秋葉原ヲタク白書85 イケメンカルテル
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第85話です。
今回は、前回王女を誘拐したのは、池袋でホストを拉致し秋葉原で男娼に堕とす"イケメンカルテル"と判明します。
カルテル壊滅のため、池袋のハプニングバーに潜入し、憧れ?の4Pに挑む主人公でしたが現場にメイド長が乱入して…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 その王女、エビア
とうとう名前を決めない内に前回が終わってしまったけど、彼女の名前はエビア。
アキバで行方不明になり、危うく"喜び組"に売り飛ばされかけた産油国の王女。
王家の潤沢な資産で優雅に暮らすが、王位継承権は数百位と逝うお気楽な人生だ。
で、そのお気楽王女が御屋敷に御帰宅して来るやいなや、僕を見つけて逝い放つ。
「助けて、テリィたん。貴方の助けが必要なの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
中央通り沿いの高層タワー最上階。
「すごいなぁ。まさかアキバから富士山が見えるとはねぇ」
「素敵でしょ?当社専用のスタバも入ってるのょ。どうぞくつろいで」
「うーんパジャマになっちゃいそーだ」
全周全てが絶景だ。
地球が丸く見える。
「パジャマ?カジュアルデーを拡大してあげても良いけど」
「おお!じゃエビアもビキニで仕事が出来るね!素晴らしいな!」
「何で私が水着になるの?」
ココは、ロイズ傘下で世界有数の保険引受会社の日本法人オフィスだ。
お騒がせ王女エビアは、結局帰国せズ暫くアキバに滞在スル気らしい。
お目付け役のミライが監視?が逝き届くように隣室をあてがったのだ。
つまり、エビアもミライと同じ保険会社の調査員になったワケだょね?
しかし、保険の調査員って何をスルのかな。
ミニスカでハイキック決めてパンチラとか?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜、御帰宅して来たエビアの話は続く。
「私を襲った奴等がアキバに来てる」
「来てるって…何でわかるの?」
「今朝メラニってベリーダンサーが"モロッコビル"で見つかった。粘着テープで目隠しされ背中に焼き印が。私への犯行がソックリ再現されてたわ。奴等ょ」
「しかし、今まで慎重にコトを処理して来たのに、今回はワザと発見させてる?」
「決して偶然じゃないわ。きっとコレは、俺達はお前を見つけたぞ!と逝うサインなのょ」
「だとしたら致命的なミスだ。エビアが…ミライと地獄の果てまで奴等を追うコトだろう」
「ミライと?テリィたんは?手伝ってくれないの?」
「甘えるな!君はもう狩られる側じゃない。狩る側ナンだ。コレは、エビアへの挑戦状なんだょ。負けるな!」
「でも、ソレで私が再び拉致され"喜び組"に売り飛ばされたら…」
「ソレが心配なら、直ちに大使館に駆け込み籠城だ。お国の海兵隊が守ってくれる。どちらにせよ、御屋敷に残るのは余り薦められないな…迷惑だし」
「私は何処にも逃げないわ!奴等を狩る準備は出来てる!」
「おお!恐らく奴等も準備万端w」
「地下ラボ空爆事件で足取りが絶えて以来、ようやく奴等が尻尾を出したのょ。絶対に捕まえるわ!絶対に」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
奴等奴等と逝うからテッキリ怪しい男達かと思ったら、美少女三姉妹w
エビアの微かな記憶を辿って老舗御屋敷に御帰宅したらソコの看板娘←
地下アイドル通りの御屋敷"メイラブ"。
「私は、長女のアイ!」
「同じく次女のラブ!」
「最後は三女のユウ!」
「我ら美少女三姉妹、アイラブユウ!」
「や、やぁテリィだ…コッチはエビア。とりあえず、ラブ推し…かな?」
すると、思わズ三姉妹から"おおぉ"と低いドヨメキが起きる。意外な人選なのか?
