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戦力? 階級?

ぅゎょぅι゛ょっょぃ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前回、地面から生えてきた謎の人物を発見する。アリサにとっては唯一の手掛かりと思しき存在だ。潜った地点で待ち伏せし、出てきたところを思い切って声を掛けてみた……彼女は死を覚悟していたのだ……だが……?

ピキーン 120『日、鬼と会話』


ピキーン 1200『限、鬼と初会話』


「はい? ……え? ひいいいいい?」

ぬ? 何とその生物はアリサを見て逆に驚いて、目を両手で覆いしゃがみ込んでしまった!


「え? な、なななんで? ちょっと……そんなリアクションは予想外よ……そんなに驚かないでよ……ほら、顔を見せて!」(これは? 目を塞いでいる? この世界では私の様に美しい姿を凝視すると眼球が砕け散ってしまうとか? なら納得だけど……こんなに驚く事はないでしょう……)


「こ、殺さないで下さい……」

ぶるぶる 

恐らく会話は通用する筈と認識しての命乞いだろうが、もう半ば諦めている感じで脅え切っている。それどころかもはや死すらを受け入れている。そんな感じがするのだ。確かに言葉の攻撃力は高い彼女であるが、それをバレない様に意図的に隠しているのだ。そう、見た目は、相手を油断させる為にそれをひた隠し、可愛らしい外見なのだ。だから初めはその姿に騙され油断してくれる筈なのだ。そして懐に入り込み、打ち解けてから初めて言葉で攻撃してくるのだからな。これがアリサパターンである。だからこの脅え方は異常である。一見アリサに恐ろしい要素は見当たらないからな。しかしピキーンが二回鳴ったな。その後、


【鬼と会話】 


と出た。という事は? この生物は鬼という事で間違いないのだろうか? この何気ない表示。これは


【システムメッセージ】


と言う物なのか? この表示も注意深く見る事で、この場所がどういう所なのかについての重要なヒントとなりえるのかもしれない。


「何で? 怖いの? この私が? 殺されるって……そんな力無いし、あっても殺さないって……殺意があるかどうかなんてすぐに分かるでしょ? それにあんたの方が私よりちょっとだけだけど大きいでしょ? ほんのちょっとだけどね? 見ればすぐに分かるじゃん! こんな|清廉潔白純粋無垢傲岸不遜《せいれんけっぱくじゅんすいむくごうがんふそん》の美少女のどこにそんな脅える要素があるの?」

他はどうだかわからぬが、傲岸不遜 (威張り返って人を見下す事) だけは間違いない。そしてその生物の高さは180を越えている。かなりの体格差だ。


「貴女は気付いていない? 物凄い力が溢れ出ています。神裔Ⅳ(しんえいよん)クラスの凄い力です。震えが……止まらない……」

がくがく 


「神裔Ⅳ? それってすごいの?」(しんえいよん……初めて聞く言葉ね)


「階級をご存じない?」


「え……? 知らないわ」


「ここに住む生物の常識の筈ですが……」


「ここに来たのは……ええと……覚えていないけど多分10時間ぐらい前だと思うのよ。まだまだ初心者」


「だ、だとしても……」(本来審判の間で閻魔様に生前に犯した罪を吐き出させ、初心Ⅰの状態で、罪の重さに応じた場所に飛ばされる筈……初めてここに来た魂ならば、こんな所に居る筈ない……)


「知らないの。教えて? 早く!」


「は、はい……ではまず階級とは、魂や亡者の霊力や知能等を合算した、いわゆる総合能力を示す物で、


【戦力】


という数値が一定に達する事で名乗る事が出来る物です。戦力を積めばそれに応じて階級を上げていく事が出来ます」


「へえ」


「階級は頭上に現れ、誰でも見る事が出来ます。私の頭の上にも見えませんか?」


「王者Ⅲって書いてあるわ! ピンク色で! その脇には羽みたいな飾りが付いてる? 何これ? なんかかっこいい!」


「私の戦力は125万程度です。そしてそこまで到達するとこの階級を頭上に表示させる事が出来ます。貴女様の階級は、私の倍の250万に到達しないと名乗れない階級です。それが、神裔Ⅳなのです。相当の苦労……それこそ5年10年と高めなくては届かない境地です」


