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魔王城の守りは堅牢?

 魔物の大群はツルギと兵士たちを威嚇する。しかし待ち構えていたというわけではないようで、よく見ればこちらの姿を見てから慌てて武器を持つ者や、仲間を呼びに行く者も見受けられた。


「こんな所に魔物が…。僕たちを待ち構えていたのか」

「さすがは大魔王ね。用意周到ってわけだ」


 違うだろ、と突っ込みたかったが、今はそれどころではなさそうだ。気を集中させなきゃ、ここは乗り切れそうにない。


「皆様、ここは我々にお任せを。早く魔王城へと向かってください」


 魔物と睨み合う中、兵士の隊長が声をかける。


「だ、大丈夫なんですか? 相手はあんなにたくさんいますが…」

「それに、町の周辺で見かける魔物とは違うようだぞ。安易に挑んでは危険だ」


 クロマとカサンドラは、敵の強さを危険視していた。レベルの高い職だからわかるのだろうか。


「ご安心めされよ。我々も日々訓練しております。あのような魔物の一匹や二匹ずつを相手取るなど、造作もありません。ここは、私の言葉を信じてください」

「だが、しかし…」


 考えている合間に、魔物たちは準備を整え、こちらに向かってきている。もう迷っている暇はないようだ。


「早く! 魔王に立ち向かえるのは、あなた方しかいないのですぞ!!」

「…致し方ない、皆、行くぞ!!」


 カサンドラは先陣を切り、魔物の群れに突っ込んで行く。続けてツルギたち四人も後を追った。

 群がってくる魔物たちはツルギとカサンドラが撃退し、前方を塞ぐ魔物はクロマとマジーナの魔法で吹き飛ばした。

 それでもまだ動く気力のある魔物は後ろから追って来ていた。


「こいつらけっこうタフじゃない。しつこいわねまったく…」

「ぼくに任せて。えいっ!」


 ワカバは地面から太い蔦を生やして網目状に絡ませ、大きな壁を作り上げた。蔦には棘も生えており、簡単には通れそうにない。


「いいぞワカバ。これで先に進める。さぁ、進もう」


 魔物の大群相手に戦う兵士たちを置いて、ツルギたちは魔王城へと近づいて行った。




 城まではあと数百メートルといったところまで近づくまで、五人は一言も発さなかった。あちらの進言とはいえ、戦いを任せてきてしまったことへの後悔や不安がのしかかっているのだろう。


「大丈夫かな、兵士さんたち…」


 更に城に近づいた頃、マジーナが口を開いた。


「彼らの強さは私も存じている。あの程度の魔物たち相手ならば、心配なかろう…」


 そう答えたカサンドラの声も、いつもよりどこか不安げだった。


「ぼく、余計なことしちゃったかな…。あの蔦で通せんぼしたから、魔物たちはみんな兵士さんの所に…」

「そ、そんなことありませんよ。そのおかげで私たち、先に進めてるんですから」


 再び沈黙が流れる。これから魔王と戦うってのに、覇気が感じられなくなった。こんなんで大丈夫なのか…?



 そして、一行は遂に魔王城の入口に到着した。


 遠目から見ても真っ黒だった城壁は、近くで見ると更に深い漆黒で、城自体がオーラのようなものを放っているかのようだ。

 正面に造られた巨大な扉は、肩車した大人が五人は通れるほどの高さで、横幅もそれに応じてかなりの長さがある。まるで、ここに住まう主の身体を表しているかのようだ。


「来たわね、とうとう」


 城を見上げながら、マジーナが呟く。


「ああ。ここまで来たらもう、行くしかない」


 剣の柄をグッと握りしめ、ツルギは答えた。


「中に入る前に少し待ってください。索敵魔法を使って、罠や伏兵を調べますので…」


 クロマは屈んで杖を立て、呪文を唱え始めた。敵の本拠地となれば、それくらいの準備は当然というべきか。


「…お待たせしました。この周辺は問題なさそうです。では行きましょう」


 五人はいよいよ城の中へと向かう。罠がないことを確認したとはいえ、歩みは慎重だった。

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