気を取り直した長女のアイが心なし不満そうに絡んで来る。昔のツンデレ喫茶かょw
「気の毒だけど、メラニなんて子、会ったコトないわ。誰なの?アキバじゃ聞かない名前ね?ふふふ」
そりゃアンタ達三姉妹だろ?
ココは"推し"を攻めよう。
「ラブ。もし嘘をついたら"推し変"するけど」
「え!ソレだけは困る!ヤメて…わかりました。えっと、メラニとは出会い系サイトで知り合ったの」
「だょな?絵文字を使ってヤタラ情熱的、かつ派手に口説いてたょね?」
事前に御屋敷常連のサイバー屋に頼んでメラニのネット履歴は裏アカ含め洗ってアル。
「かなり熱の入ったやりとりだったね。君ら三姉妹は、メラニと月曜の夜にコラボバーで会う約束をした」
「ギョ?そんなコトまで?」
「ネットのやりとりは誰が盗んでるかわからナイから怖いねぇ。今、仲間のストリートギャングが、そのバーへ聞き込みに逝ってる。サイトの君ら三姉妹の写メを持ってね。皇居の二重橋前で撮ったあの写真は何年前?初めての上京って感じだけど?」
傍のエビアが顔面蒼白になり叫ぶ。
「そうか。そうだったのね?そうやって寂しいヲタクを呼び出しては、飲み物に一服盛ってデートレイプを…私は、目を覚ましたらテープで目隠しされてたから姿は見ていない。でも…その微かな半島訛りには聞き覚えがアルわ!」
「落ち着けょエビア。ソレでも、君は逃げ延びたンだ。自力で逃げた」
「とにかく!私達は関係ナイわ。三姉妹の誰もメラニなんて子、知らないし」
「だとしたら、あの夜、バーで君ら三姉妹を見た人はいないンだな?」
「仮に目撃者がいたとしても、私達とは関係がナイの」
「何だって?」
「…実は、店に入る時に彼女を見たけど、写真ほど可愛くなかったから、直ぐ店を出た。恐らく、メラニは私ら三姉妹には気づいてもいない」
「何?…すっぽかしたのか?」
「悪かったとは思うケド…出会い系では良くあるコトょ」
「最低。で、店を出た後、君達は何処へ?」
「イケメンを呼び出し2時半頃までクラブで踊ってた。電話番号を教える。オトコが私の無実を証明スルわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再び中央通り沿いの高層タワー最上階。
「あのね!テリィたん、良く聞いて!エビアは産油国の王女なの!わかる?王族なの!雲の上のお方なの!」
「え?でも、その雲の上には何百人も王族がいてスンゴい三密なんだろ?」
「零点!ダメ!テリィたんは、何もわかってナイ!もし、仮に彼女に何かあったら、私は王妃様に殺されてしまうのよっ!」
今回は地獄の景色。
希望が遠く見える。
「でも、御言葉だけどサ、ミライが王妃様とどんな約束をしたか知らないが、ミライの職務怠慢でエビアが"喜び組"に売り飛ばされそうになったのも事実だょな」
「そーゆーテリィたんは何者?アメコミのヒーローなの?空とか飛べちゃう?弾丸を弾く?無理でしょ?タダのアキバのヲタクでしょ?」
「そして、ミライ。君の尻拭いをする者でもアル。前回、君の王女は救い出されるまで3日間、ヘソ出しコスプレでベリーダンスを踊ってた。今回、王族ではナイが、ヲタク女子が王女と同じ目に逢おうとしてる。僕達は、彼女を救う。ヲタクはヲタクを見捨てない」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
窓も照明もない真っ暗な部屋。
黒い影がいくつか蠢いている。
「アンタ達、後でシメてあげるわ」
「こんなモンで済むと思わないコトね」
「ふふふ」
その声は…三姉妹?