「途方もない話ね。10年とか……こんな所で……嫌すぎる……」


「ははは……私達はここから出られないです。ですが、頑張ればいつか出られる魂や亡者達は、私からしたら羨ましい存在なんですよ……」


「あんたはこの世界の住人って事ね?」


「はい……」


「嫌な事聞いちゃったみたいね……。それにしても実感ないなあ。そんな強いの? 私」


「勿論です。で、貴女の頭にも付いているのです。後で鏡で確認出来ますよ」


「王者よりもかっこいい?」


「そうですね。それを自慢したいから階級を上げる亡者もいる位ですから」


「へえ」

この世界では階級という物が存在し、視覚化出来る様だな。という事はアリサの特技、相手のステータスを確認できる


【万物調査】


をしなくても大体の相手の強さは分かる様だ。勿論漠然とした強さのみの把握で、個人個人の所持スキルなどの詳細部分までは分からないだろうがな。


「どれどれ? あら?」

スカッ 

頭を触ってみる。


「何もない?」


「あ、それは触れられません。そして、取り外す事も出来ません。ここにいる間は我慢して下さい」


「成程……まあ別に重い訳でもないしいっか……そういえばソシャゲの、特にMMORPG (マッシブリーマルチプレイヤーオンラインロールプレイングゲーム)でもプレイヤー達も何の疑問もなく頭の上にこんな感じのを付けて歩いてるわね。

それでもし自分よりも階級が高い人が居るパーティに入ろうものならその人にはついつい敬語になっちゃうのよw」

アリサは敬語は滅多に使わない。余程の事が無い限りな。


「そうなのですか? ところでMMORPGとは何でしょうか?」


「説明すると500文字は掛かるから割愛ねw」

勿体ない……違和感なくごく自然に文字数が稼げるチャンスではないか! 聞かれたのだから誰でも分かると分かっている内容だとしても説明して稼ぐ習慣を身に着けなくてはいけないぞ? 


「そうですか。残念です」

そうだよ! はあ、私も急にMMORPGについて知りたくなったなあ。


「じゃあ、この世界の住人は全て頭の上に階級の文字とローマ数字が付いていて、その人物の大体の戦力が分かっちゃうって感じかあ。で、この世界は恐らく死後の世界でしょ?」


「流石鋭いです。その通りです。ここは


【地獄】


ですね」


「地獄!! そこまでは分からなかったけど……やっぱりかあ。そんな予感がしたのよね……でも変よね……私何も悪い事してないのに……地獄っておかしいよね……」

まあ何も悪い事をしていないと言うと嘘になる。1話ではオーナーに対する216行にも及ぶ暴言を吐き名誉棄損や暴行罪に当たる行為をしていたし、展示室の銅像や石像を全て壊した後に跡形もなく消し去った過去もある。これは器物損壊、そしてどさくさに紛れての軽い切盗行為 (ブラックダイア拾得)をしていたのだ。で、2話もしっかりと行っている。それは、ボケ人間コンテストで本来優勝したはずの男を上手い事言いくるめて強引に優勝を奪い、本来彼が受け取る筈の賞品を強奪したと言う事で、窃盗罪と偽証罪か? 更に3話でも犯罪を行っている。これは彼女らしくは無いが傷害行為。(ネズニ男を斧で切り裂く)をしている。そう今までどのお話でも軽い犯罪行為を行っていたのだがな……まあ少年法で守られているし、彼女は覚えていない。記憶力が高い彼女でも都合の悪い事は忘れる事が出来る優秀な脳なのだ。(これ)アリサシステム(なり)


「その若さでは本来は賽の河原でしょうね。親よりも早く亡くなった子や、お腹の中で死んでしまった水子等は必ずそちらに行ってもらいますからね……」


「ああ、それもあるか……親より早く死ぬと地獄に落とされるのね……そりゃそうよね……ママ、ごめん……」

しおらしくなるアリサ。


「まあ自死ではないので、事故と仰ってたじゃないですか。情状酌量の余地はあります」


「そうよね……ってなんで情状酌量なのよ! こちとら事故の被害者よ! それは加害者に情けで付けられる物でしょ!」


「ああっすいません!!」


「それに絶対にすぐ帰るんだからね! いいでしょ?」

そう簡単に帰れるのか?


「ま、まあそれはその……」

流石にすぐに生き返る事は難しいか……しかし何か方法はあるのだろうか?


