第九章 転回
初投稿です。
仕様等まだ慣れていない為、設定・操作ミスありましたらご容赦ください。
登場人物の残忍さを表現するため、残酷な描写があるためR15としていますが、それ以外は復讐ものと言いつつ笑いネタ満載のアクションコメディー
翌朝、少し落ち着いた小春は、いつものように供の女官を連れて皇后楼に向かっていた。
すると前から知らない宮女の制服を着た女が息せききって走ってくるのが見えた。
小春の性格は、こういうのを見過ごせないので、なんと大胆にも彼女からその女に声をかけたのだった。
「ねえねえ、どうしたの?そんなに急いで。何かあったの?」
小高蓮の問題が片付いて、もう余裕しゃくしゃくの小春は、興味津々にその女に向かっていった。
すると、その先を急いでいる風の女は突然歩みを止め、小春に向かってお辞儀をしてからあたりを見回し、自ら小春に近づいて行った。
小春は何事かと思ってワクワクして彼女に聞く。
「私にだけこっそり教えて。」
彼女は「御意。」と言った後、小春にそっと耳打ちした。
それを聞いた小春は、みるみるうちに真っ青になり、その女を凝視して言った。
「間違いないの?」
「さあ、心配なら御典医長に聞きな。私は妃殿下に彼からの伝言を伝えに来ただけだから。」
そう言うと、宮女に化けたお陸は、小春にお辞儀をしてからくるっと回ってドロンと消えていなくなった。
”ううう、蓮の問題が終わったら、今度は柊だなんて。世の中狭すぎる!”
小春は先ほどとは打って変ってとぼとぼとした歩みになって、皇后楼にやってきた。
小春の浮かない顔を見た皇后は、厚い皇宮規則の本を開かずに、彼女にどうしたのかと聞いた。
すると小春はそれには答えず、逆に皇后に聞いた。
「宮女名簿って皇母さまがお持ちなんですか?」
「ええ持っているけれど。」
「見せてもらってもいいですか?」
小春は女官が持ってきた宮女名簿をガバッと勢いよく開いた。
宮女の数は1万人はいて、その中から特定の人物の名前を探すのは大変な作業だ。
しかし、柊は別だ。
なぜなら中ノ国の名前は、男女とも姓も名も二漢字ずつになっているのが主流だが、たまに名だけ一漢字、すなわち氏名で3漢字のイレギュラーな人がいて、それは山村柊もそうだった。だから4漢字がひしめく名簿の中で、3漢字を拾っていけばいいのだ。
名簿の8頁目で、山村柊の名前を見つけてしまった小春は、がっくりして名簿を閉じると、今度はすがるような目で皇后を見た。
小春から媚びる目で見られた皇后は、嫌な予感がしてすぐにその場で両手で自分を抱え込むと、小春からの話を待った。
「皇母さま、実はこの皇宮にもう一人顔なじみが、、、」
「なんですって?!」
あまりの予想外の小春の言葉に皇后はその美しい顔が醜くなるほどに歪めた。
「この山村柊とは、、、その、、、彼女が15になるまで姉妹としてずっと一緒に暮らして、、、」
「なんですって!?それって、顔なじみなんてレベルじゃないじゃない!」
今度は皇后はムンクの叫びのような顔になると、今度は頬に当てていた手を頭に移動させて頭を抱え込んだ。
しばらく悶々としていた皇后は、動揺がどん底まで行くと、今度は無意識に心の自己防衛が働き、名簿上の山村柊と小春の義妹の山村柊は別人物なのではないかと思い始めた。
”そうよ、ここにいるのは”山村 柊”なのではなくて、きっと東之国出身で、”山 村柊”(さん そんしゅう)なのよ。”と、東之国の名前は姓が漢字一文字、名が漢字二文字であることを思い出して、そう妄想した。
「ねえ、その宮女をあなたは見たの?名簿の名前だけだと別人の可能性だってあるじゃない。」
「私は見ていないのですが、、、」
「じゃあ、きっと違う人よ!」
「それが共通の知人から警告が、、、」
「は?共通の知人?」
「う、、、小高蓮です。」
「え?」
「小高も山村柊を知っていて、昨日小高蓮が後宮で宮女をしている彼女を見かけたから気をつけろと警告してきたんです。」
”もー。小高蓮という一難去って、一日もたたないうちにまた一難。。。”
皇后は自分の自慢の黒髪が一晩のうちに真っ白になるのではないかと、吐き気がしてきた。
すぐに彼女は部屋の外に控えていた宦官に、朝廷が終わったら仲邑備中を迎えに行くよう伝えた。
「皇母さま、今日の皇宮規則のお勉強は、、、」
