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柵から脱走
ブランコの最大振幅角度が65度になった。
私は、ブランコの最大振幅角度が65度の位置で、大きく息を吸った。
無重力を感じながら、体を大きく沈みこませる。
最下点の遠心力を、グッと耐える。
そして、40度の位置で、大きくジャンプした。
私の体は、空高く舞い上がった。
進行方向に対する空気抵抗を最小限にするために、体を伸ばす。
そのまま私は、柵の手前の掘を大きく飛び越え、柵の上にしがみついた。
ここに集まっている観客たちには、非常に申し訳なく思う。
目の前でゴンドラが落ちそうになっているその後ろで、ライオンが脱走したのだから。
しかし、申し訳ないと謝っている場合ではない。
私は柵を乗り越えて、地面に着地するなり、全力で観覧車の元へ駆けた。