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第四章 転機

初投稿です。

仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。


登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー

 

 あれ以来、劉煌はますます変わった。


 劉煌は、まずは自分の命を守るため、遁術の達人になろうと固く決心したのである。

 そして、その中には、女の中の女になるということも、当然含まれていた。


 西乃国元皇太子劉煌、11歳の冬のことであった。


 お陸の家を出て無事亀福寺に帰ってきた劉煌は、すぐに清聴の部屋に忍び込むと、清聴に科を作ってa甘い声で「まま、ただいま。」と言った。


 清聴は、とにかく劉煌が無事に帰ってくるようにずっと念じていたので、劉煌を見るとお帰りとも言わず、すぐに、「さあ、御本尊に御礼を言うんだよ。」と言って劉煌の腕を掴むと、本堂まで「あ~れ~」と小指を立てながら叫ぶ彼を引きずって行った。


 本尊の前でひれ伏すように礼をすると、清聴はいつものようにお経を上げ始めたので、劉煌もその横で初めて一緒にお経を唱え始めた。劉煌が一緒にお経を唱えるのを聞いた清聴は、驚きのあまりに腰を抜かして、横ずわりとなり、どうしたら自分の声を出せるのかさえも忘れてしまった。劉煌は清聴の姿をチラッと横目で見ると、何事もないかのようにそのまままた正面を向いて、お経の続きを唱え続けた。そして読経終了後、清聴がいつもやる作法を一通りやり終わると、涼しい顔で清聴の方を見て、「まま、御本尊の前でそんな恰好していていいの?」と聞いた。


 清聴は、身振り手振り顔ぶりで自分が喉がカラカラで話せないことを伝えると、劉煌は首をかしげて大きなため息をついてから、上目づかいで「まま、いいこと?今回だけよ。」と言って、お尻をフリフリ水を汲みに本堂から出て行った。


 井戸からたっぷりの水を汲んで本堂に戻ってきた劉煌は、小指を立ててその水を清聴に飲ませると、清聴はゴクゴク喉を鳴らしながら水を飲み干し、ようやく息も絶え絶えに「どうして?」とだけ言った。


 劉煌は首をかしげて「どうして?って何がどうして?」と聞き返すと、清聴は、「あんた、誰にお経習ったのさ。」とまだ腰砕けのままで聞いてきた。劉煌はこれに本当に驚いて「だって、毎日ままが同じお経を上げ続けているんだから、習うも何も、嫌でも覚えちゃうわよ。」と言うと、清聴は「そういうけど、他の誰も一行たりとも覚えちゃいないよ。小春なんて見てごらん。あの子は私のお腹の中にいる時から聞いているはずなのに、まるっきり一言さえも覚えちゃいないよ。」と真面目な顔をして言った。


 謙虚な性格ではあったが、それでも千年に一人の天才と誉れ高かった劉煌は、それなりにプライドもあった。


「比較対象が違い過ぎるわ、まま。小春と一緒にしないでよ。」


と抗議した劉煌は、両手でハンケチを口の近くで握りしめながら震えて見せると、口を尖らせてフンとあっちを向いた。


 清聴はたしかに比較対象として小春は悪すぎたと思い、「じゃあ、一番年上の夏朮はどうだい?え?一番覚えがいい柊はどうだい?」と今度は何故かとても勝ち誇ったように言った。


 劉煌は確かにと思いながらも、それだから何なのかがわからなかったので、「で、あたしが、一通りままの御勤めのお作法を覚えていたら、何か問題でも?」と首をくねくね回しながら聞いた。そう言われると、確かに特に問題はないと思った清聴は「別に問題がある訳じゃないけど、、、」と言うと、気を取り直して嬉しそうに「ね、美蓮、あのお経全部覚えているの?」と聞いた。


 劉煌は当然という顔をして、「覚えているわよ。いい?」と言うと、清聴の前でお経を全部諳んじてみせた。


 清聴は劉煌の唱えるお経と経典を照らし合わせていたが、最後まで来ると、御本尊の前だというのに、パチパチパチと大きな拍手を劉煌に送った。「すごーい美蓮!私もあんちょこ見ないと全部唱えられないのに!」と素直に拍手喝采する清聴の姿に小春を見た劉煌は、”本当にソックリな親子”と思った。


お読みいただきありがとうございました!

またのお越しを心よりお待ちしております!

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