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審判

 マジーナとクロマが対決の方法を承諾したと確認したダイヤは、不気味な笑みを浮かべていた。


「ふふ、言ったわね。それじゃあお望み通り、勝負して差し上げるわ」


 ダイヤは手に持った扇子の魔法具を広げ、高慢な態度を取る。自分から提案したルールのはずだが、二人がわざわざ乗ってきた、というような口ぶりだった。


「それで、勝負の方法は魔法を使ったものなんでしょ? それもお互いを傷つけないっていう。一体何をするのよ?」


 マジーナはダイヤの態度に内心苛つきながらも、平静に尋ねた。


「簡単よ。アンタ方の魔法と私の魔法、どちらが上なのか審判に決めてもらうの。力だけじゃなく、速さや正確さもね」


「審判? それは誰がするんです?」


 クロマはすかさず尋ねた。ダイヤは手をパンパンと叩き、何かの合図をした。すると、勇者一行が入ってきた扉が開き、数人の人々が現れた。

 それは、ここに来る前に立ち寄ったソイスという街にいた人々だった。


「この人たちは……。あの街の人たちですか?」


「その通り。私がお願いして来てもらったのよ。第三者に審査していただくのが、フェアってもんでしょう?」


 ダイヤはそう言ったが、彼女自身が連れてきたとなれば怪しいと感じざるを得ない。そう感じたマズルは街人たちの元へ行き、ひっそりと尋ねた。


「……なぁあんたら、ちゃんと審査できるんだろうな? あいつに何か脅されてるとか約束してるとか、ないのか?」


 マズルの問いには、人々は言葉を発さず、ただ黙って頷いただけだった。その目はどこか空虚で、生気は感じられなかった。

 マズルは彼らの曖昧な答えに首を傾げ、その場を後にするしかできなかった。


「あいつら、本当に大丈夫なのか。俺たちを厄介者扱いして街から追い出したし……。ん? ジェシカ、何やってんだ?」


 仲間の元に戻ったマズルは、一人で後ろを向いてこそこそと何かをしているジェシカが気になり、声をかけた。


「別に。なんでもないよ。セタっち、ちょっと協力してほしいことがあるんだけど」


「私に? 何で御座いましょう?」


「えっとね。一回外出て……」


 そう言い残し、ジェシカはセタを連れて館の外に出てしまった。


「こんな時にどこで何をするつもりなのだ。仕方のない子だな……」


 その様子を見ていたカサンドラは、呆れた風にため息をついた。


「さあ、気は済んだかしら? そろそろ始めるわよ。魔法勝負を!」


 ダイヤは声高に宣言すると、再び手を叩く。すると、今度は怪物ダストたちが大きな岩を三つ運んできた。


「ほら、早く置いて。……もう、グズだね! 置いたらさっさと出ておゆき! 目障りなんだよ!!」


 ダイヤはヒステリックに急き立て、ダストたちを追い出した。後にはダイヤとマジーナ、クロマの前にそれぞれ一つずつ、大岩が残されていた。


「これからこの岩を、魔法を使って砕くのよ。使える魔法は全て使って構わないわ。早く粉砕したほうが勝ち。分かりやすいでしょう?」


「分かったわ。それじゃ、すぐに始めましょう」


 マジーナとクロマは態勢を整え、大岩に狙いを定める。

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