「でも流石にここが天国には見えないよね……でも地獄ってそんなシステムがあるんだ……ちょっと面白いわね。

でも私、力は1なのになあ。そんなに強いと言う実感が沸かないわ」

 

「肉体的な力はここではほとんど意味を成しません。それよりも大きい物は心の力。それと霊力です。貴女はそれが凄まじいのです」

うむ、それは納得である。


「でも何でこんな高くなっているの? 必要以上に強すぎない? 何年もここに居るあんたの2倍もあるって……どうしてよ……そこまで強さは要らないよ……」


「そうですね。本来徐々に戦力を積み上げて行き、そして初めて上げる事が出来るんですよ。自分の意思でね」


「どういう事?」


「ええとですね。そこから説明しないといけないんですね? この階級なのに?」 


「そうよ。教えて」


「事故や寿命で亡くなり、ここに飛ばされた魂は本来、三途の川を経て、資格のある物は天国に昇ったりはたまた人間に戻れます。でも、四角な着物は……あっ! 資格なき者は……」


「ちょっと! 何で資格なき者を言い直したの?」


「いえ、その……噛んでしまいまして……すいません……」


「気を付けなさい」


「は、はい……で、地獄に来ます。で、過去の罪を調べて、相応しい地獄に送られます。罪が軽ければ釜茹で所、針山辺り。で、罪が重い場合、焦炎地獄や八寒地獄に行く事になりますね。他にも特殊な地獄もありまして、子供などは賽の河原、女性は血の池に飛ばされます」


「色々あるのね……手続きとは?」


「審判の間で閻魔様に自分の犯した罪を話す訳です。嘘は付けません。浄玻璃(じょうはり)の鏡が嘘を見抜きますからね。それがばれると上級鬼の獄卒(ごくそつ)に舌を引っこ抜かれます」


「ああ、聞いた事あるわ。あれ? 閻魔が引っこ抜くとばかり思っていた」


「それは厳密には違いますね。まあすぐに生えてくるんですけどね。でも、とっても痛いですよ?」


「生えてくるんだ!」


「はい! で、魂にはそれぞれに住居が与えられ、普段はそこに待機して貰い、時間になると、閻魔様に決めて貰った地獄に赴き、自分の犯した罪に合った、


【責め苦】


を6時間受けて貰います」


「長……サラリーマンみたい」


「そうですね。それが終わると少し戦力が上がります。一日平均2000ですね。まあ毎日参加すればいいのですが強制ではないので……で、地獄の種類によって上昇値は変わります。他にも色々な事をする度に少しずつ上昇します」


「そうなんだ。2000で250万貯めるって相当よ? アリサ、何もやっていないけどなあ。じゃあ他の戦力の上げ方を詳しく教えて?」


「あ、あなたの名前はアリサさんと仰るのですか?」


「うん、よろしくね」


「こちらこそ……しかしそこがおかしいんですよ……何もしていないのに? うーん分かりません……まあその疑問はここでは解決出来そうにないので、まずは貴女の質問を答えさせていただきます」


「はいっ!」


「戦力は地獄内で色々な事を実行する事で上がります。歩いたり走ったりでね」


「あー、あれかあ。ピキーンさんよね?」


「ああ、ピキーンさんではないですけど……流石にそれは経験済みですよね? かなりの上昇条件が存在しますし……その数字が蓄積し、ある程度の数値に到達した時にお知らせみたいな物が来て、その時に自分の意志で階級を……例えば豪傑Ⅰなら豪傑Ⅱに、ⅡならⅢ。豪傑ⅤならⅥにはならず、次の段階の階級、


【不敗Ⅰ】


を名乗る事、すなわち


【昇級】


します。頭上に表示される階級が変わる様になるんですよ。高くなれば〇〇Ⅲの両脇に翼が生えて豪華になります」


「へえ。豪華になって低階級の人にマウント取れちゃうって事ね?」


「まあ努力の結晶ですからね」


「そうかあ、でも全員に自分の大体の戦力が分かっちゃうって事か。何か嫌な感じ」


「慣れれば大した事ではないですよ。で、階級が上がるに連れ、責め苦の時間が減り、更には貰えるお金と戦力が少し上昇します。具体的には昇級すると2%です。15の級があり、初めの初心から14段階まで上げると、最大で6時間の72%に抑えられます。大体4時間30分くらいで終わるという事です」