「それどころじゃないわ。なんとか対策を考えないと。」
皇后はそういうと、あーでもないこーでもないとぶつぶつ呟きながら部屋の中を右往左往し始めた。
そして小春は、手持ち無沙汰なのもあって、宮女の名簿に他に知った名前、例えば、川中夏朮とか友永秋梨とか、、、が無いか一頁一頁丁寧に右上から左下まで確認していった。
”ほんと、4文字だと探しにくいわ、、、”
4文字の先頭に漢字の川とか友とかが出てくる度にドキッとしながら、小春は名簿を読み進めていたが、だんだんと単純な作業に睡魔が襲い、結局名簿に突っ伏して寝始めた。
小春が、小高蓮のお尻を蹴っ飛ばして皇宮から追い出すという楽しい夢を見ている時に、備中が皇后楼にやってきた。
備中としては、てっきり小高蓮に関することの口裏合わせなのかと思いきや、思いがけず,
小高蓮以外にも小春を知っている人物が、皇宮内、しかも後宮内を縦横無尽に神出鬼没できる職として雇われているという話の展開に、最終的には席から飛び上がるようにして立ち、地団太を踏んだ。
「国民2000万人いるなかで、人口100人にも満たない伏見村の3人が、遠く離れた京陵の皇宮に偶然同じ時期にいるなんてありえないだろう。」
備中は歯ぎしりをしながら低い声で呟いた。
”伏見村どころじゃないよ。本当は同じ屋根の下にいた3人なんだけど、、、でもそれは絶対に口が裂けても言えない、、、”
小春は備中の頭から湯気が出ているのを久しぶりに見て、心の中で溜息をついた。
備中の興奮が伝染してしまった皇后も、怒りまくっている備中も、そこに小春がいることなどすっかり忘れて、二人で山村柊排除法の密談に入った。
少しでも口を出そうものならその場で抹殺されかねないと本能的に察知した小春は、徐々に部屋の隅へと移動し、時折女官が持ってくる茶菓子を受け取るものの、彼らには出さずに全て自らの腹にすぐ収め、下手をすると凶器となりかねない使用後の茶器は彼女自ら部屋の外に下げる行為を繰り返していた。
結局、山村柊自身に問題があるわけではないことから、首にすることもできないし、妙な噂をたてられても困るので、なるべく山村柊と小春が出会わないようにするしかないという結論に達し、彼らは彼女を皇太子妃から最も物理的にも身分的にも距離の遠い桃香付の宮女とすることに落ち着いたのは、もう日がとっぷり暮れた頃だった。
「ちょうどいいわ。桃香さんは杖刑されたばかりだからお世話をする宮女ということで、山村柊とあと2,3人適当に見繕って彼女のもとに行かせましょう。」皇后はそう結論に達するとふーと言って大きなため息を一つついた。
~
その日、伏見村亀福寺の女住職で、小春の実母であり劉煌と山村柊の育ての母の備前清聴は、小春が寺を出て行ってからの日課になっていた村の井戸端会議に出ていた。
「あれ、村長は?」
いつもおやつの中心にいる村長がいないことに清聴が心配してそう尋ねると、他の衆は突然笑い出し、かなりのイケオジが村を訪ねてきて、そのお世話に夢中でここに来る暇がないのだと答えた。
「へえ、そんなイケオジがまたどうして伏見村なんかに。」
「よく知らないけど人探しみたいよ。」
「人探し?」
「うん、なんでもあんたんとこの小春ちゃんの男友達だって、そんな子いたっけね?」
一人が笑いながらそう言うと、清聴は真っ青になって慌てて顔を下に向けた。
清聴は1回俯いたまま大きく深呼吸すると、顔を上げた時はもう普通の顔に戻っていた。
「小春のことだったらどうしてあたしに聞きに来ないのかねぇ。」清聴は憮然としてそう言うと、みんなは一斉に大笑いしながら答えた。「男なんだから尼寺に入れないだろう?」
清聴はやらかしたという顔をしながらそうだったそうだったと彼女らに併せて誤魔化したが、内心はどうやってそのイケオジを村から追い払えばいいのかとうんざりしていた。
寺に帰るふりをして清聴は、そっと村長宅をうかがった。
例のイケオジは、確かにイケオジだった。しかもかなりのイケオジで、いつの間にか清聴の口にはいっぱい唾液がたまっていた。
”いけない、いけない、こういうのを正すために仏門に入ったのに!”
清聴は目をギューッとつぶり頭を振って、自らの煩悩を必死に消し去ろうとした。
”それにしても見たこともない顔だ、、、いったい誰が何の目的で小春を探っているのだろう?”