第2章 落し物の落し物
その夜の御屋敷。
「メラニの髪の色とか骨格。エビアに似てると思わないか?」
「萌え顔が三姉妹の好みなのかしら?私への執着?」
「標的の選び方も呼び出し方も、まるでエビアに当てつけてるみたいだ。余り蒔かれた餌に食いつかナイ方が良くね?危険過ぐる」
僕とエビア王女の話はとりとめない。
「メラニの自撮り、ヤタラとギコチないょね。明らかに慣れてない。自撮りは、現代にハビこるナルシシズム、自分大好きブームを生きる通行手形ナンだがな」
「結局、緊縛状態で発見されたメラニはショックから欠勤が続き"モロッコビル"界隈からは姿を消したそうょ」
「控えめなタイプのメラニが、なぜ急に自撮りしてまでアキバのジャングルで青い鳥を探し出したのか謎。出会い系サイトなんて性犯罪者にとっちゃ獲物の宝庫なのに」
ソコへコラボバーに聞き込みに逝ってくれてた追跡チームが帰って来たので1杯オゴる。
彼等はストリートギャングの精鋭だ。
「目立たない客だったようですが、幸いバーマンが覚えてました。角のテーブルに1人で座ってたそうです。人待ち顔で。因みに、オーダーはジンマティーニのオリーブ入り」
「連れは?」
「現れなかったようです。待ちぼうけ食ってチビチビ飲んでたけど、酒はダメみたいだったそうです」
「と逝うと?」
「トイレに立つ時、マトモに歩けなかったみたいで」
「…ソレか、ドリンクに何か盛られたか?」
「店の客層は割と上流に見えましたが…」
「金持ちはレイプしないと?」
「いえ。その逆です。あと防犯カメラの位置を見てきました。サイバー屋にハッキングさせれば画像が見れます」
「スピア、ハッキングだって!」
「もうやってる!」
「…あ、でも、その前にスピアにはやって欲しいコトがアリまして」
「え?何?何でもやってア・ゲ・ル」
スピアに思いがけずウィンクされ、追跡チームのリーダーが苦笑スル。
尻ポケットからファスナー付きビニール袋を取り出すと中はガラケー。
「バーマンが閉店後に掃除してたら、テーブルの下に落ちてたそうです。使い捨てケータイですが、ロックがかかってる。でも、スピアならシンクロさせて中のデータが盗めるカモ、と思って」
「あらぁ。オ・マ・カ・セにゃ」
「おいおい。テリィたんの仕事だと、スピアはヤタラ頑張るょなぁwで、データを抜いたら袋のママ、万世橋の前に落としてきます。もしかしたら、誰かの指紋がついてるカモしれません。万世橋が照合してくれるでしょう」
ミユリさんが微笑む。
「"落し物"の"落し物"ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
地下室でメール着信音。
寝ぼけ眼でスマホを取り出すとショートメッセージが入ってる。
「コンコン」
キツネか?と思いつつノックの音カモとシビれた頭が回り出す。
「誰だ?お前?」
そう返した…次の瞬間!ドアが蹴破られ自動小銃を構えた男達が口々に叫び雪崩れ込む!