「へえ1時間半も少なくなるのか……それは大きいね。でも上がる戦力は同じなんでしょ?」


「そうです。で、お金と戦力は28%上乗せされます」


「早く終わって更にお金と戦力どっちも増えるって事かあ。良い事尽くめね。上げない理由がないね。でも私、階級を上昇だっけ? そんな事した記憶ないよ?」


「そうですよね……不思議です。ここに来た瞬間に神裔Ⅳだったんですよね?」


「私は知らないけどあんたはそう見えるんでしょ?」


「はい。それに魂の状態のままと言うのも……と言うか何故


【装備】


出来ているんだ? 有り得ない……」


「え? 装備しちゃダメな体なの?」


「あ、こちらの話です……」


「へえ、じゃあこういう事かな? 転生したらチートキャラだったみたいな……ほら、あれよ……そうそう! ななろろうう小説の主人公になった気分wwwww」


「それは良く分かりませんが……あ、あの……ここまで教えたのですから……命ばかりは……」


「大丈夫。大人しくすれば。そうね……後、幾つかの質問を答えれば危害は加えない」

キリッ

どういう訳か急に立場が変わってしまった。それをいい事に調子に乗って恐ろしい速度で手の平を返す。だがそれも納得だ。この、戦力? 上昇時に鬼と表示された生物は、アリサを間違いなく恐れている。そしてアリサは子供。調子に乗るのも無理はない。


「本当ですか? 安心しました。では何の用でしょうか?」


「私ね、死の呪文で飛ばされてここに来たのよ。数時間前までは生きていたの」


「どなたにでしょうか?」


「フランケンシュタインの様な格好した男って言えばわかる?」


「はいそれなら……ですが変ですね……ここに来た魂はどんな魂でもまず


【初心Ⅰ】


からスタートする筈です。それに明確に人間の姿はしていません。


【魂】


の状態で来る筈です。貴女は人の形をしていながら魂であり、装備までされている……これはおかしい事なんです」


「へえ、魂の状態だと装備が出来ないという事ね?」


「はい」


「因みにさっき舌を引っこ抜かれるって言ってたじゃん?」


「あっ!!」


「え? 動揺してる? やっぱり変だよ。魂なのに舌が抜けるの?」


「あわわ」


「あら?」


「実はそれ嘘でして……」


「嘘? どうして?」


「魂になって入ってきた瞬間は何者かすら分からないんです」


「うん」


「で、自分の罪を言わせる時に自分を良く見せようと嘘を付かれるとそれだけで時間が掛かってしまいます。ですから始めにそういう脅し文句で魂を脅し、円滑に進めようとしている訳でして……舌を引っこ抜いた事例は今まで一度もありません」

 

「そういう事だったのね。まあここに来た瞬間に、自分に舌があるかなんて分からないもんねえ。混乱してて」


「そうです。言葉のトリックです」


「頭いいね。でも嘘を付いたら引っこ抜かれるんでしょ? それならあんたらが引っこ抜かれないといけないんじゃない?」


「う、いやその……勘弁して下さい……」


「釈然としないなあ……」


「ですが理由があるのです。一日に大量の魂が送り込まれ、それ全てを閻魔様一人で捌く訳で、罪に応じた地獄を決定する速度を上げなくては滞ります」


「成程! じゃあ次に、ここの名前は?」


「ここは虚無平原と言う場所です」


「言い得て妙ね。本当に絶望して虚無状態になってたからね」


「はい。私も見周りする度に軽い自殺願望が芽生えます。まあもし死んでも家に戻されるだけですけどね……」


「へえ、死なないんだ」


「はい。そして、ここは閻魔様が出す試練の舞台ともなります」


「試練? ミッションみたいな物?」


「そうです。その時亡者達はここに放たれ、試練をこなす感じです」


「じゃあ私が彷徨っていた時って何も試練が開催されていなかったって事?」


「そうなりますね。閻魔様も最近は特に忙しくて、作る暇がなかったのかも知れません。〇〇を倒せとか〇〇を採取しろとか閻魔様が考えた条件を。それを達成した者にはレアなアイテムが」


「へえ」


「因みに初心Ⅰは戦力0~3600までの魂が名乗れる階級です」


「すくな! 私250万じゃない! でも250万なのに? ここでは無力なの? 思う様に力が出ないのよ」


「無力かどうかは分かりません。この場所にその力を押さえつける特別な力があるのかも知れないです」


「本当?」


「と言うのもこの階級の方はこんな所には無用な筈ですから……試練は戦力の低い亡者達が利用するコンテンツとなっており、こんな高階級の方は普通行きません。なので試した事が無いというのが正確な回答ですね。アリサさんの初期位置がここだという話を聞き、不思議に思っています。そして初心に続いて


