメンバーで学ぶような気がしているが現実は違う。中学を卒業したら皆、それぞれの道に進むのだ。

蒼汰は浮かない顔をしていた。もう秋だと言うのにまだ志望校が決まってないのだ。気後れしている蒼汰を尻目に志望校を決めたとクラスメイトが言っていた。


体育館に3年生が招集された。体育座りという膝を抱える体勢で今から近隣の3校の学校説明会を聞くことになっている。

頭ではわかっていながらも志望校を決められず蒼汰は焦っていた。

蒼汰も夏休みは遊んでいたわけではない、2校程説明会に参加し、週3回の塾に加え夏期講習もこなしてきた。学力も少しは上がったと思っているが、まだ課題は残っている。


学校説明会が始まった。最初の2校は年配の人で聞いていて夢の世界へ行きそうになるのを堪えていた。

さて、ラスト耐えたら下校だと気合いを入れ直したら生徒の前に置かれているマイクに向かって颯爽と歩いている男性が見えた。

女子から悲鳴が上がり、男子からはどよめきが微かに聞こえた。ブルーのスーツを身にまとい、パステルイエローのネクタイが初々しさを演出している。フレッシュマン向けのスーツのCMから抜け出たような人がそこにいた。

「桜ヶ丘中学校の皆さん、はじめまして。修栄高校の渡辺です。今日は本校に少しでも興味を持って頂きたくやって来ました。よろしくお願いします。」

笑顔が眩しい、少し浅黒い顔から白い歯がこぼれている。横の女子がウキウキしているのがよく分かる、これが目がハートになるってことか。そんな状況と知ってか知らずか、渡辺は事前に配られたパンフレットを手に話し始めた。

ハッキリとした聞きやすいスピードで話す渡辺はさすが教師といったところだろうか、比較してはいけないがさっきの2人とは違ってスっと耳に入った。

修栄高校はレベル的には真ん中よりやや低いいちにあり進学校ではない、しかし資格取得に向けて特別授業をしたり、夏休みには四年制大学進学にむけての特別講義を開催しているらしい。また、部活にも力を入れているそうだ。

自分はテニス部の顧問だと付け加え興味のある人はぜひ本校へと締めくくった。


結局どこもピンと来なかった。早く帰ろう、今日は塾だしその前に腹ごしらえもしたいし、YouTubeもみたい。今日は蒼汰の登録しているチャンネルの更新日だ。

蒼汰は帰りの学活が終わるやいなや、昇降口にかけ降りた。

靴を履きながら外に出ると、ちょうど職員玄関でさっきのイケメンとうちの教頭が話をしていた。

「それでは、本日はありがとうございました。」なんて会話が聞こえてきた。

ふと、イケメンと目が合った。

「なぁ、さっきつまんなさそうな顔してたよなぁ?」

蒼汰は周囲を見渡すが誰もいない。

「高校生活、面白くさせてみせるから、うちに来ないか?」

「へっ?」間抜けな声が出てしまった。生徒は100人近くいたのに俺の事覚えてたのかと驚いた。

「君、名前は?」と聞かれたが、混乱していて返事が出来ずにいたが、教頭のわざとらしい咳払いで我に返った。

「、、、鈴木蒼汰」声が裏返ってしまった。

「スズキソウタか、覚えとく。4月待ってるから」

そう言って眩しい笑顔を向けてきた。

立ち尽くす蒼汰をそのままに華麗に車に乗り込み颯爽と去っていった。

残された教頭にもっとハッキリ受け答えをするように指導されたが、蒼汰は上の空で車を見送っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