第四章 転機
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
小春が、その小さな胸を躍らせている時、劉煌は、張りつめた面持ちで、お陸から学んだありとあらゆる遁術の技を駆使し、伏見村の東に位置するうっそうとした森を目指して完全に気配を消しながら進んでいた。
自分の背丈ほどはある東の森の中に入ると、劉煌はさらに慎重に、土埃も音も一切立てず、まるで風に乗っているのかと見まごう如く歩みを進めた。するとしばらく経ってから、彼の後方の頭上で動物か何かが飛び交うような音がした。
劉煌は、咄嗟にそれが野生動物ではなく人間であると察すると、お陸との鬼ごっこで散々負け続けた木遁の術を駆使して、お陸の動きをイメージしながら草一本倒さず右前方10m先の大木の陰に隠れた。
木の上の人間は、しばらくその辺り一帯をうろついていたが、目的を果たしたのか、それとも先を急いでいたからなのかわからないが、どんどん彼から遠のいていった。しかし劉煌は、そこから出てそれを確かめようとはせず、その場にずっと隠れていることに決めた。
あなたは信じられるだろうか。
わずか11歳の男の子が全身の感覚を研ぎ澄まして、何時間も同じ場所に同じ格好でジッと立っていたのである。
その日、劉煌は、本当に世界一忍耐力のある11歳だった。
そしてあたりが段々と暗くなり、やがて真っ暗になると、劉煌はようやくそこで膝を曲げ、木の陰に座ろうとした。
ところが、すぐにガサっという音がしたので劉煌は慌てて逃げようとすると、「わざと音立てたんだよ。」と毎日午後聞いている声が劉煌の耳に飛び込んできた。
その瞬間劉煌は、今迄の緊張から一気に解き放たれたからか、目の前が真っ暗になり自分がどこでどうしているのかさえも飛んでしまい、その木の根本でそのままの形で気を失った。
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