【新米、精鋭、熟練、達人、覚醒、豪傑、不敗、英雄、君主、王者、神裔、帝・露払、帝・賢者、帝・福音】


と続きます」


「ちょっと! 一気に言わないでよ!」


「あっ申し訳ございません 後書きに丁寧に補足しておきますのでお許し下さい」

ペコペコ


「ちょっと! 止めてよ! ほら! 面を上げい! って後書きって何?」 


「は、はい……最後に分かりますので」


「はいっ!」


「で、それぞれⅠ~Ⅴまであり、貴女は全75階級の内の、上から17番目の神裔Ⅳと言う事」


「結構上なのねえ」


「これで、上から23番目の階級の私が怯えた理由が分かるでしょう?」


「成程ねえ」

何故か初心からではなくかなり高い階級からのスタートとなったアリサ。これでは異世界転生のテンプレートではないか……これ、ミステリー小説なんだけどなあ……これはまさか正規のルート。いわゆる、老衰、事故、等で地獄に来た訳ではなく、


【死の呪文】


で強制的に飛ばされた場合、生前のステータスをこちらの階級へ反映させた状態でスタート出来る……のか? 確か地獄に落とされるとメデューリが説明していたな。本来地獄に行く業を背負っていない者が地獄に行くという条件の場合、ある程度装備をし、戦力が高まった状態から始められる。そう、閻魔の審判をショートカットし何故か虚無平原に叩き落されるという事か? 多分その説が濃厚だな。本来はどんな魂も初心Ⅰかららしいからな。アリサのケースは地獄内で始まって以来の事なのかもしれぬ。


「さっきも言いましたがここは虚無(きょむ)平野と言い、この下には町がありますが、一度外へ出ると心を攻撃し衰弱させる平野です。それに多くの地獄獣がいます」


「確かに言われてみれば虚無よね。え? 獣なんているの? だって何も気配無かったよ?」


「恐らくそれは貴女様の階級を察知し、襲い掛かりたくとも近寄れなかったという事かもしれません」


「凄いのね。地獄の獣にも恐れられる私……かっこいいじゃん……」


「恐らく襲い掛かった側が大怪我をするでしょうねえ」


「そうなんだ……力を持つとは罪な物なのね……で、町の人? 亡者かな? は、外に逃げたら私みたいに鬱になって消滅してしまうって感じ?」


「消滅はしませんが。呼び方は亡者で合っています。一応地獄が管轄している住人です。見回りしつつ、逃げた亡者を引き戻す役目も担っています。まあ地獄獣にやられたら自分の家に勝手に戻りますが……ずっと生きながらえて出口を探し続ける亡者を、


【管理塔】


のレーダーの知らせを頼りに追跡する事もあります。因みにここの真の恐怖は逃げた時初めて知る事になります。逃げたら最後、猛獣に襲われるなり鬼に追跡され疲弊し力尽きるまで、延々彷徨い続ける事になります。勿論セーブポイントも回復の泉もありません」


「怖いわねえ。流石地獄……」


「私以外の生物は戻りたくとも戻れません。私以外


【カギ】


を持っていないので。で、もしも運よく私が発見出来たらペナルティを与え、引き戻す流れとなっています」


「どんな罰?」


「戦力低下です。現在値の半分に減少させます」


「へえ? そんなのでいいの?」


「そしてそれを私の戦力に上乗せすると言った感じですね」


「意外と軽いんじゃ?」


「そうでもないですよ。ここでは戦力が全てですからねえ」


「へえ。でも鍵が無いと通れないのに何でここに逃げる亡者がいるの?」


「ミッションではここが舞台になります。そのミッションを参加した亡者はそれを終えたら町に期間内に戻らなくてはいけません。その期間を超えても町に戻らず虚無平原のどこかにここから出られるところが無いかと彷徨う者が一定数要るのです」


「そうか……誰も好きでこんな所に来た訳じゃないもんね……普段は行けずミッションのみに入れるこの平原に何か秘密があるんだ! と探し回りたい気持ちも分からないでもないわ」


「何もないとしっかり教えているのですが、それでも諦められないのでしょう」


「大体分かったわ。でも私は事故で死んだんだよ? まだ生きていられる筈」


「そうは言ってもですねえ……誰しも予想外の死を受け入れなくてはいけない時があるんですよ。運命ですよ……」(でもこの階級だからすぐにでも……だが、肉体が残っていなければ……否、死の呪文で飛ばされてきたのなら魂と肉体が強制的に剥がされただけ。肉体は綺麗に残っている筈だ。それすら知らないという事は……やはりこの子は嘘を付いていない……一体どういう事なんだ?)


