表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/135

合流編Ⅸ・前

『あの場所』、『異世界』、『皆が集まる所』等々、様々な呼ばれ方をする空間に、マズルとツルギたちは呼び出される。

 今回で九度目となる招集に、全員は慣れすら感じていた。


「お疲れ様で御座います皆様。それでは此度は…」


「わかってるよ。魔獣退治、だろ?」


「早く済ませましょう。その方が、誰にとってもいい」


 恭しく声をかけるセタ。それをマズルとツルギは遮り、戦いの場への案内を促す。


「はい、参りましょう」


 セタは反応の速さに面食らいながらも、狭魔獣の元へと先導し始めた。


「なんというか、はりきってるね、ツルギ」


 普段とは違う気力を感じ取ったのか、バレッタはマジーナに耳打ちした。


「うーん、そう言われればその通りなんだけど。ちょっと色々とあってね」


「色々と…。そうなんだね」


 バレッタはそれ以上、その件に触れることはしなかった。


「最近どう? 元気だった?」


 ワカバに話しかけるハウ。


「うん。元気。この前、大魔王の所に行ってきたんだ」


「だだ、大魔王の? すごい所だな、そっちの世界は…」


 素直に驚くハウ。そこに、クロマが補足とばかりに口を挟む。


「ですが、大魔王とは戦わなかったんです。既にいなかったといいますか…」


「奇妙な話だね。確かにそちらの世界は我々の理解を遥かに超えているだろうが、しかしながら…」


「大魔王の城ってどんなだったッスか? 詳しく聞かせてよ、クロさん」


「は、はい。えーと…」


 ジェシカは強引に割り込み、エールの話を遮る。


「ふっ…大変だな。そちらも」


 カサンドラはエールの肩に手を置き、苦笑いして声をかけた。


「お気遣い痛みいるよ。貴女方と同じく、我々も大きな壁を乗り越えたと言っても過言ではなかったんだ」


「ほう、それは喜ばしい。その話も聞かせてくれないか?」


「もちろんだとも。あれは数日前のことでね………」


 二つの世界の人間たちは互いに親睦を深め、いつからか気兼ねなく会話をすることが容易になっていた。


 その様子を確認するセタは、満足気な笑みを浮かべていた。




 開かれた巨大な扉を九度くぐり抜けた後、一行は狭魔獣たちと対峙する。

 今回も相手は二匹だった。鋭い牙と爪を持つ虎の如き姿の魔獣と、鋼色の翼を生やした巨大な鶏の魔獣だった。


「『カトラス・タイガー』と『アイアン・トリス』という魔獣です。ご覧の通り今回も二体おりますので、どうぞご注意を…」


「言われなくてもわかるって。さて、行くぞ………。あっ、そういえば俺の銃は…」


 マズルは背負った銃に手をやり、記憶を呼び覚ます。彼の銃は前回の戦いで破損し、それ以後使う機会もなかったため壊れたことを忘れかけていた。


「まだ言ってなかったね。なんとか直してみようとしたし、こういうのに詳しい所に持っていったんだけど、ダメだったよ…」


 バレッタはマズルの背中をトントンと叩き、慰めるように言った。


「…仕方ねえな。心苦しいが、今回俺は戦いに不参加だ。よろしく頼む」


「ボクたちがサポートしますから、安心してくださいよ」


「そうそう。遠距離攻撃なら、あたしたちだっているんだもん」


「が、頑張ります。マズルさんの分まで」


「あちしもいるんだよ。忘れないでよね」


「ぼくは回復くらいしかできないけど、精一杯やります」


 そう言うとハウたちは、鶏の魔獣の元へと向かう。


「アニキ、あっちの方は僕らが」


「この人数でかかれば、接近戦でも対処できるだろう」


「バレッタ殿も、こちらで戦うのか?」


「そうさせてもらうよ。アタシの魂のこもった拳は、鉄にだって負けないんだから」


 ツルギたちは虎の魔獣に対峙した。


「人数的には、俺もあの虎野郎に付いた方がいいのか。足手まといにはならないようにしなきゃな…」


 二手に分かれた後、戦力を減らした状態で戦いの火蓋が切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