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無敵の三姫  作者: 猫化猫
11/11

11.相性

放課後

教室を出ようとすると入口にマイが立っていた。


「や。集合場所を決めてなかったから迎えに来たよ〜。」

「そうだったな。どこで話す?」

「うーん、人の来ないところのほうがいいんじゃないかな?」

「なら私たちの部屋が最適。」

「人も来ないだろうし話をするのに向いてるしな。マイもそれでいいか?」

「はーい。無問題!じゃ『転移起動』!女子寮まで。」


大事な話をする前にも関わらず、マイはいつものテンションで先に転移していってしまった。僕らも続いて転移する。さすがにまだ寮に人は少なく、誰にも会うことなく僕らの部屋に入り、さっそく本題に入る。


「よし、じゃあまずは私の移籍理由から話そうかな。ま、何個かあってちょっと長くなるけど根気強く聞いててね。まず1つ、今いるチームの相性が終わってるから。」

「そんなことはないはず。学院は相性のいいチームを作っている。相性が悪いはずない。」


1つ目の理由を聞いた途端にシロナがくってかかるように言い返す。マイもこんな所で止められると思っていなかったようで、ゆっくり瞬きをしてから苦笑いをしている。


「…根気がいるのは私だったかな、えっと、学院の相性の良さはあくまで能力面でだったよね?確かにそこだけ見たら、どう見てもバランスの良いチームだなと思ったよ。」

「なら…」

「でもね。あくまでそれは能力面の話。人間は能力が全てじゃない。感情があるの。その感情にも相性が合って、相手の向き不向きがある。…私は今のチーム、その感情の相性が最悪なの。」

「……………。」


一瞬部屋に沈黙が落ちる。シロナもマイも真剣な表情で互いを見つめ合っている。しかし、それも一瞬だけで次の瞬間にはマイが明るい調子で話し出す。


「ま、そういうことで、まず一つ、今のチームを抜けたい理由ね?で、次に2人のチームに入りたいと思った理由だけど、できるだけ元の人数が少なくて、面白そうで、私が入っても問題がなさそうなチームがここだったんだよね。」


先ほどまでの真剣な空気はどこに消えたのだろうと思うほど、軽い理由が出てきて、あまりの落差にどう反応するべきかと悩んでしまう。が、マイはそのままの軽い調子で話を続ける。


「最後。まあこれは取ってつけたような理由だけど2人のチームが一番入った後に元居たチームとあと腐れなく接することができるから、かな。そもそも、前回の試験から今のチームそのうち理由をつけて抜けてやろうと画策してたんだよ。でもチームメンバーのうちの一人はそこそこ仲良くやってたから、その子が納得できるような場所に移籍したいな~って思ってたんだよね。その点においては筆記試験と武術試験1位のチームに移籍っていうのならその子も不服かもしれないけど納得はしてくれそうでしょ?ってことで、どう?納得できそう?私が移籍したい理由。」


言わんとすることは分かる。僕としてはマイを入れることは賛成派だから理由さえ聞けたらそれでよかった。問題はシロナがどう言うかだ。そのシロナは先ほどからずっと黙ったまま何かを考え続けていて全くと言っていいほど反応がなかった。


「…理由は分かった。僕としては移籍してもらうのも問題ない。」


さすがに無反応は問題があるため、僕の考えは伝えておいた。マイは軽く頷いて、シロナにも意見を聞く。


「そっか。シロナはどう?私が来るのは反対?」

「……………まだ理解できない。感情の相性があるのは分かった。でも、能力の相性を捨ててまで移動するほどの理由に思えない。」

「あー、そうだね。それに関しては価値観の相違だね~。私はさっき言った感情の相性を何よりも優先する。けどシロナは能力の相性を優先する。…うん。お互いに好きな方を優先すれば良いんじゃない?ほら、別にさ、2人をバラバラにしろって言ってるわけじゃないでしょ?2人のところに私が混ざったって多分誤差だよ誤差。」

「誤差。」

「そう。誤差。」


そういって2人はじっと見つめ合う。片方はニコニコと笑顔で、片方は無表情で。−やがてシロナがゆっくりと口を開く。


「…分かった。マイの言い分も一理ある。それにさっきユウリと入れても良いかもしれないという結論になった。移籍、してきてもいい。」


その言葉を聞いたと同時にマイの笑顔がさらにキラキラとして全身で喜びを体現しながら僕とシロナの手を握り、ブンブン降ってくる。


「ほんと?!ありがとう!よかったぁ。これで断られたら私、どうやって元のチームに戻ればいいか全然考えてなかったから焦ったよ~。」

「断られる可能性を考えてなかったのか。」

「考えなかったわけじゃないけどね?その辺はノープランで来たよ。」

「ノープラン…。」


ノープラン、というマイの言葉にシロナがほんの少しショックを受けているように見える。マイは気づいていないのかシロナの声をスルーした。


「じゃ、善は急げ!移籍権の行使を先生に宣言してくるね~。2人とも、許可よろしく!」


そういうとマイは部屋を出て行った。


「これからはマイと同室…?」

「…騒がしくなりそうだな。」


あの騒がしさが毎日か、…少し決断を早まったかもしれないと少し遠い目をしたのは仕方がないことだと思う。

11話を読んでくださりありがとうございます。



というわけで、マイ加入です。

ようやくメインキャラがそろったので、そろそろ話が進み始めます。(つまりここまでが導入とも言う)

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