「それはそうだけどさ……でも納得いかない。まだ若いんだし!」


「ですね。まずは手続きが必要ですし……もし死体が損壊していたら、別の新しい肉体に移す手続きも必要となってきます」


「こら! 縁起でもない事を言わないの!」(冗談じゃないわ。戻るのはまたあの肉体じゃなきゃ嫌よ。ちょっと小柄で可愛いあの肉体じゃなきゃ生き返っても何の意味もない!!)


「そうですね、申し訳ありません……ではこれから町に行き、正規の入獄手続きをしなくてはいけません。

しかし、こんな事……私が見回りの職に就いてからでは始まって以来の出来事ですよ……」


「はいっ!」


「ではこれから地獄の一丁目と言われている場所の上まで歩いていきましょう」

そう言いつつ移動。目的に着くと地面を見る。


「ここが?」


「では行きますよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ステータスと階級の関係

色々な『特別』な行動や、責め苦で上昇したステータスは一定値に到達すると昇級出来ます。それは亡者の意思で上げる事が可能で、戦力が達していても敢えて上げない事も可能です。

更に、昇級の度に地獄内の施設が解放されます。


初心 色 白 1、0~3600 2、6400 3、9200 4、13500 5、16500 魂の状態。


新米 色 黄緑 1、16500~19880 2、26250 3、36000 4、46250 5、57000 亡者に変わるかの選択肢が出る。任意で亡者に変身可能に。責め苦の時間2%減少、戦力と獲得金額2%上昇。


精鋭 色 水色 1、57000~68250 2、80000 3、92250 4、105000 5、118250 亡者のみ食事処利用可能。責め苦の時間4%減少、戦力と獲得金額4%上昇。


熟練 色 青 1、118251~132000 2、146250 3、161000 4、176250 5、192000 責め苦の時間6%減少、戦力と獲得金額6%上昇。 


達人 色 紫 1、192001~208250 2、225000 3、242250 4、260000 5、278250 亡者のみ売店利用可能。責め苦の時間8%減少、戦力と獲得金額8%上昇。


覚醒 色 薄ピンク 1、278251~297000 2、316250 3、336000 4、356250 5、377000 亡者のみ限り火車の利用権利取得。責め苦の時間10%減少、戦力と獲得金額10%上昇。


豪傑 色 橙 1、377001~398250 2、420000 3、442250 4、465000 5、488250 責め苦の時間12%減少 戦力と獲得金額12%上昇


不敗 色 茶 1、488251~512000 2、535250 3、561000 4、586250 5、612000 書庫の開放 責め苦の時間14%減少 戦力と獲得金額14%上昇


英雄 色 赤 1、612001~638250 2、665000 3、692250 4、720000 5、748250 責め苦の時間16%減少 戦力と獲得金額16%上昇


君主 色 深紅 1、748251~784500 2、824800 3、867000 4、916500 5、967800 責め苦の時間18%減少 戦力と獲得金額18%上昇


王者 色 桃 1、967801~1044800 2、1136500 3、1253800 4、1382100 5、1521500 卒業条件階級。早ければここで別の肉体で転生可能。その後も鍛錬は可能。鍛錬次第でいいところに生まれ変われる可能性が上昇。責め苦の時間20%減少、戦力と獲得金額20%上昇。


神裔 色 水色 1、1521501~1704800 2、1910300 3、2145700 4、2501900 5、2878700 責め苦の時間22%減少、戦力と獲得金額22%上昇。


帝・露払 色 赤紫 1、2878701~2898700 2、2963700 3、3028700 4、3123700 5、3218700 責め苦の時間24%減少、戦力と獲得金額24%上昇。


帝・賢者 色 橙 1、3218701~3358700 2、3480700 3、3602700 4、3772700 5、3942700 中くらいの恩恵を与えられた上での転生。責め苦の時間26%減少、戦力と獲得金額26%上昇。


帝・福音 色 赤 1、3942701~4150700 2、4310700 3、4470700 4、4694700 5、4918700 大きな恩恵を与えられた上での転生。責め苦の時間28%減少、戦力と獲得金額28%上昇。 


となります。これはソシャゲのアッシュテイルというゲーム内での戦力と階級をそのまま使っています。

2019年4月25日がリリース日なので、来週が丁度5周年目となります。初日にインストールしたのでかれこれ5年位遊んでいます。

因みにアリサのベースはそこに登場するモブの女の子です。

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