「警察だ!」
「動くな!」
「お前には権利が…ナイ」←
手荒く銃把で殴り倒され、後頭部で両手を組まされ結束バンドでキツく絞り上げられる。
「チーム4。脅威2を排除…ん?人質だ。大丈夫だ、もう安心して」
「こちらチーム2。上にも人質が3名いる。クソ野郎め。拷問具だ。焼き印だと?」
「チームリーダーから全突入チーム。無線をチャンネルYに」
現場は、神田川沿いの雑居ビル地下室。
未明に匿名通報から"使い捨てケータイ"を押収した万世橋は、直ちに指紋を採取。
警察データベースと照合したトコロ、売春斡旋と薬物の前科者サイモが急浮上スル。
メラニに出てた捜索願とも状況符合、警察はサイモの犯罪仲間を当たり居所を特定スル。
夜半に現場集合した特殊部隊が突入チームを編成、サイモをメールで確認。突入したら…
「おまわりさん、助けて!」
「もう大丈夫だ。しかし、君達は…」
「僕達は、誘拐され売春を強要された!もうお婿に逝けない!」
人質は…全員イケメンw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
新橋鮫に頼んでイケメンの事情聴取に同行w
駿河台の上の大病院ER。イケメンの名は…
「僕はシゲル。君達、警察の人?他の連中とは話した?」
「いいや。他は未だ全員治療中だ」
「捜査状況を教えて欲しい。あの男、サイモはどうなった?」
「捜索中だ。事実関係も含めて確認中」
「事実関係?どういう意味だ?僕達は、売春を無理強いされてたンだぞ」
「わかってる。サイモは君達に何をしたのか教えてくれ」
「サイモは僕達を見張る役だった。僕は、池袋のホストだ。僕達をアキバへ連れて来たのは、別の男で、ソイツの名はアーヴ。そして、アーヴの手下に厄介な三姉妹がいる」
「アーヴ・リアコ?半島系のマフィアで人身売買、特に性奴隷の売買を仕切ってる奴だが…男娼も扱ってたかw」
「扱ってた?」
「今回、検挙した」
「そう。そりゃ良かった。手下の三姉妹は?」
「ソッチは…昨日から姿を消してる」
「えっ?ぼ、僕達は報復される!助けてくれ!」
「病棟は制服警官が警備スル。あの現場は、サイモが仕切ってたのか?」
「僕に1番手を焼いてた。僕は厄介者だったから。何度か僕を指名した女がいて、その女は僕を好きそうだったから、万世橋に通報してくれと頼んだ…らサイモにバレたw」
「それで懲罰を?」
「サイモは、僕を調教し直すと息巻いてた。奴らは男も殴って、犯して、薬漬けにして、客の相手をさせる。アチコチ引きずり回され、その内に、みんな諦めて抵抗を止めてしまう。でも、僕は耐えられなかった。もう、そんなの嫌だ!」
そう叫んでシゲルは泣き出してしまい、僕達は気まずく顔を見合わせる。
気分転換、と逝うか場を変える必要がある。新橋鮫と僕が選手交代スル。
「この写メの女子、メラニって逝うんだけど見たコトある?」
「ナイ。サイモは、男女が交流しないよう、分けて監禁してたから。でも、時々女子が入って来ては、ヨソへ売られて逝く気配がしてた。売られる先は、愛人募集中の金持ちとか、他の売春業者とか…」
「…半島への"輸出"とかな。きっと女子は"喜び組"の萌え枠要員だ。シゲル、大丈夫だぞ。もう安全だから。少し休め」
そして、病室を辞した僕達だったが、休んだ方が良いのはシゲルよりもエビアの方カモw
「コレまで、単純に考えてた。アキバに捕食者がいて、単純に私は、その餌食になっただけだって。考えてもみなかったわ。もしかしたら私も…私も彼等みたいに性奴隷と逝う商品にされてたのカモ。私はベリーダンサーのコスプレして数日だったけど、彼等は、場合によっては何年も地獄を見る。もし、今宵の突入がなければ…」
「アソコは、最近流行りの"女子向けハプニングバー"だ。シゲル達は"喜び組要員"の女子と状況が違う。頭から騙されて、アキバに連れて来られてる。バーで薬を盛られてもナイし、焼き印もナシだ」
「ソレは慰め?性奴隷より"喜び組要員"の方がマシだと逝いたいの?」
「ヤメてくれ。とりあえず、消えた三姉妹を探そう。このママ彼女達を見逃すワケには逝かナイ…このハプニングバーの名前、聞いたか?」
「え?何て逝うの?」
「"逆慰安夫"」
「何て店名w情報通り、半島の息のかかった"女子向けハプニングバー"なのね。何処まで日本人をバカにしてンの?」
「ソコで遊ンでる大和撫子もイルから嘆かわしいw三姉妹は、時々商売道具を趣味に流用しては楽しんでたンだろうな」
「珍しい話じゃないわ」
「…少し休むか?」
「!?何を逝ってるの?半島由来の性奴隷シンジケートを叩き潰さなきゃ!」
「警察の仕事は警察に任せようと逝ったまでだ。OK。とりあえず、僕が電話番号を知ってる唯一のイケメンに逢いに逝こう。事情通の元"喜び組"にも話を聞いてみる」
新橋鮫が割って入る。
「お前ら、どうせ止めても突っ走るつもりだろうから止めナイが、連絡だけは絶やすな。ソレから勝手に呟くけど、三姉妹が盗んだと思しき車が池袋で見つかった」
「車を盗んだの?」
「街頭の防犯カメラに三姉妹がウィンドウを割って乗り込む画像があった。追跡したトコロ、首都高経由で池袋の乙女通りで乗り捨ててる」
「え?三姉妹って腐女子だったのか?」
「WGPでは無さそうだ」
第3章 三姉妹を狩れ
翌日、御屋敷にハウン&ハユン姉妹を呼ぶ。
「あ、その焼き印!私も押された!」
「ええっ?君達姉妹も生贄に?」
「ええ。あんなのプロレスじゃ無いわ!」
プロレス?
