双子との出会い
カミカゼとの戦いを終え、一段落ついた一行は、街の広場で椅子に腰掛け、身体を休めていた。
同時に、現在の状況の整理も行っていたのだった。
「カミカゼは、自らの負けを認めたということで御座いますか」
セタはエールからの報告を聴き、繰り返した。
「そう。変な奴よね。まぁ正直なところ、あいつが助けてくれなきゃ、街は大変なことになってたかもしれないし、あいつの勝ちと言われたら否定できる自信はないんだけど……」
同じく、カミカゼの負け宣言を聞いていたマジーナは、どちらの味方をしているのかわからない私見を述べる。
「確かに妙な話だな。奴から持ちかけられた勝負なんだから、都合よく自分の勝ちにしておけばいいものを」
「そうですね。もともと向こうから仕掛けられた勝負だったはずで……。あれ、そういえば僕たち、何でここに来たのでしたっけ?」
ふと思い出して、ツルギは疑問を口にする。それに答えたのはハルケンだった。
「ここへ来たのは私の提案でございます。良い温泉がありますので、疲れを癒してはいかがかと」
「そうであったな。しかしその前に、私とワカバとハウ殿が目撃した不思議な子どもを見つける目的があったはず」
カサンドラは言った。ハウとワカバは、揃って頷く。
「つーことは、あちしら、偶然来たこの街で、なりゆきでカミカゼと戦ったってコト? あいつ、特に悪いことしてなかったよね?」
ジェシカは彼女なりに考え、更に疑問を呈した。
その質問には、誰もはっきりと答えられなかった。
「まぁ、前回はプラントを止めるために勝負したわけだけど、今回は戦わなきゃならない理由はなかったわけだね。もしかしてあいつ、ただ勝負したかっただけだったりして」
「それだけ聞くと、あまり悪い人には思えませんね。ひょっとしたら私たち、色眼鏡で見ていたのかもしれません。アンチ・ピースを」
バレッタ、クロマがそう言うと、全員が黙りこくった。
「さぁ、ここにいる理由もなくなりましたし、再び戻りましょうか。二人の子どもを見つける旅に」
セタの号令に従い、全員が出発の準備をしようとした。
その時、聞き慣れない声が近くからした。
「気持ちよかったな、温泉」
「うん。お城じゃ、こんな綺麗で大きなお風呂に入れないもんね。ありがとうライサ。連れてきてくれて」
「いいってことよ。お前らにも、息抜きは必要だと思ってな。……ま、本当はエクリプスに言われて仕方なくだがな」
声の主は、奇妙な仮面をつけた男と、二人組の幼い少年少女だった。子どもたちはともかく、仮面の男は周囲には合わない、ちぐはぐな雰囲気だった。
そして少年少女の方は、ハウたちが見覚えのある二人だった。
「ああっ、あの二人! 例の子どもたちですよ!!」
思わず大声を張り上げたハウ。当然、向こうにも気づかれてしまう。
「なに? あの人たち、わたしたちのこと知ってるの?」
「ちっ、勇者どもか。まだこの街にいやがったとは。……お前ら、逃げろ。あいつらに捕まったら食われちまうぞ」
「えっ、ホントかよ。逃げるぞ、サナ」
「ええ、レン。置いてかないでよ」
二人の子どもとライサは、それぞれ別の方向へと逃げ出した。
「あいつら、やっぱり敵の一味か? 追うぞ!」
勇者たちも二手に分かれ、三人を追いかけた。




