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第六の世界

 あのツンデレよー。

 軽トラ、どこよ。

 まぁ、ちょっと冷静になろうぜ。


 状況の整理だ。

 赤い女神に初めて会って、ちょい話したわけな。俺にちょい融通利かせてくれるぜって話になって、交渉してくるから待ってろと。

 で、なんか初対面なのに盛大な惚気かまされて、逃げられたわけだな。

 よしよし、ちゃんと記憶あるぜ。


 で、今、ここは多分城の謁見間だよ。

 おい、赤い女神。照れて出てこないのはいいよ。

 交渉どうなったかだけ、報告よこせよ。手紙でもいいよ。

 まぁ、仕方ねーのか。仕事中だったみたいだし……。

 うーん。

 でも、女神も仕事だろ?


 考えたって仕方ねー。

 赤い女神は、何も報告してくれずに俺の召喚に許可を出しました。ってことだろ。

 もうちょい、感慨に耽る時間とか欲しかったなー。欲しかったなー。欲しかったなー(エコー)。

 

 そしたら、ここは、もう別世界か。

 うーん。

 でも、文化、似てんのかなー。

 明らかに王様っぽいのが俺に土下座してんだけど。


 王様(仮)は四十くらい。顔見えないけど、白髪の感じからそれくらい。

 でも王様って苦労しているやつ多いからなー。

 土下座キメるくらいだから、プライドとかより、国のためってキャラだろうしなー。

 いいやつそうだなー。

 俺よりちょっと上くらいかもしれんなー。

 どのみち、年上ってことには変わりないんだけどよ。


 冷静に自分の格好をすっと見下げた。

 まあ部屋着のジャージだ。

 荒れてた26歳ごろとか裸族だったけどな。歳取るとキツくなんだよ。

 あの赤い女神様にそんなこと求めないけどよ。二つ目の世界の女神様は最初からかっこいい鎧とか装備用意しておいてくれたぜ。


 ジャージの31歳に土下座する王様(仮)。

 あーもう、どう言う状況。嫌だなぁ。すぐにでも戦いに行けとか言われそう。

 ステータス透視打ってもいいけど、感知されて色々言われたらめんどくさいしなー。

 これ、目の前にいるの王様決定だろうしよー。

 あーあ。面倒くせぇ。


「私はしがない、召喚されしもの。国を統べる方が軽々しく頭を垂れるものではありません」

 なんだこの厨二発言。

 言ってから思ったけど、言葉、通じる?

 はっと顔をあげる王様(仮)。

 あ、言葉は通じるのね。王様(仮)にだけ、って可能性もあるけど、まぁ大丈夫でしょ。

 第二の世界の女神様の加護で言葉が通じるってのがあったんだよなー。それが載ってんのかなー。

 ひとりになった時に、要確認だなー。


 おう、どうした王様(仮)。顔めっちゃ綺麗だな。年齢尚更わかんねーわ。

 今更、俺のダサい格好に気づいたか。

 すまんなジャージで。

 でも、言いたいことは言ってくれ。あと、そろそろ王座に戻れ。せめて立て。


「なんとお詫びを言いたら良いのか」

「あー仕方ない仕方ない、です。召喚されるのには慣れてますから……」

 慣れてるとはなんなんだ俺は。

 嫌な慣れもあったもんだぜ。


「それは……」

 なんで目を逸らしてどうした王様(仮)

「えぇ、隣国が攻め入ってるのですか」

「いや……」

「それでは魔王が誕生しましたか」

「いえ……」

「では、今すぐにでも戦力を集めなければならないような、危機的状況にあるのですね。何があろうと、召喚されたからには力を尽くしたいと……」

 あれ、なんだこの空気。


 王様(仮)がすっと立ち上がった。

 え、何この無言。

 え。


 王様(仮)が口を開いた。

「状況が変わりまして」

「えぇ、はい」

 どんな危機だろうと、ここまで得た力を発揮して死力を尽くす。ここが、本当の第二の故郷になるんだから。

「戦争もなく……魔王は倒れ……」

 ありゃ。

 スローライフか? ついにきたか?


「勇者様を召喚しておいて、この通り、誠に……」

 王様(仮)がまた土下座した。

 あー。

 これは。

 ぽいぞ、きたぞ。スローライフ。


「つまり、私がやるべき任務はないと」

「……はい」

 よっしキタコレ。

 スローライフ系!!

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