5.学年トップ (+蛇足)
最後に少し蛇足がありますが、読まなくてもたいした問題はありません。お好みでどうぞ。
「ちょっとそこのお2人さん、おねーさんとお話ししない?」
寮長がいなくなり、私とユウリは部屋に戻ろうという話をしていた時、後ろから声をかけられたため、ユウリが反応する。
「えっと、僕たちのこと、ですかね?」
「そーよ。あなたたちに聞きたいことがあるの。」
「何でしょうか?」
「あなたたち、今回の入学試験の武術トップと筆記トップなんですってね?やっぱり、3人グループなのかしら?」
私たちは2人のチームで間違いなく、決して3人ではない。何を根拠にして話しているのか分からず、黙り込む。
するとふと周囲が異様なまでに静かなことに気づく。顔を上げてみると周りにいる誰もがこちらの話に耳を傾けており、なぜかユウリまでもが少し驚いたような顔でこちらを見ていた。
「…?……違う。私たちは2人だけのチーム。」
「…ふーん、そう。…いいわ。でもあなたたちがそれぞれのトップであることは間違いないんでしょう?」
「そう。筆記1位は私だった。間違っていない。」
「そうよね。あなたは?」
そう問われ、ユウリは一瞬はっとなり慌てて答える。
「え、ええ。僕についても間違ってない、ですね。武術試験1位でした。…というよりも、よく知ってましたね。学年順位は生徒本人にしか知らされないのにどうやって知ったんですか?」
「あらあら、ここは学院よ。情報なんて、意識して隠しでもしなきゃすぐに広まってしまうわよ。」
「そ、そうですか。気を付けます。」
ユウリが若干表情を引きつらせながら答え、相手はうんうんと満足げにうなずいている。情報は広まってしまう、ということは既に1年生の順位はある程度割れてしまっているのだろうか。こういう情報の集めかたを確立するべきなのだろう。
「うーん、でも、そうなのねぇ。てっきり、武術、筆記、魔術の3トップがひとまとめにされているのだと思っていたのだけれど、よっぽど相性が悪かったのねぇ。その魔術トップさんとあなたたち。」
「あくまで能力面での相性ですからね。どうなるかは学院側にしかわからないものなんじゃないでしょうか。」
「ええ。まあ、そう、なのだけどねー?」
「えっと?」
「ま、答えてくれてありがとね。さ、部屋に戻るんでしょう?早く戻らないとまた私みたいなのにつかまるわよー?」
相手はとても歯切れが悪そうにしている。けれど次の瞬間には何事もなかったように部屋に戻され、そのことについて言及することはかなわなかった。彼女が魔術トップの話をしていた時、明らかに誰かを見ていたため、帰り際に魔術試験1位らしき人物を探してみたが、視線の先の方向には多くの生徒が学年関係なく混ざり合い、談笑をしていたため、絞り込むことは叶わなかった。
◇◆◇
以下蛇足
2人が談話室を出たのち
「お前の能力が外れるとはな。」
「ええ。私もびっくりよ~。絶対今年の一年生は“各試験トップが3人そろう”と思ったのにぃ。ちょっと自信なくしちゃうわぁ。」
「まあそう落ち込むな。ここは学院だ。何があってもおかしくはない。それにお前の能力だって100%ではないのだろう?」
「…ええそうね。ありがと、セレちゃん。」
「セレちゃんはやめろ。」
そんな会話が繰り広げられていたことを2人は知らない。
同じく談話室内にて、
「へー。あの2人が武術と筆記1位なんだ」
「ねー。魔術試験1位はだれだろ?」
「…いやぁ、わかんない。」
「あなただったりしない?」
「ないないw魔術は得意だけどこの学院で1位は無理だよー。」
「だよねー。」
などという会話をする1年生2人。
魔術試験1位が誰か、まだ誰も知らない時の話。
5話を読んでいただきありがとうございます。
シロナsideはいったん終了となります。
作者の心の声
なんとまぁびっくり仰天。ユウリとシロナは滅茶苦茶優秀な人なのでした。という話が書きたくてですね?いつもより短めなのは許してください。蛇足入れて1500行かないって、、、。




