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婚約者を勇者に奪われたが別にどうでもいい  作者: みっちゃん
プロローグ

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第2話 ルクスとアイリ

村中が、アイリの剣聖祝いとして大賑わいをしている中、ルクスとその家族はルクスのことを祝っていた。


この世界の出生率はそれほど高くない、生むのでさえ命懸けの世界だ、そんな生まれた子供も、死亡率が高く主に栄養失調で亡くなることが多い、そのため16歳の職業の儀まで育った子供は盛大に祝われる。


そんな中、家の外からノックの音が聞こえる。


ルクス母「誰かしら?こんな時間に」


ルクスが家に帰ってきたときには既に日が傾き始め、今は外は夜空が輝いている。


ドアを開け確認すると


アイリ「こ.......こんばんは.........。」


ルクス母「まぁ、アイリちゃん!」


ルクス「.............」


そこにいたのは今村が賑わっている原因のアイリだった。


ルクス母「どうしたのこんな夜中に?」どうぞ。


アイリ「はい、実はルクスに用があって」ありがとうございます。


ルクス母「ルクスに?」


アイリ「はい」


そう言ってアイリはルクスの方を見る。


ルクス「..........」


アイリ「すいませんが、ルクスを借りてもいいですか?」


ルクス母「ええ、勿論いいけど..........」


アイリ「ありがとうございます」


アイリ「..........そう言う事だから、ルクス、一緒に来て」


ルクス「..........わかった」


アイリ「ありがとう」


そう言ってルクスは立ち上がり、アイリのところに向かう。


ルクス「ごめん、父さん、母さん、少し席を外すね」


ルクス父「気にするな、未来の嫁さんの頼みだ、これぐらい父親ならきかないととな」


ルクス母「ふふ、まだ早いわよ、あなた」


ルクス「............」


その言葉を無視して家を出る、そしてアイリについて行く。


————————————————————

アイリとの婚約関係は村中が知っている、ルクスの父とアイリの父がそれ程までに仲が良く、それを村中に暴露してしまったからだ。


そして、それをよしと思わない人間もいる、特に男からはその事でよく絡まれていた。


「お前のような奴がアイリと釣り合うわけねぇだろ?」


「さっさと別れろよ!」


「僕の方が断然相応しい」


こう言った事を小さい頃からよく言われていた、その為ルクスは、この村が大嫌いだった。


この村は実力主義の村で、力ある者が権力を持っていた。


ルクスはその中でも中下程度の剣術しかなく、上の者たちからアイリとの婚約関係をなくすために頻繁に勝負をさせられ、その都度ボコボコにされてきた。


しかし、ルクスの父は剣術の腕は上中、アイリの父もそれくらいの実力があり、そんなことを勝手に決めた者たちをさらにボコボコにしていた。


だからといって、ルクスはずっと何もしないまま過ごしていたわけではなく、父と母とともに剣の修行は欠かさずやってきた。


しかし、ルクスは他の者たちと違い、剣ではなく魔法に興味を持っていた。


村の人たちは魔法は邪道だと言い、その書物を全て処分してしまっている。


なら、何故、魔法のことを知っているのか、それは日頃のいじめに耐えきれず、村を飛び出した時に道迷い魔物に襲われた時に、とある者たちが助けてくれ、その時に魔法というものを知った。


