移動と脅威
もう戻れない。
場所を変えてまたやり直し。
少しずつ着実に脱出まで生きよう。
「あっ、君の名前知れてなかったよね」
「ゼー…ハー…なんれすか……?」
「あー…休もうか。」
建物の窓を割って侵入する。
「お、これまだ食えるな…」
メロンを手に取り切って渡す
「んで、なんて名前なの?」
彼女はメロンを食べながら
「…まゆ、涼宮まゆだよ」
「へぇ…いい名前じゃ」
「でも、由来は分かんない…教えてもくれない…話すことだって…うっ…」
泣き出す彼女へどう接すればいいか分からない。
「ご、ごめん…大丈夫?」
「う、うん…だい……じょうぶ…」
その日は少しの間建物で休んだ。
もちろん、彼女とは少し離れた場所でだ。
もし、彼女が俺のことを好いていても、俺にはどうすることもできない。
何時間か経ったころ、突然大きな音が聞こえた
「おー!女や!しかも中々良いやないか!」
「きゃっ!やめて!」
関西弁の男二人に囲まれたまゆを見て、迷わずホルスターから拳銃を取る。
「その子から離れろ!」
「あー?なんやお前」
「銃持っとるやんな、戦おうゆーことか?」
色黒の方がナイフを取り出す。
この狭い空間では銃よりもナイフの方が強い。
いくらプレートキャリアを付けていても、腕の内側を刺されれば終わりだ。
「…何が望みだ?」
色白のデブが言う
「そりゃ食いもんやなぁ、あとこの女!」
どこまで腐ってるんだ…
「なあ、出来れば戦いたくないんだが」
「なんやビビっとんのか?笑」
ナイフをチラつかせて
「この女見てみぃ…こんなでけぇの服に隠れちゃ勿体ねぇな…そうおもっ」
言葉が切れる前に撃った、撃ってしまった。
「ガァァ!!クソが!」
9mmを腕にぶち当てた。
「テメェ!いてこます!」
色黒がナイフを持って突進してきたおかげで拳銃を落とされ腕を刺される。
「クソッ!」
「どうした?ピストルなきゃ勝てんのか?」
こちらもまゆから貰ったカランビットを取り出すが…この状態では勝つことは不可能であろう…
その時、銃声が部屋に響く。
それは俺でも、色黒でもない。
まゆだ、まゆのP226だ。
奴には当たっていない、素人にそこまで求めない。
だが…
「あ?」
「ん…?」
「おっ?」
「んぇ?」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
この間5秒。
「でかしたッ!!!!!」
色黒を取り押さえる。
「逃がさねぇぞクソ野郎!!」
「離せやカス!沈めんぞ!」
頭に突きつけて
「やれるもんならやってみろ、ロリコンが」
奴は大人しくなった、これで一件落着だが……
「腕…刺されたのか…クソ…」
ターニケットを巻く。
「おにーさん…大丈夫?」
「そのまま野垂れ死ねやアホ!」
「お前は黙ってろ!!」
顔を踏み付けると奴は眠った。
「ここから出よう、休みはおしまいだ。
…それと……ありがとう。」
「…おにーさんが生きてるなら良かったよ。」
荷物をまとめて夜の街へ。