第一の世界
俺の初めての異世界は、中学三年の夏だった。俺の幼馴染がハマったんだよな。トイレから異世界に行っちゃうあのライトノベルに。
男って、馬鹿だからよ。
もしかしたら、俺もとか考えて、中学のトイレずーっと覗き込んで。
不審者すぎる。
アホだろ。
家でそんなことしてたら、ノロにかかったのかよって頭叩かれるから学校で、な。
中二で卒業しろよそんなことはよ。
で、その帰りにトラックに轢かれたんだな。
今思えば時代の先取りだよなオイ。
それでよー。
そこでは、基本的に国が勇者様を求めて召喚すんだよ。
その国、奴隷に反乱起こされて、周りの国が元奴隷たちについて、ボッコボコにされて、決死の力を振り絞って俺を喚んだってわけよ。
おおよそ考えられる限りで最悪じゃね。
運が悪いのよ、俺は。
俺も若かったからよー。
いや、若かったからよかったんだよ。
「それはちがーう! 正義にもとーる! 勇者じゃなーい!」って大反発よ。
今なら、変に忖度ってやつをやっちまうもんよ。
結局、召喚した国を倒して、女の子ともいい感じになったんだけどよ。
幼馴染いるじゃん。
俺、若かったからよ。帰っちゃったんだよな。
あはは。
俺の、高校の三年、それで、消えちまってよ。
彼女は、別の男と子ども作って結婚してた。
そもそも、会えねーわ。合わせる顔がねーよな。