第三章 隠密
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
おじさんと呼ばれるのを拒否している自称お兄さんに場所と日時を指定された劉煌は、今度はいつもの女の子の装い、すなわち『ピンクの着物と帯と草履。髪は左右と上部を軽くまとめ、残りは背中に長く垂らした髪型に銀の簪と白の涙型の石が1個末端についている長い垂れ型の耳飾り』で、指定の場所に、今回も30分前にやってきた。
今度は前回と違って、そこには人っ子一人おらず、彼も何回か本当にここでいいのだろうかと疑ったほど、周りには畑以外何もなく、ただ風が吹いているだけの寂しい場所だった。時間も近づいてきて、心配になった劉煌は、たまたま通りかかった腰が90°に曲がっている農家の老婆に、ここの地名を尋ねた。
すると老婆は、劉煌の顔を見て、さらに目を細め、
「お嬢ちゃん、本当に綺麗な顔立ちだね。」
と、彼が尋ねたこととは違うことを言ってきた。
劉煌は礼儀正しくお礼を言ってから、もう一度この場所のことを尋ねると、
「まさかこんな上玉だとは。人生まだ捨てたもんじゃないね。」
と訳の分からないことを呟いた。
そして劉煌が、三度目の同じ質問をしようとしたとき、その老婆は、持っていた大根を手放すと、そのしわくちゃの手で劉煌の顎をガシっと掴み、右左右と彼の顔を無理やり何度も横に向かせた。さらに老婆は下から見たり上から見たり、斜めから彼の顔を見ると、
「うーん、まったく死角の無い完璧な顔立ちだわ。合格!」
と言った。
何が合格なんだかさっぱり訳のわからない劉煌は、「おばあちゃん、何が合格なの?」と聞いた。老婆はその答えに、唖然として、2.3歩後ずさると、彼を指さしながら、「あんた、考査受けに来たんじゃないの?」と聞いた。
そこで初めて、劉煌は、この一見髪だけは黒いが70歳は下らない老婆が、くノ一候補生を選ぶ選考委員だと気づいた。
”そうか、老婆に変装して私の目を欺いていたのだ。私としたことが、完璧に騙された。この女性、できる!”
そう思った劉煌は、老婆の前にサーっと跪くと、「失礼いたしました。忍者希望の小高美蓮と申します。」と言って深々と頭を下げた。
老婆はさらに目を細めると、「うん、うん、早速明日からはじめようね。明日の14時にまたここにきて頂戴。」と言った。劉煌は不思議に思って、「午後からでいいのですか?午前中は何をしているのですか?」と聞いた。老婆はさらに目を細めて、
「いい質問だ。いいかい、忍者という職業は兵士みたいに専業ではないのよ。サイドビジネスなの。だから午前中は本業の農業をやってるの。」
と言って曲がった腰のまま自分のしわくちゃの顔を彼に見せると、大根を拾って、畑の中に入っていった。
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