少女と錬金術師。その一
評価してくださった方ありがとうございます。
最初の目標のPV1000
頑張りますよ。でものんびりやりますよ。
というわけで六話目です。
「ようこそ、お越しくださいました。ケルト様」
「フードを被ったままなのによく俺だと分かりますね」
ケルトは目の前の老人にそう尋ねる。老人は楽しそうにそして上品な笑い方でこう告げる。
「この街でフードをそれ程深く被って街を歩いているのは、貴方様ぐらいでございます。それにこの街の警備は優秀でございます」
屋敷に案内されたケルトは屋敷に入口を開けると誰かが凄まじい勢いで突進してくる。ケルトはそのまま押し倒さた。
「お久しぶりです、アリア嬢」
そう言うと外套に付いた砂埃を払いながら起き上がり、突進少女に挨拶をする。
「ケルト!ぜんぜん来てくれないから思わず突進しちゃったじゃない!」
「……思わずで突進しないでください。怪我したらどうするんですか」
「ケルトなら受け止めてくれるでしょ?」
「怪我されても困りますので」
「そこは君が心配だからとかぐらい言わないとモテないわ!」
目の前の少女がどういう回答で満足してくれるのか考えながら、老人の方へ目を向けるがそこに老人はいなかった。
「じいやならたぶん夕食の準備にいったわ」
ケルトの目線に気付いたアリアがそんなことを言った。
「今日は泊っていくんでしょ?」
「ええ、そのつもりですよ。夕食まで時間もありますし魔力制御がどこまで出来るようになったか見ましょうか」
「ケルトが作ってくれた道場でやるんでしょ」
「そうしましょうか。そこなら何があっても大丈夫ですし」
ケルトは以前、ボルドの敷地内にアリア用の道場を作っていた。これはよく魔力を爆発させてしまうアリアのためにとボルドから依頼されたものだ。
道場へ着くとケルトはアリアに向けて高密度に圧縮された魔力の球を放つ。
アリアはそれは自身の魔力で糸を形成し球を絡めとる。
「すごいでしょ!!」
「半年で随分上達しましたね。でも──」
数秒すると人が切れ、球が暴れ出す。
「集中力がまだまだです。鋼糸の術は高度な魔力制御を必要とする術だと教えましたよね」
アリアが使用する糸は手、全体から放出されているのに対し
「ま、話しながらでもこれくらいは出来るようになりますよ」
ケルトの糸は指の先から無数に枝分けれし、まるで蜘蛛を思わせるような糸だった。そして何よりの違いは糸の細さだろうか。魔力が均一化されておらず形成される糸にはむらが生まれていた。
それに対しケルトは目には捉えきれない程、細くされた無数の糸はどれも綺麗に太さが揃っている。
「ケルトはどうやってそんなに制御してるの?」
「ジャイアントスパイダーでも観察するといいと思いますよ。俺的には傀儡師の方がおすすめですけど」
「……ケルトっていつもおすすめじゃない方を言ってくるわね」
「そうですか?考えたこともありませんでしたね」
そんなことを言いながら二人は魔力制御の練習をしていく。
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