勝負の行方
さて、我輩と飼い主は、ブラックジャックの勝負を開始した。
今、3回目の時点で、我輩の2勝1敗である。
すでに使ったカードは、10のカードが4枚、そして10以外が14枚である。
4回目の時点で、我輩の手元にあるのは、7と8のカードである。合計は15である。一方、飼い主は、9とクイーンで、合計が19である。
我輩が勝つためには、22以上になるカードを引かずに、5か6を引く必要がある。5及び6は、すでに8枚中5枚もでてしまっている。
我輩は、残り30枚のカードの中から3枚のカードを選び出さなければならない。つまり、我輩の勝率は高々10%程度である。
一方で、22以上になる確率は残り30枚のうち15枚もある。しかし、もう一枚引かなければ、100%我輩の負けである。我輩はいずれにせよ、カードを引かなければならないのである。
我輩は、10%の確率にかけた。
そして、結果は、ジャック。妥当な結果である。
2勝2敗である。
お互いに2勝2敗で望んだ勝負は、もちろん特別なものである。
なぜなら、神はサイコロを振らないし、著者もサイコロを振らないからである。
我輩が手にした1枚目のカードは、エースであった。
そして、飼い主の手元にも、エースがある。
どちらか10を引いた方が、ブラックジャックで勝ちである。
お互いに10のカードを引く確率は、残り27枚中のカードのうちの10枚である。つまり、37%である。
我輩は、エースの横のカードをめくった。キングである。
ブラックジャックである。少なくとも、我輩の負けはない。
飼い主は、口元に笑みを浮かべ、カードをめくった。ジャックであった。
引き分けである。
「はっはっは、面白いな。お前は、私と互角に勝負ができるのか。さすが私のトラだな」
飼い主は、大きく声を上げて笑っている。
なるほど。
この結果は、我輩の飼い主が只者ではないことを証明した。




