第六章 錬磨
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
五剣士隊の4人が天意で再会した一方、残る行方不明の一人は、15歳になり、北盧国との国境基地から数百Km南西に離れた西域への侵攻部隊の基地に派遣されていた。国境を守る将軍:趙明の尽力によって既に校尉になっていた白凛は、その国境基地から800騎を率いてこの地にやってきていた。
この侵攻部隊の基地は、辺り一面、砂、砂、砂の砂ばかりの砂漠の中にあり、そこから見える風景は見渡す限りベージュ色一色で、平らなところは無く風が作った波を拡大したような凹凸だらけだった。それは水の1滴も無いこの不毛の地で、まるで吹き荒れる風が恋しさのあまり母なる海を大地に再現しているかのようだった。
劉操は7年前劉煌の父を殺して西乃国の皇帝になるや、領土を広げようとすぐに農村部の男たちに対して徴兵制を強いた。そのため農村部には男は子供か年寄りしかおらず、農地に手が行き届かずどんどん荒れてきた。劉煌が2年前5年ぶりに西乃国の農地を見て感じたことには、このような背景があったのだった。
ただ、農村の男たちは戦いの訓練を受けてきた訳ではなかったので、白凛の連れてきた800騎の中の1番弱い者1人に元農民だった兵20人が一斉に襲いかかっても、すぐに全員やられてしまうほど、兵としては全く役に立たず、またその者たちが兵として役立つよう育てる気概も劉操の国軍にはなかった。
何しろ千年に渡り戦争知らずの平和な国だったので、そもそも戦闘は皆未経験であり、実際大将軍をはじめ将校達も、その多くは朝廷のポストに空きが無いためにそのポスト代わりに将校名をつけられていた。すなわち、国軍とは言っても、将校職は全て高い階級の貴族の名誉職になっていた。このように彼らは肩書だけの軍人で、戦略すら立てたことが無かったことから、戦い方のノウハウなど誰も知らなかったのだ。
それなのに、劉操の命でとにかく西域に侵攻することになり、将校達が考えたのは、貴族の出の多い軍の兵士達は後方に待機させ、まったく兵としての訓練を受けたことのない農村の男たちを最前線に送り出すことだった。そのため、出撃しても出撃してもすぐに敵に仕留められ、ほとんどが砂漠の中でミイラと化していた。そういうことで西の国境付近ではいつも不毛な小競り合いが続いていた。
劉操は劉操で、数で圧倒しているはずの西乃国軍が何年経っても同じところで結果を出せずにいることに怒り心頭で、最近は都市部の男子にも兵に志願するようお達しを出したところだった。
都市部は都市部で、農村からの物資が年々目に見えて減り、しかも劉操の領土拡大の野望の為税金の取り立てはどんどん高くなることから、都市部の住民の貧困も進み、都市部の男たちも生活に困り多くが給金目当ての志願兵となっていた。
そんな都市部から来た志願兵にも士気があるはずはなく、これもまた何も訓練を受けていなかったのにも関わらず、派遣されるやすぐに前線で戦わされ、花と散っていた。
白凛はすぐにこの基地の現状を把握すると、毎日自分の部隊に配属になった新兵としてこの基地やってきた男子を、まず基礎訓練と称して、武器の扱い方を含め1から本当に戦場で戦える兵士にどんどん鍛えていったが、これまた趙明の根回しで彼女の部隊が前線に出ることは無かった。
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