姉妹は揃って元"喜び組"で今は外貨獲得の尖兵としてアキバで…あれ?何やってるの?
半島で領袖が代変わりし"喜び組"も総入れ替えとなり姉妹は海外へと放逐された口だw
「で、姉妹タッグの決勝戦で当たったのが性悪な三姉妹で何と3人vs2人!ボロボロにヤラれリングで公開処刑され焼き印を押されたw」
「姉妹なら何人でもアリってルールがヘン!お宝リョナ連発で会社だけがボロ儲けって許せない!社長、特別ボーナスください!」
「え?あ、いや…僕としたことが感情移入が過ぎて直感力の低下を許したか。ソレにマッチメイク自体は全部AIがやってて僕も細かいトコロは…勘弁してょ」
社長w正確にはCEOだけど…
僕は、サラリーマンの副業で"コスプレ×プロレス"の社長もやっている。
正確には、人に頼まれマッチングアプリの運営会社CEOをやってルンだw
アキバでは、夜な夜なコスプレイヤー同士の試合が突発的に発生してる。
その中で、先週トンでもないダウンロード数を記録した試合があったが…
ハウン&ハユン姉妹のリョナだったとはw
「社長!ホラ、この焼き印でしょ?」
「姉妹お揃いで同じトコロに押されたわ!」
「わ!眼福だー」
姉妹揃って上半身脱ぎ捨て黒ブラだけにw
すると…寄せて上げた胸の谷間に焼き印←
ミユリさんが目を丸くしている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「さっき、万世橋の刑事サンが来て全部話したけど、僕は三姉妹なんて知らないンだ!」
外神田で新築のワンルームマンション住まい。
ヤタラ羽振りの良いイケメンなシンジを強襲。
「いや。君は全てを知っている。何しろ君の電話番号は三姉妹から教わったンだからな」
「えっ?ユウちゃんが?」
「いや。アイから教わった。もしかして…ユウ推しか?」
やはりアイ推しって皆無?
