プロローグ
※初めての投稿につき暖かい眼でみて頂けたら幸いです。
更新は不定期です。
「お願い行かないで・・・」
背後から自分を引き止めるか細い声が聞こえる。
自分の前を進んでいた仲間達は、目の前にある鏡の中に入っていった。
今この場にいるのは、背後に佇む女性と自分の身長の倍ある鏡を片手で支えている金髪碧眼の美女だけ。
俺は、鏡を支えている美女に目を向ける。
金髪碧眼の美女は、俺がどういう態度に出るか楽しみだとでも言いたいのかニヤニヤとした表情を浮かべていた。
「この諸悪の根源が・・・」
俺は、金髪碧眼の美女に目を細めながら言い放つ。
「神に向かって言う言葉ではないわね。」
ニヤニヤとした表情を崩そうともせずそう言い返された。
神だろうがなんだろうが、何十年も無人島に拘束されてたんだ悪態の1つや2つついても良いと思う。
そもそも俺は、神なんて崇めていない。
「でも、楽しかったでしょう?」
「楽しいの一言で済まさないでほしい。」
苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながら返答をする。
確かに楽しかったか聞かれれば楽しくはあったが、楽しいだけなく苦しくもあり、命の危険もあった。
俺の背後にいる女神の封印を解き放ち、目の前にいる女神を呼び寄せ、元の世界に戻る事が出来る今の状況を作るのがどれだけ大変だったか・・・。
「あなた以外は皆、元の世界に戻ったし、ちょっとだけ話をしましょうか。」
目の前にいる金髪碧眼の女神は、俺に話をしたいらしい。
ならば、自分もずっと気になっていた事を聞こう
「その前に聞かせてくれ・・・あんたは何の女神なんだ?」
俺が女神に質問をすると「あれっ?言ってなかったかしら?」とでも言いたげな表情を浮かべつつ
「暁の女神よ。言ってなかったかしら?」
と返してきた。
俺がこの女神に会ったのはこの無人島に飛ばされる前に二回、そして今。
飛ばされる前の二回の内一回は偽名使ってたじゃないか。
「聞いてない。暁の女神ということは、”エーオース”あたりか?」
どうやら当たったらしい。
女神がびっくりした表情を浮かべている。
思っている事が顔に出やすい女神だなこの子。
「よく知ってたわね。そうよ。我が名はエーオース、ヒュペリーオーンとテイアーとの間に生まれた暁の女神。」
「で、エーオース様、後ろにいる女神は?」
「知りません。」
知らないとか言われた・・・どういう事?
「・・・・えっと、なぜ知らない?」
「なぜと言われたら、地球の神じゃないから・・・かしら?」
「・・・・」
どういう事なんだろう?
地球から異世界らしい無人島へエーオースによって飛ばされ、無人島で生活すること幾星霜(数十年)。
島に封印されていた女神の封印を解いたらエーオース光臨!
無人島に飛ばされる前のタイミングで戻してあげるから鏡潜ってねと言われ取り出したるは大きな鏡。
この流れなら封印されていた女神ってエーオースの関連ティーターンの神だと思うでしょ普通は・・・。
エーオースは、支えていた鏡から手を離し
「説明するわね?」
と言いながらこちらに向かってきた。
鏡から手を離した際に鏡が消えてしまったので、聞く以外の選択肢がない気がするが・・・。
「できたら簡単に」
詳しく聞いて神々の問題に首を突っ込みたくない。
「分かったわ。でもその前に・・・」
そう言いながらエーオースは、俺の側を通りすぎていったので、背中越しに彼女を目で追う。
彼女は俺を引きとめようとしていた女神の前で止まった。
俺は、振り返りエーオースの前に立つもう一柱の女神をみる。
黒髪黒眼、日本人と言われても納得できるような容姿だが、流石は女神、絶世の美女である。
眼はやや釣り目、鼻は小さめで形良く、白雲のような肌が薄桜色の唇を際立たせ、彼女の唇に眼がいってしまう。
その唇は、涙に濡れている。
そんな彼女にエーオースは問いかける。
「あなたの御名はなんと言うのかしら?」