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053:旧友との決裂

 離反したガルマを討伐するべく、クレインはガルマの居城を包囲していた。

 そこに伝令兵がやってくる。



「報告します! ただいまレゴラスさまが……」


「おぉ! レゴラス殿は到着したか!」


「い いえ! それが……」


「何をモゴモゴ喋っているのだ!」



 伝令兵がレゴラスの名前を出すと、クレインは援軍として到着してくれたかと言う。

 だが伝令兵の顔は暗く、口もモゴモゴ喋っている。

 これにクレインは、何をモゴモゴ喋っているのかと注意して、何がどうしたのかと聞く。

 それに伝令兵は覚悟したかのように大きな声で叫ぶ。



「レゴラスさま、謀反にございます!」


「な なにぃ!? こんな時に謀反だと!?」


「レゴラスさまは居城を出陣後、プトレー州内にあるクレインさま派の城を攻撃しております! そして既に4つの城と、ノール島まで占領されたとのこと!」


「もう既に4つの城を落としただと!? しかもノール島まで占領しているとは……」



 レゴラスは出陣した日に、クレイン派の城を4つも落としたのである。

 それだけじゃなくプトレー州の沖合にあるノール島までも占領する事に成功していた。

 この事にクレインは大きく動揺する。

 レゴラスとは旧知の中だったので、まさか謀反を起こすとは思っていなかったのだ。

 この事態をどうするべきかと頭を悩ませる。



「それでレゴラスは、今なにをしている?」


「ノール島及びノール湾の諸城と水軍の守りを固めているとの事です」


「もうこちらに来る気は無いんだな……」


「どういたしますか?」


「ルテラキを呼んでこい」



 レゴラスはノール島からノール湾の諸城に加え、水軍の守りを固めている。

 これで完全に戦闘態勢を見せる。

 もう戻る気は無いと悟ったクレインは、武功を何度も挙げ深い信頼を寄せる《ルテラキ=プラタニア》を呼ぶのである。



「お呼びでしょうか?」


「ルテラキよ、直ちにプトレー州に向かえ」


「プトレー州ですか? どうしてプトレー州に?」


「レゴラスが謀反を起こした、もう既に何個も城を落としている。これ以上の猶予は与えられん」


「なっ!? レゴラス殿が……そうですか」



 どうしてプトレー州に行くのかと疑問を持つ。

 クレインの口からレゴラスが、謀反を起こしたと聞いて驚愕するのである。

 謀反を起こすとは思っておらず、少し言葉を失う。



「プトレー州への出陣、承知いたしました! それでレゴラス殿は捕縛でしょうか? それとも討ち取っても宜しいでしょうか?」


「もうこうなったら討伐せねば示しがつかん。それでルテラキは、兵士はどれだけ欲しい?」


「4000……いや! 5000程いただければ、見事に打ち倒して見せます!」


「5000か……3000でやってみろ!」


「さ 3000ですか……分かりました!」



 レゴラスを討ち取って良いかを確認した上で、どれだけの兵士が必要かとクレインは聞く。

 その質問に一瞬4000と低く見積もった上で、それでは無理だと思って5000に変更した。

 しかしクレインは3000でやってみろと言う。

 これには「5000か!?」と思った。

 それでもやらなければいけないと思ったルテラキは、クレインが言うように3000にする事にした。



「ガルマの方は、どういたしましょうか?」


「もはやガルマ如き小者に構っていられるほど、ワシらも暇では無いだろ。直ちに使者を送り和睦をしろ、そして兵を整えてからルテラキの後を追う」


「承知いたしました!」



 ガルマについては籠城された場合、今よりも遥かに時間がかかってしまうので和睦を持ちかける事にした。

 もう兵糧が尽きかけており、応じざるを得なかった。


 9月2日。

 レゴラス軍はノール島の対岸にある海に面した海城に布陣するのである。

 その本陣に伝令を取りまとめる兵士がやって来る。



「失礼します! クレインが率いる7000の兵が、サルゲイ山に布陣いたしました!」


「遂にやって来たか」



 この時クレインが布陣したと誤報が、レゴラス軍の本陣に伝わってしまった。

 それだけじゃなくルテラキは、クレインから貰った3000の兵に、途中でレゴラスに不満がある一揆の兵4000を加えた7000に膨れ上がっていた。



「向こうは7000か……まともに戦ったところで、こちらの勝利は厳しいか」


「どういたしましょうか?」


「確かガルマは和睦をしたんだったな? ガルマとヘイデンに手紙を送れ!」



 7000人の敵兵に対し、レゴラス軍は3000人であり、まともに戦ったら勝算は薄い。

 その為レゴラスは、ある作戦を考えた。

 それは和睦をし解放されたガルマと、レゴラスの三男である《ヘイデン=ロッターン》に手紙を送った。

 これはレゴラス軍本隊が西方から、ガルマ軍が南方から、ヘイデン軍が北方から包囲する作戦を取る。



「急報、急報っ! 北方並びに南方から、新手の軍が現れました!」


「なに!? どこの軍だ!」


「ガルマ軍とヘイデン軍との事です! その数4000に上り、レゴラス軍と合わせれば7000になります」


「良い分か……仕方あるまい! このまま三方に兵を分け、戦うしか道は無かろう!」



 自分たちの方が数で上回っていたと思っていたルテラキだったが、ここに来て良い分になったのを内心では焦る。

 しかしここに来て逃げるわけにもいかないので、軍を三方に振り分けて戦う事を決意する。


 早朝レゴラス軍は隊列を組んだ。

 そして8時を回ったところで、レゴラス軍はルテラキ軍に向かって突撃を開始した。

 これに合わせルテラキ軍も突撃を開始する。



「陣形を意識しながら戦え! 形を無視すれば、包囲網の意味が無くなってしまう!」


『うぉおおお!!!!』



 レゴラスは本軍に陣形を意識するように指示を出す、これはガルマ軍とヘイデン軍との包囲網を保つ為だ。

 包囲されていると思ったルテラキ軍は、焦りと恐怖から戦い方が次第に雑になる。

 この隙をレゴラスは見逃さない。

 ここがチャンスと言わんばかりに全軍突撃を行った。



「ルテラキさま! 三方ともに前線が突破され、戦線ば崩壊いたしました!」


「なに!? このままでは全滅必死か……全軍撤退させ立て直す! クレインさまが来てくだされば、我らの勝利は確実。それまで全滅するわけにはいかない!」



 軍を任されているルテラキは、このまま全滅させるわけにはいかないと考え、この場から撤退し軍を整えようとした。

 だが残念ながらヘイデンが先頭を切って向かって来るヘイデン軍が、ルテラキ軍本陣に向かって来ていた。

 それに焦ったルテラキは、ヘイデン軍に背を向け敗走を開始する。

 しかしそれは長くは続かなかった。

 背に落ち着かれたルテラキ軍は、ヘイデン軍に徹底的に討ち取られた。

 もちろんルテラキもである。



「父上、ルテラキの首にございます。どうぞ、お納め下さい」


「おぉ見事に討ち取ったか! 素晴らしいな、お主とガルマには戦いが終わり次第、褒美を渡そう!」


「はは! ありがたき幸せ!」



 ルテラキの首を目にしたレゴラスは、とても喜んでいたという。

 そしてルテラキの首は、クレイン派の陣へと送り届けられる事となった。

 これにてレゴラス軍とクレイン軍の前哨戦が終わる。

挿絵(By みてみん)

⑪ネストラ州

⑫プトレー州

⑬トーマ州

⑭セスタンリ州


挿絵(By みてみん)

プトレー州図

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