「…三姉妹とは、ズッと疎遠だったが、先週突然現れた。血まみれで」
「血まみれ?」
「変なコスプレでストリートファイトして、警察沙汰は嫌だと逝うからムゲには追い払えず、傷は浅かったし、骨は無事で急所も外れてた。だから、軽くテーピングして…追い返した」
「行き先は?」
「…わ、忘れた」
「おいおい。眠たいコト逝ぇよ。アンタ、イケメンだな。三姉妹がイケメンに何して来たか知ってるか?男娼に堕として半島へ売り飛ばしてルンだぞ?アンタは、現代の人身売買、イケメン売買の共犯者だ」
「ソレは違う。真相解明まで俺に近づくな。コレは何かの間違いだ」
「アンタが正しいコトを願うょ。ともあれ、御協力には感謝する。ココから先は、アンタにはアキバのストリートの掟に従ってもらおう」
僕と入れ違いに、黒ボンデージに身を固めたハウン&ハユンの姉妹が部屋に入って逝く。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あの三姉妹がアキバで男娼館をヤッてるなんて知らなかったンですっ!許せナイ!警察には全面的に協力しますっ!」
不思議なコトがあるモノだ。
翌日、鮫の旦那に署に呼ばれ、案内されるママに取調室へ逝くとシンジがいる。
目の前には何やら仰々しい装置に接続された昔懐かしい黒電話が置かれている。
で、シンジが"協力"を申し出てるw
「私が最後に三姉妹を目撃した者なので言い訳にはなりませんが、まさかホストを男娼に堕としてたとは知らなかった。でも、驚きはしません。昔から少し変わった連中でしたから」
「三姉妹は今、何処だ?」
「本当に行き先は聞いてません。警察に追われてるとだけ」
「ソレだけか?ただ懺悔しに来たのか?単に罪悪感を晴らしに来た?」
「実は三姉妹の連絡先を知ってマス。と逝うのも、あの三姉妹は4Pプレイの世界じゃ超有名人で。格安料金で三姉妹全員を相手にプレイ出来ルンです!」
「よ、4Pかよっ?!」
「姉妹で揃える4Pは、世界的にも例がナイ。裏電話番号にコールすれば、仮に不通でも後で必ず折り返して来る…だから、三姉妹を誘い出せるかどうか、試しても良いと思ってマス。もしも、新橋鮫サンや…そのぉ、テリィたんがお望みなら、デスが」
僕と鮫の旦那が異口同音。
「お望みだ」
いや!4Pをじゃナイょ!念のためw
すると、ヤニワにシンジが受話器を握る。
装置付きの警官が慌ててレシーバを耳に。
「シンジだ」
「…毎時電源は入れてるわ。何?」
「万世橋がアンタ達のコトを聞きに来たって伝えたくて」
お、お、お。ホントに三姉妹と会話してるw
「そんなコトは、ハナから織り込み済みょ。何で電話して来たの?」
「…く、車を用意しようと思って。何処かに逃げるなら、友達から借りてアンタ達の都合の良いトコロに停めておく。カーシェアも意外に便利だけどどーする?」
「ダメょ。私達は池袋でも顔がバレてる。暫く身を潜めるわ」
「大丈夫ナンだな?ソコは安全な場所ナンだな?」
「何か必要な時には、私達から連絡するわ」
「ユウ!ユウは元気かっ?!」
電話は切れ、警官が悲しげに首を振る。
「逆探知は、基地局から区域までしか特定出来ませんでした。豊島区池袋方面」
「ソレだけでもザッと50万人はイルぞ。どうする?テリィ」
「いや。ソレで十分だ。鮫の旦那、ありがと」
しかし…シンジがホントにユウ推しとはなw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ハプニングバーを知ってるか?
その、まぁ、つまり、様々な嗜好の男女が集まって、突発的な出来事を楽しむバーだね。
で、ハプニングが起きないとタダのバーになってしまうので、お薦めは終電後の深夜だ。
退路を絶って集まって来る男女に混ざり、簡素な受付で住所、氏名、年齢を登録しよう。
料金はカップルだとお安くなるが、お一人様だと入会金+入場料で弐萬円程度だろうか。
で、今宵はお一人様だ。4Pしに来たから←
ヤタラ慇懃無礼なスタッフと2Fへ上がるとバーカウンター、そして奥がプレイルームだ。
で、この店のウリはバラエティ豊かなプレイルームだけど、お薦めはズバリ"サウナ"w
ハプニングに備えて?シャワールームがある店は多いがサウナまでアルのはココだけだ。
プレイルームは、大体のぞき穴で鑑賞が可能だが、サウナだけは構造的に鑑賞されナイ。
他人の秘め事を見たがるのは本能で否定したく無いが、見られナイに越したコトはナイw
店としてはコレら鑑賞客からの入場料収入も貴重な収入源だから微妙なトコロだろうが。
で、お一人様は、お誘いの無い限り、バーカウンターから奥へは入れナイのがルールだ。
あ、男のお一人様の場合だね。女のお一人様は、何処でも移動自由で大らかに楽しめる。
で、僕の場合は…
「ラッツさん?私はラブ」
「やぁ、ラブ。シンジの紹介だ」
「御予約ありがと…あら?」
ガウンを羽織い、サウナから出て来て僕に声をかけるのは、三姉妹の次女ラブだ。
ガウンは、申し訳程度に羽織ってるだけなので、もしや!と期待したら赤ビキニw
で、僕はベネチアンマスクで顔の上半分を隠しているのだが…ラブは気づかない?