清聴はすぐにその場から離れると、とりあえず劉煌の家に向かった。
村長の話しから、小春の交友関係で”小高蓮”が出てくるとは思えなかったが、あのイケオジの雰囲気から間者のような気配を感じとっていた清聴は、小高蓮すなわち劉煌が何者なのかバレることを一番恐れたのだった。
あたりをうかがってから劉煌の家の扉を開け、中に誰もいないことを確認してから、彼女は家の中をあさり始めた。小高蓮の痕跡は問題ないが、それが劉煌につながるような物があったら一大事である。
幸いこの家には清聴が探し回った限りでは、危なそうな物は無く、ホッとしてふと視線を上に上げた時、清聴は寺に明かりがついていることに気づいた。
”何者なんだい、勝手に寺に忍び込むなんて。”
清聴は劉煌の家の戸締りをしっかりと確認してから家を出ると、寺には向かわずに村長宅へと向かった。
現村長は、代々この村の長をしている家の娘で、婿が来ても来てもなぜかいつの間にやら家出し、後から離縁状が届けられるという不憫な星のもとに生まれてきた女だった。
そんなこともあって村長の目は完全に♡型になっており、すでに村長宅から出立した”イケオジ”;彼は名前を張間佐吉と名乗ったらしい;をもう恋しがっていた。
「村長、そんなことはいいから、その佐吉?とかいう人は何を聞いてきたんだい?」
「ああ、小春の異性関係だよ。」
「んなもんあるわけないじゃないか。小春だよ?」
「私もそう言ったよ。小春に異性関係があるなら、私に夫がいないはずがないって。」
「それで納得したのかい?」
「いいや、でも後で名前を言ってきたんだよ、小高蓮ってね。それなら知ってるけど小春の男じゃないってきっぱり言ったよ。本当は私の男なんだけど、ほら、そこは佐吉つぁんの手前言えなかった。申し訳ないじゃない?」
清聴はいったい何が申し訳ないのかさっぱりわからなかったがまた同じ質問を繰り返した。
「それで納得したのかい?」
「さあ、わからないけど、小高先生のことを随分いろいろ聞いてきたから、私と彼の関係に気づいちゃったのかもしれないねぇ。それで出て行っちゃったのかな。うー。」
「どんなこと聞いてきたの?」
「家族関係とか、いつから住んでるかとか。」
「で、なんて答えたの?」
「そりゃー、みんなが知っていることだよ、数年前にこの村に越してきたけど、妹以外家族はいないってね。あと放浪癖がある。村の女の一推しだけど女に興味なさそう、、、」
「えー、どーして女に興味なさそうって思うんだい。」
「だって、前、うちの夫にならないかって聞いたら、ならないって、、、そう言われれば女に興味ないって思うだろう?」
「他には何か話した?」
「別に。」
「うちの他の子達のことは何か話した?」
「他の子って?」
「ほら、夏朮とか、、、」
「ああ、だから小高蓮の妹がいたことは話したね。」
「それで佐吉は今晩ここに泊まるのかね?」
「そうだったらいいのにね。一応勧めたけどね。戻ってくるかな?」
清聴は、村長が全くそうだとは微塵にも思っていない”事情聴衆”を終えると、また白昼夢を見始めた村長を置いて家路についた。
清聴が寺に戻ってきたときにはもう寺は真っ暗になっていた。
それでも清聴は五感を働かせて誰かが潜んでいないかチェックしながら寺に入っていった。
一見寺の中は何も変わっていないように見えたが、清聴は佐吉が潜んでいる可能性が否定できないので、その晩はあえて引き出しの中など何もチェックしないでそのまま床に就いた。
翌朝、朝のお勤めの後、寺の中に他に誰もいないことを確認してから清聴は引き出しを開けた。
その引き出しは2重底になっていて、上底の下に彼女は劉煌が蓮の池の横で倒れていた時に着ていた着物をさらに風呂敷に包んで入れていたのだ。
彼女は風呂敷を取り出すと、そこにわずかに漂う、あるはずのない親父臭を嗅ぎわけてしまった。
”しまった!蓮が倒れていた時の着物を見られた!”