それから彼は魔法の事をもっと知りたくなり、村から街に行けるようになった時にこっそりと魔導書を買い、部屋で練習していた。


その為、今日の神の神託の時に魔法使いに選ばれた時は内心とても喜んでいた。


これを理由にしてこの村から出ていこうと考えたほどにだ。


————————————————————

~村の丘~


ここは知る人ぞ知る場所で大きな木が一本だけ生え、後は草原が広がる所だが、ここからだと村が一望できる場所なのだ。


ここに小さい頃からよくアイリに連れて行かれていた。


アイリ「ねぇ」


ルクス「ん?」


そんな事を考えていると不意に声をかけられる。


アイリ「私さあ、剣聖に選ばれてさあ」


ルクス「うん」


アイリ「勇者と共に魔王を倒さなきゃいけなくなったの」


ルクス「知ってる」


アイリ「それにさ.........」


背を向けながら話していたが、こちらに振り向き。


アイリ「ついてきてくれないかな?」


本来であれば勇者、聖女、賢者、そして剣聖の4人パーティだ。何故4人かというと、人が多いと食料問題や宿問題、洞窟の時などの配慮などが多く、人数の割りに合わないらしく、4人ならちょうどいいらしい。


そんな中、アイリは5人目としてパーティに加わってほしいと頼んできた。いつもなら断らないのだが。


ルクス「ごめん」


今回ばかりは無理だ。


アイリ「..........なんで?」


プルプル震えながら質問して来る。


ルクス「アイリだってわかっているだろう?俺はただの魔法使い、魔法だって何が使えるかわからないし、剣の腕だってまだまだ未熟すぎる。とてもじゃないけど、無理だよ。」


言い訳に近いが、全くの正論だった。たとえ彼女の頼みであっても、これだけは無理だろう。


アイリ「………」


アイリは黙ってしまった。怒ってしまったのだろう。しかし、こればっかりは村の人たちもこれから会う勇者たちにも反対されるだろう。


アイリ「……わかったわ。」


どうやら納得してくれたようだ。そう思っていたのだが。


アイリ「1週間後、神父がまた来て私を連れて行く。そして勇者にあってルクスを連れて行ってもらえるように頼む。」


何言ってんだ?こいつ。


ルクス「いや……それは流石に無理なんじゃ。」


アイリ「いいえ、もし一緒に行かないと言うのなら……。」


アイリ「私も冒険には行かない。」


唐突な問題発言をしてくるアイリ、言ってやったぞ!と言うようなドヤ顔が目の前に広がる。


ルクス「………」


ルクス「それでも……。」


アイリ「え?」


ルクス「それでも、無理だと思うよ。だってそんなことになったら、邪魔の存在である俺は間違いなく消される。」


魔王が復活して世界が滅亡の危機に瀕している中、恋人と一緒に行けないなら行かない、と言うのであれば、特例として連れて行ってもらえる可能性もある……が、たかが魔法使いで、戦闘も対人戦、実力も底辺、せいぜい荷物持ち程度しか慣れない中、更に足を引っ張る存在。


それなら、行かない理由の存在を消したほうが効率がいいだろう。


たった1人の死で何千何万の命が助かるのだ。それに悲しむ者なんてたかが知れている。


そのことを説明すると、流石のアイリも何も言えないようで。


アイリ「わかった。」


と言って、諦めてくれた。


ルクス「ごめんな、俺が不甲斐ないばかりに。」


アイリ「全くその通りよ。貴方がいないと意味がないのに。」


その姿は周りから見れば恋人同士の哀しい話と見えるだろう。


ルクス「俺にも剣の腕があれば、一緒に行けたけど、生憎そんな実力もないし、そもそも俺魔法使いだしな。」


アイリ「ほんとそうよ。せめて魔法戦士ぐらいにはなりなさいよ。」


そう言いながら、2人は丘から離れて村に向かう。幸い空は曇り一つない綺麗な夜空で、月の光であたりはよく見える。転ぶことはないだろう。


ルクス「...................」


アイリ「...................」


2人は終始無言で歩き、ルクスはアイリを家まで、(と言っても隣だが)送り、ルクスは家に帰った、父と母に先程までの事を聞かされ、先ほどまでの事を言うと苦虫を噛み潰したような顔をしながら


ルクス父「こればっかりはしょうがない。命があってこそだ。死んでしまったら意味がない。」


ルクス母「そうねぇ。アイリちゃんが剣聖にならなければこんなことには。」


と言って2人も落胆していた。


————————————————————

続く

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