少し怪しんだようだが吹っ切り?僕の手を取り踊るような足取りでサウナに誘う。
重い木製ドアを開けると、熱い蒸気のミストが渦巻く中に立つ全裸の美女!
ヤッパリ三姉妹だっ!間違いナイッ!傍らでラブも赤ビキニを脱ぎ捨てる!
「私は、長女のアイ!」
「同じく次女のラブ!」
「最後は三女のユウ!」
「我ら美少女三姉妹、アイラブユウ!」
「や、やぁラッツだ…」
ソレ、ヤメてくれないか?全裸でヤルの。
違ったら大変だったがモノホンの三姉妹。
「やっと見つけたぞ!僕の正体は…」
最後までは逝えないw
再び木製ドアが開く!
「お待ち!アキバの爆弾姉妹再び参上!この前の借りを返しに来たよっ!長女ハウン!」
「同じく次女のハユン!」
「私は…何だかついて来ちゃったミユリ!」
えっ?ミユリさん?
もっ、もしかして!
「テリィ様!何?そのイヤらしい目つき!」
白ビキニだw
第4章 ソルフェジオの調べ
さて。
今回もピースが出揃いジグソーパズルどころかロイヤルストレートフラッシュって感じw
えっと、先ず僕に最も影響が及ぶミユリさんナンだけど…何で突然登場?ほとんど乱入←
「だって!ハウンから"テリィ様の浮気現場を抑えましょう!今回は4Pです!"と脅かされて止む無く…」
「"今回は"って何なんだょ!前回は何だ?次回もアルのかっ?!」
「突っ込むトコロ、ソコですか?」
ミユリさんは"コスプレ×プロレス"では"社長夫人レスラー"として人気がアル。
いつもコスプレは、僕が原作の作品から"ムーンライトセレナーダー"なんだけど…
「でも、今回は時間がなくてビキニでした。ソレも、テリィ様が好きな白ビキニ」
「大変よく出来ました」
「…ではなくて!危うく死ぬトコロだったのですが!」
僕を尾行し三姉妹のサウナに逝きついたハウン&ハユン姉妹は、ミユリさんで数を揃え、いざ決戦!"サウナプロレス 3 vs 3"開幕!
ところが、何者かが外から扉を釘付けし僕も含めて中の全員を蒸し殺しにしようとスルw
鑑賞客ナシが災いし、遅れたらホント全員脱水で死ぬトコロだったが間一髪救助される。
そのママ通報され、万世橋へ連行される三姉妹とは別れ、僕達はアキバへ帰ったが、その夜から僕にはトンでもナイ尊称が奉られる。
"テリィ・ザ・7P"
いや。ヤッてナイょ。未遂ですw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「で、私達をサウナに閉じ込めたのは誰でしょう?」
「うーん恐らく半島系の人身売買シンジケートの誰かじゃナイか?大方イケメンの納品か何かでモメ、三姉妹を消そうとしてたとか?いずれにせよ、トンだトバッチリだ」
「なるほど…ソレにしても、テリィ様は数あるハプニングバーの中から、あの店をどうして特定出来たの?」
ソレは…ソルフェジオ周波数だ。
この周波数は一説にDNAを修復スルwとまで逝われ心身が"整う"効果が高いとされる。
"整う"と逝えば、サウナで体感スル至福の瞬間のコトでBGMに、この周波数は不可欠。
で、シンジが三姉妹と話していた時に流れていたBGMが、このソルフェジオ周波数。
こりゃサウナのある店だなと池袋に何軒かあるハプニングバーから探したらビンゴ!