清聴は、自分でも顔から血の気が引いていくのがよくわかった。
”こうしちゃいられない。とにかく、蓮に連絡しなきゃ。”
清聴は、そろそろ京陵に買い物に行く頃だったのを思い出し、すぐに荷物をまとめて京陵に向かって村を飛び出した。
~
清聴が京陵に着いた頃、万蔵は小雪がちらつく中、宰相府の吹きっさらしの小屋の中に潜んで、手をこすりながら備中が戻ってくるのを今か今かと待っていた。
万蔵は備中が朝廷から戻って来るや否や、屋根裏から備中の書斎に侵入し、すぐに火鉢の横に座った。備中は苦笑いをしながら手を温めている万蔵に聞いた。
「どうした。なにかわかったか?」
それだけで、備中の質問がわかった万蔵は、視線を火鉢から変えることなく答えた。
「村の衆が言うには、小春殿の恋人どころか幼馴染でもないようです。」
「何?」
「村に越してきたのもここ数年で、小高蓮自体、、、その、、、女に興味が無いようで。」
備中は万蔵の答えにさもあらんというような顔でうんうん頷いているので、万蔵は怪訝そうな顔をしてみせた。
「ああ、あいつはなよなよしてまるで女みたいだからな。女に興味が無くても不思議じゃない。」
「はあ。」
「他に何かないか。」
「小春殿の実家の亀福寺に侵入して、、、」
「お前、まさか尼寺に入ったのか?」
突然備中は飛び上がると、彼は血相を変えて唾を飛ばしながら万蔵を指さして非難した。
それが男子禁制の尼寺であろうが女風呂であろうが、情報収集に必要なところに侵入するのに手段を選ばないのが忍者の仕事。それを知っているはずの備中の非難のまなざしの意味が皆目わからず、憮然としながら万蔵は答えた。
「勿論です。」
備中は、万蔵がお鈴(清聴)の隠れ家である尼寺に侵入したことに動揺してうわずった声で恐る恐る彼に聞いた。
「じ、住職に追い出されなかったのか?」
「ちょうど不在でしたから。」
「そうか。」”ほっ、お鈴(清聴)が住職だとバレていないようだな。”
「ただ、そこに不思議な物がありまして、、、」
”まさか、住職がお鈴(清聴)だとバレる物があったのか!?”
備中が黙っていると万蔵は続けて言った。
「男子禁制なのに、なぜか男の着物がありやした。」
「男の着物?」”もしや、わしの着物を隠していたのか?”
「へえ、正確に言うと男の子の着物です。しかも庶民のものじゃない。上等な着物、、、それもそんじょそこらの貴族の代物じゃない、、、相当身分が高い。」
「男の子?どれくらいのだ。」
「そうさねー。10歳位?ですかねー。」
その時備中は、別れてから初めてお鈴(清聴)に会ったあの時、幼い照挙が狩りで迷子になり小春に助けられたことを思い出した。
”そうか、あの時の照挙殿下の着物をお鈴(清聴)はとっていたのか。”
”そう言えば、照挙殿下と小春は、波留が殿下と出会う前に出会っていたのだ。これも誠に不思議なことだが、縁というものなのだろう。天意を感じずにはおられぬわい。”
備中は感慨にふけりながらも、肝心の小高蓮の情報が忍者の、しかも頭領が収集してきたとは思えないお粗末なレベルであることに気づくと、万蔵を罵った。
「まったく、(小高蓮の)そんな話しぐらい知っているし、その着物の出所も知っている。小高蓮の物じゃない。上等な着物からでもわかるだろう。まったく万蔵、何のためにお前にこの件を託したと思うのか?もっとちゃんと調べてこい。出生から何から何までだ。あ、しかし、尼寺にはもう出入りするな。」”お鈴がいるとバレたらまずいからな。”
本当は万蔵が見つけた物こそ”小高蓮の秘密”に関わる最重要物証だったのに、このように備中は勝手に早とちりをして、逆に誤った情報を万蔵に与え、しかもそれについて彼が再調査する機会も取り上げてしまった。
さすがにプロ中のプロだけあって、万蔵の鼻は、上等な幼い男の子の着物が尼寺に隠してあることにぷんぷん怪しい臭いを検出していたので、備中のこの発言にその自慢の鼻をくじかれ、混乱してしまった。
”着物の出所までだと?なんで備中殿がそんなことまで知っているんだ。”
”あれをもう一度手にして詳しく調べれば何かわかると思ったのに、、、それすらダメか、、、”
皇太子照挙が9歳の頃、西乃国の間者に狙われたことは覚えていたが、その時照挙が自らの衣を捨てて逃げていたことまでは知らない万蔵は、備中がその着物を照挙の物だと確信していることに気づかず、大きな溜息をついた。
それに勿論万蔵のレベルではこれが満足行く回答ではないのは百も承知だったが、お陸との一件があり、なんとかそれで備中が許してくれないかと狙っていたのだった。
何がそれほど小高蓮の調査について万蔵を渋らせているかというと、それは他でもない、小高蓮がお陸の宝物だからだった。
”姐さんに勘づかれないように事を進めなければ。。。”
”どうすればいいか、、、”
万蔵は備中に御意とだけ告げるとその場からスッと消えていなくなった。
一方、清聴は京陵の門をくぐったものの、この広い京陵のどこに劉煌がいるのかと途方に暮れていた。
すると目の前を女の子がすっと通り過ぎたので、清聴は、ここぞとばかりその子に声をかけた。
「ごめんなさいよ。お嬢ちゃん、つかぬことを聞くけど、小高蓮という医者はどこにいるか知っている、、、」かねー?と聞く間もなくその女の子はピッと振り返って清聴の耳元で囁いた。
「知らないの?蓮先生は、誘拐されちゃったのよ!」
お読みいただきありがとうございました!
またのお越しを心よりお待ちしております!