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無敵の三姫  作者: 猫化猫
10/11

10.魔術試験1位

「さっき、マイを呼んだのは昼間に止めているところを見たからだって言ってた。」


昼食時、いきなりシロナがそう切り出した。言い合っているときも時々感じていたが、会話が脈絡なく始まるのはどうにかならないんだろうか。


「さっきっていつだ?」

「朝、1限目の前。」

「いつのまに。…ああ、あの質問攻めのときか。」

「そう。別のクラスのマイをわざわざ呼びに行ったのが疑問だった。」

「だから聞いたと。確かに謎だな。」


おそらくほかの生徒は僕らが入試トップなのもあって自ら止めることをためらったからなんだろう。しかし夜中の1時に寝ていたところを起こされ、他クラスの喧嘩を収めてくれと頼まれたら普通嫌がるものだろう。…相当なお人好しなのか?


「マイは変な人?」

「単にお人好し説もあるな。」

「…こーら、誰が変でお人好しだって?」

「はっ?」


慌てて右を向くとそこにはマイが立っていた。相も変わらず気配が薄いというかなんというか。そこにいることさえ認識してしまえばはっきりと存在を認識できるのに、声を掛けられるまでは全く気が付けない。あまりにもちぐはぐで毎回驚いてしまう。


「隣いい?今日はほかの席は埋まっててさ、ね?」

「ああ、もちろん。」

「問題ない。ちょうどマイに聞きたいこともある。」


シロナが聞きたいこと、と言ったが、こちらとしては正直言ってマイには不思議なことばかりで聞きたいことしかない。


「聞きたいこと~?いいよ、なにかな?あ、でも先約があるから食事が終わるまでね。」

「分かった。まず、昨日の夜、私たちの喧嘩を止めに来た時。あなたは寮の部屋は遠くて止めることにメリットは一切なかったはず。なんで止めに来た?」


さっきの話をシロナがオブラートに包むことなくストレートに聞く。あまりにもストレートすぎて相手の機嫌を悪くしないか冷や汗ものでしかない。


「うん、シロナ、だっけ?は結構ストレートにぶっこむんだね?まあ確かにメリットはなかったけどさ。私だって最初は抵抗したんだよ?いやだぁ~ねる~って。でも2人の仲裁は無理!お願い!って必死にお願いされちゃったんだよね。2人とも美形だし、迫力あるし、成績もこの学院でトップとれるほどすごい人だしで気が引けたんだろうね。だからしょうがないな~、できるとこまでやってみるけど無理だったらあきらめてね?って条件付きでオッケーしたんだ。」


そんな僕の焦りとは裏腹にマイはいたって平然と説明をしてくれる。しかも思ったよりきちんとした理由があったらしく、シロナも納得したようなそぶりをみせている。


「そう、なら次。あなたはどうして私たちを止めることをためらわなかった?今の話で行くとあなたも私たちを止めることをためらってもおかしくないはず。」


相手も気にしていなさそうだし、もうシロナの質問の仕方につっこむことはやめようと思う。そしてそれに関しては人の性格ではないだろうかとあたりを付けたが、返ってきたのは予想とは違った。


「あ、それ?それは簡単だよ。だって私、魔術試験トップだもん。」

「……は?

 …はぁああぁぁぁ~~~~???!!!」

「ちょ、うるさ。」


ガタン!と思わず立ち上がるとマイから文句を言われ席に着く。全く予想のしていなかった答えに驚いたが、確かに今回の試験もチーム戦とはいえ2位だった。それに普段の気配が掴みにくいのも気配は魔法で薄められると聞いたことがある。そしてなにより、魔術試験トップなら僕らに平然と声をかけてこられるのも納得がいく。…性格の問題もあるのだろうが、肩書があるのとないのではきっと大きく違っただろう。シロナはほんの少しだけ黙ったあとに「なるほど」と言って興味深そうにマイを見ている。


「お前が、魔術試験1位…?」

「え、そんなに見えない?えっと、なんかごめんね?」

「見える見えないで言ったら見えない。でも納得できる。」

「そっかぁ。やっぱり見えないんだねぇ。多分これ、先生以外には知られてなかったぽいもんなぁ。…ほらみて?さっきまではちょっとチラチラ見られてただけだったのにみーんなびっくりした顔でこっち見てる。」


…確かに周囲は先ほどのマイの発言から学年問わずほとんどの人が驚きの表情でこちらを見ていた。


「…そうだ!ねぇねぇ2人とも。」

「なに?」


マイがいかにも「いいこと思いついた!」と言わんばかりの表情でこちらを見てくる。


「私、2人のチームに移動してもいい?」

「なんでだ?」「なぜ?」

「うーん、理由は色々あるんだけど、一番はおもしろそうだからかなぁ。」


…意味が分からない。そもそも学院もまだ始まって3日程度しかったっていない。なのにそんな理由で1回しか使えない移籍権を使うつもりか?!シロナも流石にこの回答は予想外だったようで目の前でフリーズしている。


「冗談だよな?」

「おぅ、なんという信用度の低さ。しょうがないなぁ。えーと、今日の放課後、空けといてくれる?その時までにちゃんとした理由整理しとくから。あと今のチームに移籍権使いたい旨相談してこないといけないしね。2人も考えておいてよ。割と真剣に。じゃ、ごちそうさまでした~。ばいばーい。」


その言葉に返事を返す暇もなく、マイは行ってしまった。

しばらくして、ようやくフリーズから帰ってきたシロナと食堂を出て、適当な中庭で先ほどの話を整理することにした。


「マイが魔術試験1位なことは分かった。…それで私たちに接触してきたことも。」

「…そうだな。さっきの話、本気だと思うか?」

「マイは真剣に考えてって言っていた。どちらにしても私たちで話は決めておくべき。」

「移籍権は受け入れる側のチームの許可がいるからな。」

「そう。…私は受け入れるべきではないと思う。」

「理由は?」

「このチームは能力面において最も相性のいいチームで組まれている。マイが入ることで破綻する可能性もある。」


確かにそうだ。きっとその可能性もゼロではないんだろう。…けれど僕としてはマイは入れるべきだと思った。マイは今回の試験、チーム内で喧嘩が起こったにもかかわらず2位という高順位にいる。これは直感でしかないがあの順位はひとえにマイがいたからこそだと思った。きっとマイが入ることでプラスに働きかけるのではないだろうかと思ってしまう。そうシロナにできるだけ理屈や理由をつけて伝える。


「…可能性は、ある。マイが入って破綻する可能性も、…成功する可能性もあると思う。現に私たちは一度マイに仲裁をしてもらってる。それを考慮すれば、受け入れもなしではないかもしれない。」


そうして僕らの結論は、マイの説明次第では受け入れてもいい。ということになった。…後は放課後にマイを待つだけだ。

10話を読んでくださりありがとうございます。



なんとなんと、マイさんは魔術が学年トップでしたー。わービックリだなぁ。

次回はマイの自己プレゼンです。

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