実は"サウナプロレス 3 vs 3"の時も、ソルフェジオは流れてたンだけど、荒ぶる女子達を鎮めるヒーリング効果はなかったようだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"荒ぶる女子"と逝えば、ヤハリ今回は、ハウン&ハユンの姉妹だろう。
僕が池袋で"7P"した翌日、僕は新橋鮫から呼ばれて万世橋に出頭スル。
「テリィ。ココだけの話にしてヤルから正直に逝え。ハウン&ハユンの姉妹がシンジと会ったのを知ってたか?」
「僕がシンジを訪問した後で、彼女達も訪問したらしい。事後に聞いた。いや、ホント。日本男児、嘘つかナイ」
「さっき、シンジが署に来た。スッカリ態度を豹変させてな。で、その理由が…」
鮫の旦那が示したのはシンジの写メで…背中に真っ赤な痣が写ってイル。鞭?ヤレヤレw
「コレをテリィがやったとは誰も思わん。となるとだな…」
「シンジは、僕達の前で協力を約束し、実際に計り知れないほど貴重な協力をした。アレが肉体的苦痛に伴う強制の結果に見えたか?」
「待て。お前達ヲタクは、モノゴトを思い通りに操るのが上手いから…」
「そりゃココはアキバだからな」
「シンジの良心が何故一夜で芽生えた?テリィ、シンジが出頭する前夜、奴と会ってたンだろ?」
「きっと弁護士にでも相談して、自分がマズい立場だと悟ったのに違いナイょ」
「あのなー。供述中、奴はテリィの顔色だけを伺ってたぞ。俺は、何度か見て見ぬフリをしたが、ソレが常に正しかったとは思って無いンだ」
「鮫の旦那の心境は理解できる。ヲタクは、リア充を目標にスル。でも、ある日気づくんだ。ヲタクにとり、アキバの日常は葛藤なんだと。終わりは決して来ナイ。決して区切りもつかナイ。苦渋の思いで受け入れたサ。ソレを受け入れるコトもまた葛藤ナンだと」
自分でも何を逝ってるのかワカラナイ笑
ただ笑ったりせズに、最後までマジに逝い切るコトが大切だ。
要は、煙に巻いてるワケだから巻かれる人には敬意を払おうw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
最後はミライだ。
超高層ビルの彼女のオフィスで、真横から夕陽を浴びつつ向き合う。
実は、今回は何処かでミライのミニスカキックが出るハズだったが←
「テリィたん!エビア様を誘拐したシンジケートを壊滅に追い込んだンですって?もぅどう感謝の言葉を伝えれば良いのか」
「いや。僕は何も(7Pとか)してないょ」
「テリィたん」
「ホント何もして無いンだ」
「そうは言うけど。チャンスをもらい、借りも作った身よ。働いて返すわ。何でも言ってね」
絶対だな?!
「あの王女は、ミライの宝ナンだね」
「…エビア様には、他の王族と同様に巨額の生命保険金がかけられている。もし万一の場合には…余りに巨額が動くのでロイズ自体が傾きかねないわ」
「前回空爆した地下ラボにも保険はかかってたンだろ?」
「王族の生命保険に比べれば、国際医療メジャーの1兆円の地下ラボなんてお安いモノよ」
そして、ミライは今回の結論を口にスル。
「何事にも自ずと優先順位はあるものょ」
おしまい
今回は海外ドラマでよくモチーフになる"イケメン売買"をネタに、男娼、4P、ハプニングバーなど散りばめつつ、人身売買カルテルの仕切り屋、手下の三姉妹、男娼に堕ちたホスト達などが登場しました。
海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、コロナでオリンピックも夏コミもなくなった真夏の秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。