第六章 錬磨
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
劉煌が旅館の部屋に戻ってきた時、お陸は茶を飲んでいたが、机の上には黒装束が置いてあった。
劉煌は黒装束の前に座ると、黒装束をどけてお茶を注いだ。
お陸は湯飲みを机の上に置くと、何度も首を振りながら言う。
「驚いたよ。9歳で自分と同じ年ごろの家来が3人もいたなんてさ。しかも3人とも特攻野郎と来ている。」
劉煌は顔を全く変えず小声で囁く。
「家来じゃない。友達だ。」
”は?どこの皇太子に平民の友達がいるんだい。まだあたしを騙そうってかい?”
お陸はこの答えに目を丸くして「友達?」と嘘つくんじゃないよ感満載に声を上げると、劉煌は間髪入れずに訂正した。
「元友達だ。今は何も関係ない。」
”こりゃ、恐れ入った。本当にあの子達は友達なんだ......”
お陸は珍しく優しい顔つきになって立ち上がると、劉煌の横に来て座った。
「劉煌、人のご縁は大切にしな。あんな子達、そう出会えるもんじゃない。」
お陸が彼のことをお嬢ちゃんと呼ばずに本名を使うのは余程の時だけで、お陸に弟子入りして7年弱でこれが2回目のことだった。
「・・・・・・」
「お嬢ちゃんとあの子たちの立場が逆だったらお嬢ちゃんはどうする?あの子達が追われる立場だったら。」
「・・・・・・」劉煌は顔を変えなかったが、手を握りこぶしにして必死に耐えていた。
お陸は、しょうがないという顔をしてから、劉煌の手を取ってその手を優しく撫でながら呟いた。
「お嬢ちゃん、あんたとあの子達、身体は離れているけど心は一つなんだよ。」
それを聞いた劉煌はもう耐えられなくなって、お陸をジッと見つめた。
お陸は今度は真剣な顔をして言う。
「まず訓練だってさ、本丸に突入するのに皇宮内に助っ人がいるのといないのとでは大違いだよ。とにかく三人のところに顔出してきな。」
劉煌はふっと笑うと、こう呟いた。
「師匠、いつも相手をすぐに信じるなって言うくせに、おかしいんじゃない?もう7年も経っているんだ。お互いの立場も違う。僕を罠にかけるつもりかもしれないじゃない。」
「お嬢ちゃんを罠にかけるつもりだったら、もうとっくにお嬢ちゃんは牢屋に入っているよ。第一あの大男が酔っぱらってるのにわざわざ身体を縮こませて、お嬢ちゃんにしか聞こえないように配慮する訳ないだろう?」そう言うとお陸はくるっと回って黒装束に変わった。
劉煌はそれを見てふと笑うと、自分もやはりくるっと回って黒装束になりそのままそこからドロンと消えた。
梁途の家では、屋根裏の耐荷重の問題で梁途の両親と梁途、孔羽、李亮の5人が1階に枕を並べて寝ていた。
屋根裏から梁途の家に忍び込んだお陸と劉煌は、5人の寝顔を見てからお互いに頷くと、また来た道を旅館へと戻って行った。
お陸は言った。「あの子達とちゃんと話すんだよ。」
劉煌は「うん」とは言ったものの、もう二度と会うつもりはなかった。
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