第三章 隠密
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
お陸の劉煌へのくの一教育は、一つ一つが実戦的だった。
それなので、遁術が完璧になるまで、他の術を教える気はなかった。
しかし、相手はようやく10歳になったばかりの子供である。当然繰り返しでは飽きてしまい、”女の子のはずなのに”、武術をやりたがった。
ある日とうとう根負けしたお陸は、「じゃあ、私と一戦交えて私に勝ったら、武術を教えてもいい。」と言ってしまった。
武術は自信のある劉煌の目が鋭く光った。
それを見逃すはずのないお陸は、
”ほう、このお嬢ちゃんは、武術に相当自信があるようだわい。ちょっと遊んでみるかい。”
と思うと、「あんたは、好きな武器使いな。あたしは武器無しでいくから。」と言うと、劉煌の目の前に突如煙が立ち込め、煙が消えていくと、そこに武器がバーンと並んでいた。
フフフと不敵な笑みを浮かべながら劉煌が、その中でも一番長い剣を取り、それを左手に持って、剣を横にしたまま肩の高さまでスーッと上げると、左手で鞘を持ったまま、右手で剣をザーッと横に引いた。
ところが、この剣は思っていたよりずっと短く、いつも西乃国で愛用していたマイ剣の半分位の長さしかなかった。
調子が狂った劉煌が、「これ、短くないですか?」と思わず口走ると、お陸は涼しい顔で、「それだって、忍者にしてみれば長い方で、普段は使わないよ。普段はコレ。」と言って指さしたのは、普段畑で使う鉈だった。さらに調子が狂って困惑している劉煌を横目で見ながら、お陸は続けた。
「ましてくノ一の場合は、まずあんたが手に持っている剣は絶対使わない。くノ一なら断然コレ。」と言って懐剣(短刀)を指さした。
劉煌は、真っ青になって懐剣を指さすと、「こんな長さだったら、敵に凄く近づかなければ打ち取れないじゃないっ!」とわめいたので、お陸は大袈裟に天を仰いで、
「アイヤー、最初に説明しただろ。忍者は攻撃するためじゃなくて、逃げるために武術を使うって。大体忍者に敵なんていないんだよ。依頼主が敵と言ってるだけで、その敵が今度の依頼主になるかもしれないし。」
と言うと、「さあ、私とやってみるかね。あんた相手に私は武器なんかいらないよ。」と劉煌を挑発した。
劉煌は、いつもなら、掛け声をかけてから始めるのに、今日は全くかけず、いきなり鞘をバサッと投げ捨てた瞬間に飛び上がると、お陸めがけて切りかかった、、、つもりだった、、、かなり早いはずだった、、、が、そこにはお陸はおらず、それどころかしっかり握っていたはずの自分の剣がなぜか手になく、地面に落ちていた。
劉煌が茫然自失としていると、木の上からお陸が下を向いて「だからアンタには、武術を教えるのは100万年早いのさ。」と言うと、木から飛び降りて劉煌の前に立った、、、と言ってもいつも通り腰が曲がっている。
劉煌は、項垂れて、「どうして」と小声で言うと、今度は、顔をあげお陸の目を見つめ大きな声で「どうして!」と叫んだ。
お陸は、劉煌の両肩をポンポンと叩きながら、「アンタはまだ修行1年目だ。慌てる乞食は貰いが少ない。慌てるんじゃないよ。いいかい。悪いけど、あたしゃアンタ相手に一切武術は使わなかったんだよ。」と言うと、「じゃあ、私の動きをもう一度スローモーションでやるよ。見てな。」と続けた。
そうすると、お陸は、まず斜めに飛び上がり、木を蹴とばすと、劉煌の手の甲に足先をつけ、その反動を使って更に木の高い部分に到達するとそれを蹴とばして跳んだ先の枝を掴んだ後、そこで大回転して枝の上に乗った。
木の枝に座りそこで脚をブラブラさせながら、「な、ただアンタから逃げただけだよ。」と言うと、「いかに、遁術が大事かわかったろう。もう、つべこべ言わずに、遁術を磨くのさ。」と言うと、木の枝の上からパッと消えて居なくなった。
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