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プロローグ

 俺の人生は平凡だ。

 それも超が付くくらいの。

 普通の小学校と中学校を出て、なんて事の無い普通の高校を卒業し、普通よりも下の大学に進学した。

 そしてややブラックの企業に就職して、年収350万で毎日のように残業をしていた。

 もちろん残業代は出ない。


 普通ならば生きていく希望なんて無くなるだろう。

 そりゃあ俺だって、もちろん疲れている。

 しかし俺には唯一の楽しみがある。

 それは……。

 歴史を浴びるように見る事だ。

 俺は自他共に認める歴史オタクなのである。



「ふふふ……楽しみにしてた歴史書が、ようやく手に入ったぞぉ〜。早く家に帰って読みたいよぉ〜」



 この日もなかなか手に入らなかった歴史書が、ようやく手に入ってルンルン気分だった。

 こういう時は仕事もビックリするくらい捗る。

 いつもより1時間も早く仕事を終えて家に帰る。

 シャワーを浴びて、適当に食事をして、全てが整ったところで歴史書を開いた。

 俺は目をキラキラさせながらページを捲っていく。

 仕事ならば、こんなに紙は捲れない。



「おぉ! この説は初めてだぁ……こんな考え方があったのかぁ!」



 俺は寝るのを忘れて歴史書に齧り付いていた。

 気がついたらスズメが鳴いていて、もう会社に行かないとダメな時間になっている事に気がつく。

 急いで着替えて家を飛び出す。

 遅刻したら強制的に、終電まで残されてしまう。

 そんな事になったら、家に帰って歴史書を見る時間が削られてしまう。

 だから俺は必死に走った。

 睡眠をとっていなかったのがダメだったのだろうか。

 俺の足元がフラついて、車道に倒れ込んでしまった。



「あっ……これはヤバい奴だ」



 目の前にトラックが来ていた。

 瞬間的に俺は、これは死ぬ奴だと思った。

 こんなつまらない人生を送るくらいなら、いっそ戦国時代にでも生まれたかったと強く考えた。

 するとどこからか、女性の声で「その願い、叶えて差し上げましょう」という声が聞こえて来た。

 何なのかと思って目を瞑る。

 そしてパチッと目を開いたら、見慣れない天井が目の前に広がっていたのである。

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