第五話「産地直送、高級肉」
今日は闇カジノで遊ぶことにした。
「いらっしゃラヴィ君、遊びに来たんだね」
「はい、オーナー!面白そうだったので来ちゃいました」
ルーレット、カード、スロット、遊戯場はどれも興味深い。
夜には闘技場で戦う為あまり長居は出来ないが遊び倒すぞ!
かっこつける為にサングラスを着用して煙草を咥えてみた。
今の僕は相当イカしてる事だろう。
所持金をチップに変えて貰って遊ぶ。
まずはルーレットだ、ディーラーさんに黒か赤か、賭ける数字を聞かれる。
様子見だ、所持チップの半分を赤の12番にベットする事にした。
「20枚、赤の12番!」
「まぁ、おめでとうございます!」
一点掛け、倍率36倍だ!
一瞬で720枚のチップが稼げたこれで手持ちは740枚だ。
40枚残れば損もない次は700枚掛けだ。
「赤の21番に700枚掛けるよ」
「よろしいのですか?」
「うん、今日は掛けたい気分なんだ」
「当選は赤の21番……25200枚です」
「よっしゃあああ、じゃあ、それを全額黒の4へ」
「楽しんでるかね?」
「あっ、オーナー、すっごく楽しいです!」
「当選は、黒の、黒の4番……907200枚です……」
後ろから震えるようなディーラーさんの小さな声が聞こえる。
絶好調! 僕の幸運は桁違いだったようだ。
「そうか、私も嬉しいよ、あと君ルーレット出禁ね」
僕はルーレット会場から追い出されてしまった。
仕方ない次はスロットだ。
777、揃い続ける7。
ルーレット程、一気でもないけどスロットも楽しいや。
3箱目が積みあがる時オーナーは笑顔で僕の後ろに立っていた。
「ラヴィくん、スロットもだめだよ」
「どうしてもですか?
試合まで、暇なんです、せめてカードで遊ばせてください」
「うーん、じゃあちょっとだけ、ディーラーと戦わないなら良いよ」
特別にカードは許された、よかった闇カジノが出禁になるところだった!
カードも好きだ、ポーカーをやるぞ。
ジョーカー以外、4枚同じカードを揃えるゲームだ。
「ファイブカード!」
「嘘だろ、3連続ファイブカードなんてありえねぇ、イカサマだ!」
「僕はイカサマしてないよっ!」
何故か怒った対戦相手が喧嘩を売って来たけど。
軽く蹴り飛ばしたら、オーナーから出禁を正式に言い渡された。
時間も丁度良くなったから僕は今日も対戦だ。
「獣闘士ラヴィ、今日の対戦相手はド、ドラゴンです。
モンスターと戦わされる闘士は今までもありましたが。
最上級、レアモンスターのドラゴンも屠る事ができるのか。
今日の試合は必見です、一瞬たりとも目を離せません」
「グギャアアアアア」
「ドラゴンだって負けないよ!」
今日の相手はなんとドラゴン。
一見強そうで迫力ばっちりだけど小さい個体な上に。
鎖で繋がれて飛べないようにされている。
いつもどおりやるだけだ!
「やれやれー!」
「ドラゴンも一撃だろー!」
「きゃードラゴン!」
「ラヴィー負けないでー!」
尻尾を掴んでぐるぐる回す、巨体なだけで動きは遅い。
重り用の鎖ごと、ドラゴンは吹き飛んだ。
常に鎖に繋がれていたのか戦いに慣れてないのかもしれない。
見た目よりもずっと弱そうだ。
追撃する為、顔面に蹴りを入れるが動かない。
投げ飛ばした時に気絶したのかもしれない。
「まさかの、ドラゴンもノックアウトだーーー!」
ドラゴンも苦戦せず、僕はこの後もいつも通り蹴り一撃で倒した。
今日はカジノの当たり分がある、炭火焼肉モウジュウ亭で豪遊するぞ!
高いお肉や希少なお肉があるといいなぁ。
チラミちゃんに一人用の席を案内される。
おススメを聞いたらなんと今日は小型ドラゴンが入荷していたらしい。
「今日は小型ドラゴンの希少部位が手に入ったんですよ。
ラヴィさんも食べてみて欲しいでぇす」
「せっかくだからドラゴンの前足を貰おうかな」
豪快にも、前足一本を丸ごとだ。
バラした指の一本一本を焼いていく、小型でも豚足よりはやや大きめだ。
ドラゴンは飛行するせいか殆ど動かない。
その肉は、天然の霜降り肉となっており。
鱗は鎧にも剣にもなる程固いのに肉は柔らかいのだ。
まさに極上肉、気になるのはさっき戦ったドラゴンと。
手のサイズが似てる気がするけど気のせいかな。
特製の甘辛ソースを付けてアツアツにかぶりつく、じんわりと油が滴った。
中心は柔らかく周辺は焼き目が香ばしい、格別だ、これがドラゴン。
しかし、少し、脂がきつい、高級肉特有の食べると胃を攻撃してくる何かがある。
さっぱりしたもの……よし、今日はあっさりロースを食べよう。
「すみません、千切りキャベツ2杯と本日のおススメロースを塩で10人前下さい」
「千切りキャベツ2杯と本日のおススメ羊のロース10人前、塩ですね」
うまい、さっぱりしたキャベツ。
あっさりしたロースは肉の旨味を引き出している。
無限に食べられる。
羊肉は癖が強いのも多いけど。
この店のは品質が良いのかまったく気にならない。
シンプルな塩だけが逆に美味しい。
キャベツとロースをおかわりしたい要求に駆られたが。
我慢だ今日は食べたいものがある。
「デザートでアイス三種盛下さい」
「味はどうなさいますか?本日は12種類用意してあります」
バニラ、塩キャラメル、抹茶。
ブルーベリー、ストロベリー、ヨーグルト。
チョコレート、チーズケーキ、ミックスナッツ。
サイダー、グレープフルーツ、ブラッドオレンジ。
困った、予想以上に多い。
すぐ決めるのって苦手なんだよな。
「バニラ、チョコレート、ストロベリーで」
「バニラ、チョコレート、ストロベリーですね」
無難3種類を選んでしまった。
ブルーベリーとブラッドオレンジは気になったのに。
目についた三種類にしてしまうなんて……。
さっぱりとしてこってりとしてるアイスクリームは大好きだ。
ストロベリーは大粒の果肉ジャム入りだ。
チョコレートも濃厚、バニラは逆にさっぱりしてシャーベットっぽい。
これはこれで美味しい!
「お会計45610Gでぇす」
ドラゴン、値段も味も桁違いだ。
でも今日は懐に余裕があるぞ!
寝床に戻るとオーナーが出迎えてくれた。
カジノのでの出来事が心配だったけど気にして無いようだ。
「お帰りラビィ君」
「ただいまオーナー、今日はドラゴンを食べてきました」
「えっ、もしかして倒した奴、食べちゃったの?」
「違いますよーお店でですよー炭火焼肉モウジュウ亭って言うんですけどね」
「モウジュウ亭、あっ……そうなんだーよかったねーハハハ」
オーナーの顔が複雑そうだけどまさかね?
焼肉最高!