第五章 変幻
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
それから3年が経った。
劉煌は14歳になった。
完全に忍者としての基礎訓練が終わった劉煌は、くノ一としての実地訓練に入ることになった、、、はずだった。
ところが、なんと指導教官のお陸の肉体があまりに年を取り過ぎていて、どこのお座敷も彼女を一瞥するなり、けんもほろろに断られ、実地訓練ができない事態となってしまったのだった。
劉煌としては、男忍者の実地訓練でまっ・・・・・・・・たくかまわなかったのだが、お陸はここまで育てた劉煌を誰にも取られたくないという邪な気持ちもあって、劉煌には
『お前が誰なのかバレていいのか』
と脅して、誰にも彼の訓練を引き継がせようとしなかった。
実地訓練が頓挫するのは、劉煌にとっても痛いことだったので、ある日彼は、意を決してあることをお陸に進言した。
「そんなことができるのかい?」
お陸は、垂れ下がった瞼をおでこを使って思いっきり上げて、目を大きくした。
劉煌は大真面目な顔をして言う。
「うん、妃達はこぞって受けていたと思う。みんな怪我をしたと言って顔を包帯でグルグル巻きにしていたかと思うと、その後、皺やしみがなくなっていたり、目が大きくなっていたり、鼻が高くなっていた。顔を怪我したと言っていた割に、全く慌てていなかったし。多分西域の技で、『ぷらすちっく・さーじゃりー』と言われている美容外科技術だと思う。」
間髪入れずにお陸は云う。
「受ける。」
自分の顔にメスを入れることにきっと誰しも抵抗はあるだろうと思っていた劉煌は、お陸の決断の速さに思わず目を見開いて叫んだ。
「師匠、そんな簡単に受けるなんて言わないでよ!」
「え?あたしが『ぷらなんとかって奴』を受けないと思うなら、なんでそんな話をあたしにしたのかい。」
「いや、ゆくゆくは受けるって言うかなとは思っていた。」
「じゃあ、別にいいじゃないか、すぐ決断したって。」
「そりゃ、そうだけど、一応よく考えてよ。死ぬ確率だって0な訳じゃないし、失敗することだってあるんだし。」
「この年だからいつお迎えが来たっておかしくないし、それに失敗したらまた受ければいいじゃないか。」
「・・・・・・」
劉煌はそれもそうだと思い、気を取り直してお陸に向かってニッコリ笑うと、「じゃあ、すぐに偵察に行ってくるね。」と言ったが、すぐにお陸に行く手を遮られ、「何言ってんだい。一緒に行くんだよ。」と告げられるや否や、お陸はドロンとその場で消えた。
劉煌は慌ててお陸の後を追ってやはりドロンと消えると、すぐにお陸の前に姿を現した。
お陸は珍しく嬉しそうな顔をして劉煌を見ると、「どうやって行こうかね。」と言った。
二人は猛スピードで木々を飛び越えながら、いつの間にか小金持ち風の老婦人とその孫娘に化け、西乃国との国境を抜ける時には、立派な馬車に乗り、関所でも何も問題にならずに抜けられた。
「それはどのあたりかね。」
「南西の果てよ。出羽島。そこは、西乃国の陸続きの島で、亜羅比亜、員努を含めた西域の情報が入るのよ。」
「じゃあ、こんなかったるい乗り物に乗っていないで、サッサと行くよ!」
その一言と共にまたドロンと消えたお陸の後を追って、劉煌も馬車の中から忽然と消えた。
二人が出羽島に着いたのは、あくる日のお昼過ぎだった。
旅館に入ると早速劉煌は、手に入れた島の地図をお陸に見せて、「一応、医者はこことこことここの3軒。」と医者の場所を地図上で順に指さして行った。
お陸は、劉煌の見せた地図を指でピンとはじくと、慌てて地図を拾う劉煌に、「受ける人が内緒にして欲しいと思う技を行う奴が、堂々と看板掲げている訳ないだろう?だからあんたはお頭が弱いって言われるんだよ。」と呆れて言った。
事あるごとにお陸にお頭が弱いと言われ続けて、早5年弱。
時は経ったが、この言葉にだけはどうしても慣れず、いつでもムッとしてしまう劉煌は、今日も御多分に漏れず、お陸にそう言われてムッとした。
お陸は、劉煌の憤慨を今日も全く意に介さず続けて言う。
「こういうのは口コミだ。お妃さん達も来てた位だから、当然受ける人の中には宿が必要だった人もいるだろう。まずは宿屋に聞いてみよう。これも諜報の実地訓練だ。」
お陸は懐に銀貨を忍ばせながら宿の受付カウンターに聞くと、意外にすんなり”美容外科”の居場所を教えてくれた。それどころか、お陸に施術費用の割引になるからと、ご丁寧に自分の名前を書いた紙まで彼女に渡した。
横でお陸と受付の話を聞いていた劉煌は、もう少し情報収集が難しいと踏んでいたので、肩透かしを食らって部屋に帰ると、お陸が開口一番に言う。「まったく簡単すぎて手本にならなかったわい。いいかい。情報収集はこんなに簡単じゃない。何故簡単だったかわかるかい?」
劉煌は少し考えてから「知っていたから、親切で教えてくれた?」と語尾を上げて自信なさげに答えた。
お陸はげんなりした顔で言う。
「あんた見ず知らずの人に聞かれたら、何でもかんでも知っていることを話すかえ?」
「話さない。」
「あの受付は自分の名前を美容外科に言えば料金が割引になると言っていた。それから考えられることは?」
「その美容外科の宣伝。あと。。。あの受付に紹介料が入る?」
「そうだね。あとどうもあの感じだと、美容外科は1軒だけではない気がするよ。他にも無いか明日の午前中は、今度こそ実地訓練を兼ねて町で情報収集だ。さっきの私の話の聞き方を参考にして、明日はあんたが美容外科を探しだすんだよ。」
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