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第八章 探索

初投稿です。

仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。


登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー

 劉操からの使いが李亮の元に訪れた時、李亮は禁衛軍の兵士達と部屋でピーナッツの殻を剥いて食べながら談笑していた。


 李亮は全く想像していなかった展開に、使いに向かって2度聞きした。

「本当に私ですか?白将軍ではなくて。」

「ですから間違いないので、早く陛下の元へ。」


 李亮はピーナッツの屑を手で払いながら劉操の部屋に向かった。

 使いがどうぞと扉に手をかけた時、李亮は使いに向かって「顔にピーナッツがついていないか」と言って大きい身体をくの字に曲げて自分の顔を見せた。使いは苦笑すると「鼻の横に皮がついてます。」と李亮に教えた。李亮は袖で顔をこすると、使いはもう大丈夫と頷いたので、李亮はそこでニヤリと笑ってから「とっておけ。」と言って彼にチップをトスした。


「参謀本部次長李亮、陛下に拝謁仕ります。」


 李亮は部屋に入るとすぐに跪き、叩頭しながらそう言った。


「あっちが済んだらこっち、こっちが済んだらあっち、まったくたまらん!」

 劉操はそう吐き捨てるとしばらく沈黙したのち、一つ大きく息を吸ってからかったるそうに続けた。「お前に出した聖旨だが、新しい物を用意した。」

 劉操は石欣に顎で合図すると、石欣は李亮の所まで行って李亮を一度立たせてから再度跪かせ、首をたれさせた。


 石欣は聖旨を広げると、大声をあげて読み始めた。

「参謀本部次長李亮は、常に臨機応変に対応し、人望も厚い。頭脳明晰にて先を読み戦略にたけ危機から国を守り忠義を尽くした。ついては、旧北盧国皇宮を本部とする反政府ゲリラ対策軍、軍師将軍とする。以上」


 李亮は両手で聖旨を受け取ると、また床に頭をこすりつけるように一度叩頭して退席した。


 部屋を出た李亮は、広い趙候府で誰にも聞かずに梁途の行方を探した。


 李亮が西方にある館に入ろうとした時、後ろから聞きなれた女性の警戒しきった声が響いた。


「こんなところで何してるのよ。」


 相手の声が警戒していようが怒鳴っていようがその相手が鬼のような形相をしていようが、とにかく会えさえすれば何でもハッピーな、恋は盲目を地で行っている李亮は、コホンと小さく咳払いしてから、先日の自分史上最高の流し目記録の更新を狙って振り向いた。


 そこには、いつものようにムスっとして李亮を上目遣いで睨んでいる白凛がいた。


 しかし、いつもとは違って白凛の手には李亮と同じ紫の高級布地に金糸で聖旨と刺繍のある巻物がしっかりと握りしめられていた。


 李亮は質問には答えず、すぐに真剣な顔になると「どうしたんだ。」と言って聖旨を指さした。


 白凛は辺りを見まわしてから後ろに控えている常義に見張り役を頼むと、いきなり自分より頭1つと半分位大きい男の袖をガシっと掴んで、彼を引きずるようにして建物の陰に連れ込んだ。


 ”えっ、もしかして、お凛ちゃんも俺のことを......好き......?”


 李亮は、この白凛の暴挙を完全にそう誤解して鼻の先まで赤くし、指先をこすり合わせて柄にもなくモジモジ恥じらいながら呟いた。


「......お凛ちゃん、、、こんなところじゃまずいだろう。」


 李亮が言っている意味を全く理解していない白凛は、ムスっとした顔のまま小声で伝えた。

「新しい詔が出たのよ。ここは父様の従弟が入ることになった。清水県は石公公の甥が統括する。」


 李亮は白凛がこんな物陰に自分を連れ込んだ理由が、自分の想像、、、もとい妄想とは全くかけ離れていたことに露骨にガッカリしながらも、彼女がここではなくどこに行くのか、自分と一緒にゲリラ対策になるならなんで自分が軍師とはいえ将軍になるのかと思いを巡らせながらブスッとした顔で聞いた。

「それで、お凛ちゃんは?」


「黒雲軍の将軍になった。」

 そう答えた白凛を驚いて見つめた李亮は、彼女の顔が未だかつて見たことがないほど無表情、まるで能面のようになっていることに気づいた。


 李亮も小声になって周囲の気配を気にしながら聞いた。

「こくうんぐん?そんなの聞いたことないぞ。」

「聞いたことなくて当り前よ。出来たばっかりなんだから。」

「なんじゃそりゃ。」

「まったくよね。なんでも黒雲軍は新しく創設された陛下の私軍だそうよ。」

「私軍?禁衛軍がいるのにさらに似たようなことをさせる軍を作るのか?」

「そうよ。きっと禁衛軍があんなんだからじゃない?」

 白凛は、趙候府に陣取っている禁衛軍のお偉いさん達の、剣すら重くて本物を持てない姿を思い出してそう嘆いた。


 ”この国の一番の戦闘能力をもつ人間をトップにして自分の護衛軍をもう一つ作るって?”

