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最強への第一歩
「やめて!離してよお母さん!」
姪っ子の叫び声が聞こえる。
あの娘には格別優しくしていた、と思う。
あの娘ほど懸命で、努力家で、僕に似た子はいなかっただろう。
「やめないわ。この手を離したら貴女は兄さんを止めるでしょう?」
妹が静かに言う。
アイツは静かで真面目で生意気な、僕の唯一の理解者だった。
辛い事があった時に暴言を吐いてしまっても、優しく寄り添ってくれた。
旦那さんが羨ましい限りだ。
「師匠がこれで死んだら母さんを許さない……絶対に、殺してッ」
「|乃愛、やめないか」
「……っすみませんでした……でもっ!」
久しぶりに姪っ子の名前を呼んだ気がする。
あの娘が殺すなんて口走ってしまうのは、相当頭……いや、心に来ているのだろう。
だが、これは僕の問題だ。
僕が死ぬまで僕で有り続けるには、僕じゃなくなる前に死ぬしかない。
僕は、生きながらえるよりも自分自身を大切にしたいだけだ。
僕は、”最強”になれなかった。
子供の頃夢に描いた”最強”は遠いところにあった。




