短編小説:ゲームタイトル「無慈悲な異世界転移」
朝起きれば自分は森の中にいた。地平線の彼方まで低草が広がり、近くに木こり小屋があった。その木こり小屋の中にはサングラスが置かれてある。このサングラスには見覚えがある、確か死んだ祖父が俺にくれたものと酷似している。サングラスを破壊すると後ろから誰かに話しかけられた。
「私は銀髪の碧眼美少女。君の名前は?」
「アダム」
「初めましてアダム、これからあなたにこの世界に存在する7体の魔物を倒してほしいの。
一番目の魔物がケセド、二番目の魔物がネツァク、三番目の魔物がホド、四番目の魔物がケブラー、5番目の魔物がビナー、6番目の魔物がケテル、7番目の魔物がダアト。この魔物たちには名前しかなくて名前によってその存在の在り方が決まるの。」
「分かった。」
「物分かりが早くて助かるわ、私の役割はここで終わり。続きはこのお爺さんに聞いて」
「おぬしは何も分かっておらぬ。分かった所で勝手に分かるだけじゃろうが。全く節操のない」
やけに物をあらぬ方向で達観している老人に声をかけられた
「いいか名もなき旅人よ、ただの鶏でも影だけ見れば地竜にも見え、萎縮すれば飛竜よりも恐ろしい。くれぐれも自分が何者かをはき違えてはならない」
「ここから東の山を二つ越せば活気のある街に着く。そこで自身を勇者と名乗れ。おぬしにこの聖骸布を渡しておく。いいかこの聖骸布はきっとおぬしに役に立つ。いつの日かおぬしが魔物をすべて倒せばこの世界にも楽園が訪れる」
老人から渡された真っ青な聖骸布の真ん中には円を描くように黄色く見覚えのない模様が描かれていた。そしてそれをポケットに大事にしまい込む。