 ”しかも全く危機的状況でもないのに。。。戦争に勝利したっていうのに、いったいどういうことだ?命が狙われているとでも思っているとしか考えられない。。。”


 ”まさか、まさか太子が生きているってバレたのか?”


 みるみるうちに顔色が悪くなっていく李亮を見た白凛は、ようやく能面フェイスをやめて、彼女本来の感情豊かな一面がポロっと露出してしまった。そして彼女は思わず「亮兄ちゃん、どうしたの?」と、とても心配そうに聞いてしまった。


 その瞬間、2人は同時に11年前の、あの劉煌が姿を消す直前の劉煌と李亮が交わした会話の場面を思い出した。


ー「亮兄ちゃん、どうしたの?」と白凛が聞いた。

「(太子、)どうしても行かないといけないのか?俺、護衛でついて行ってもいいか?」と白凛の問いを差し置いて劉煌にこう聞いた李亮。ー


 悪い顔色のまま李亮は突然荒い息づかいで話し始めた。

「あの頃、、、馬車が襲われる夢を繰り返し見ていた。」


 白凛はこれ以上開けられないくらい大きく目を開くと、腰の剣をサッと抜きキーンという音を立てて勢いよくその剣先を李亮の喉元に突きつけた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」


 そう叫ぶと白凛は剣をバンと地面に叩きつけるように投げ捨てて、その場から走り去っていった。


 突然陰から飛び出してきた白凛に常義は焦って「お嬢様」と声をかけたが、彼女は聞こえなかったのか彼を無視して走り去った。慌てた常義は「お嬢さま~!」と叫びながら白凛の後を追いかけていった。

 そんな常義の言葉も全く耳に入らず、走りながら白凛は心の中で叫び続けていた。


 ”この裏切り者めっ!!!”


 その場に一人残された李亮は、悲しみに打ちひしがれてその場で自分の足元に捨てられた剣をしばらくジッと見つめていたが、やがて自分の本来の目的を思い出し、梁途探しの続きを始めた。


 李亮が梁途を見つけた時、彼は、東方にある館の大広間で、同じ禁衛軍のノンキャリメンバーとピーナッツを剥いていた。


 李亮は、その様子をジッと遠くから伺いながら、別の輪に入ってピーナッツを剥きだした。


 しばらくして梁途が席を立った。


 李亮は梁途の後を気づかれないように追い、ほぼ同時に厠に入ると、即座に鍵を閉めた。


 梁途が何事かと驚いていると、李亮は暗い声で突然こう言った。

「間違いない。お凛ちゃんは確実に劉操の駒だ。」

「ど、どうして?」

「1,劉操の私軍の長になった。2,昔話でアイツのことをほのめかしただけで殺されそうになった。」

「......そうか.....この前も俺らが選んだ仕事が怪しいって勘ぐっていたしな。亮兄、お凛ちゃんのことどうする?アイツのことどうする?」梁途もそれを聞いて悲痛な面持ちでそう聞いた。


「どうするもこうするもねえ。お凛ちゃんが敵になろうと、俺はアイツを守りぬく。」李亮はそう答えたが、梁途はそれに相槌を打つことも否定することもなくただ排泄物の臭いが容赦なく漂う中、俯いて黙ってしまった。


 2人はしばし沈黙していたが、また李亮が話し始めた。


「それより俺は北盧国皇宮に派遣されることになった。反政府ゲリラ対策の軍師将軍になった。」


 それを聞いた梁途は思いっきり嫌な顔をして叫んだ。


「なんだまた出世かよ。俺、一緒に戦っていたのに全然誰からもお呼びがかからないってどういうことだよ!」


 李亮はそんな梁途を落ち着かせようと、「特殊任務部隊はノンキャリ組だったからな。」とフォローしたが、実はそれは全くフォローになっておらず、さらに梁途の怒りの炎に油を注ぐことになってしまった。


「他の特殊任務部隊の奴らは皆出世したんだぞ。俺はリーダーだったのに何で無視されるんだっ!」


 李亮はどうやって梁途を落ち着かせようかと考えたが、どれも藪蛇になることに気づくとただ彼の肩をポンポンと軽くたたいてから、怒りで真っ赤になり頭から湯気を出している梁途をそこに置いて、じゃあと言って一人厠から出ていった。


お読みいただきありがとうございました!

またのお越しを心よりお待ちしております!

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