6回目の異世界転移
俺の名前は高橋謙吾(32)。
平々凡々なサラリーマン、と言いたいところだけど、このご時世にフリーター。マジで嫌になっちゃうぜ。
2020年、世界を新型コロナウイルスという猛威が襲った。つーまーりは、飲食店中心に働いていた俺の懐に大☆直☆撃☆ってわけだ。
まぁ、仕方ないよな。
くっそ〜こんなことなら免許を取り直しておくんだったぜ。2トンなら普通免許でも運転できるもんなー。でも、仕方ないよなー。
求人自体はあるんだよ。でも、このご時世に別の街に住み始めるってのも難易度高いぜ。
今日も六畳一間の借りアパートに帰る。
尻ポケットから出した鍵を鍵穴に突っ込む。いささか乱暴で、ガっと削れる音がするが構いやしねぇ。
しかしまぁ。
なんとかしねぇと。
今からでも遅くねぇ。プログラミングとやらに手を出してみるか? でも、進化する技術に追いつくために日々精進しなきゃなんねーだろ。やけくそに株でもかって、寝かしてみるか?
あーダメダメ。
疲れた頭じゃろくな考えが浮かばねー。
電気をつけて、冷蔵庫を覗く。
なんもねぇ。
いつもの、部屋。
いつもの、俺。
本日モ異常ナシ。
卵ご飯をかき込んでたら周りが光って異世界に飛ばされた。
あー。またかー。
きちゃったかー。
最悪のシナリオは、俺が感染してて異世界にウイルス撒き散らす展開だよな。
あー。
涙が出るぜ。