第13話 アカギside 魔女
彼女は生まれた時から魔力が他の魔法使いよりも高かった。
それ故に人々からは魔女と呼ばれ、忌み嫌われていた。
それに拍車をかけたのはリムルの魅了の眼だった。それにより2人はさらに忌み嫌われ、仲間など、友達などいるはずもなかった。
アカギ「……あ……いや……その……」
村人A「ああ……何言ってんののかわからないよ」
村人B「てめーの兄貴には随分と世話になったからなぁ、その「お礼を」してもらわないとなぁ」
村人C「そうだなぁ、俺たちの性欲を満たすまでは例え泣き叫んでも殴ってでも犯すからな?」
アカギ「い……いや……いや……!」
アカギはいつも男達から常に狙われている。その理由はリムルの魅了の眼で取られていった彼女や妻達の彼氏や夫だ。全く違うのにも関わらず、兄妹だからという理由でそのストレスを発散しようとする。
村人A「逃げんなよ!」バギッ
アカギ「痛!」
そこから逃げようとするアカギの顔を殴る。女だから手を出さない。そんな事はない逆だ。
村人B「おいおいwなに泣いてんの?男女平等なんだろ?w」
村人C「ま、例えそうじゃなくてもこれは罰だから仕方ないけどなw」
そして倒れたアカギを蹴ろうとする……
アカギ「いや……いや……いや!」カッ
が
村人A「!?」
アカギ「いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
村人B「う……うわ!!??」
叫びと同時に魔力が高まり、そして
村人C「ぎゃあああああああああああああああああああ....................」グジュッ
ドン!
という爆発音と共に彼らは吹き飛び、その衝撃で体が潰れる。幸い彼らがアカギを襲ったのは裏路地で周りの人はおらず、誰かが来ることはなかった。
アカギ「はあ……はあ……はあ」
その場に座ったまま呼吸を整える。しかし
アカギ「ウグッ…..オエ」ビチャ
死体を見てしまい吐いてしまう。
アカギ「オエエエエエ……」ビチャビチャ
何度も何度も中がなくなっても、それでも吐き続けた。
そして数分…数十分…どれだけ時間が過ぎたかわからないが、やっと落ち着きを取り戻し、
アカギ「ぅぅ…..ひっく…..ああああああ……」ポロポロ
今度は泣き始めた。
アカギ「もう.....もう.....いやぁ.....いやだぁよぉ.....」うぐ.......ひっく
こんな事、最早日常茶飯事だ。しかしそれが嫌なのだ。そんな命を狙われる生活に慣れてしまっている自分に嫌気がさすのだ。
アカギ「なんで.......」ううう
その場から離れるために立ち上がる。フラフラしながら、おぼつかない足取りで去っていく。
アカギ「どう.....して...........」ずずー
アカギ「こん....な.....目に......合わないと.....いけ....ないの.....!!!!」
アカギ「助けてよ.............」
我慢していた思いが。
アカギ「誰でもいいからぁ..........」
封印していた心が、鎖がバギッと聞こえるかのように崩れ去り、溜めていた思いをぶちまける。
アカギ「助けてよぉ!!!!」
アカギ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
どうしてこんな目に遭わないといけないのか。ただ生まれてきただけなのに、この世界は残酷だ。
そんな生活をしているうちに、彼女は人間が特に男の人がダメになった。移動も常に兄であるリムルと行かなければ外に出られないほど重症と化した。
しかし、これでもまだ良くなった方だった。最初は兄のせいで酷い目に遭っていたため、兄ですら駄目だったが、兄の苦しみも理解し始めると多少は大丈夫になったらしい。
そんな中、母が死んでから1人でリムル達を育ててきた父が再婚した。それが義姉アマギとの出会いだった。
義姉アマギはアカギの、持って生まれた才能に怯えることがなく、むしろ興味津々だった。リムルの魅了にもかからず、少しの間幸せな日常を過ごした。しかし、それもリムルの魅了で全てが崩れ去った。
それは、義母がリムルの魅了にかかってしまったのだ。
そのせいで父は暴力的になり離婚。アカギ達は王都に行き、そこで暮らし始めた。本当だったら静かな村に行きたかったが、アカギ達を養うためには行くしかなかったらしく、過労で死ぬまで最後まで母親らしいことをしてくれた。
そんなある日、一人暮らしをしている義姉から連絡が入った。どうやら弟子が出来たようであって欲しいとのことだった。
本当だったらそんなの断って家にいたかったが、その日は何故か行って見たいという気持ちになっていた。
アカギ(義姉さんの弟子、どんな人なんだろう?)
義姉が認めた弟子、それがアカギの運命を変えた。
義姉のところに行くと1人の少年がいた。彼の名前はルクス、驚くことに剣聖の子孫達が暮らす村出身なのだそうだ。しかし剣の才能がなく、そのかわりに魔法の才能がある彼は忌み嫌われ、それに嫌気がさし、村を飛び出し魔物に襲われているところを義姉に助けてもらったらしい。
アカギ(なんか.......私達と似ている)
それが彼の第一印象だった。
剣聖の村に興味があった彼女は自分の意思で彼に尋ねてみた。
人と話すのが苦手な彼女は上手く喋れなかったが、それでも彼は真剣に聞いてくれて答えてくれた。それがなによりも嬉しくて楽しかった。
彼は2人の事を義姉から聞いており、その辛い出来事も知っていた。それでも彼は変わらず、彼らと接した。
最初は敵対心を出していたリムルも次第に打ち解け合い、今ではかけがえのない友人となっていた。
アカギ自身も彼に懐き、いつもならリムルと一緒に行かないとダメだった外も1人で行くようになった。
彼と話すことが全てが新鮮でとても楽しく、彼と別れるときはとても辛かった。
早く会いたい、早く話したい、そう思えるようになった。
彼と話すときは心が満たされ、たまに王都の街を一緒に行くときは離れないようにと手を繋ぐ。それだけで幸せな気持ちになった。
今まで嫌いだった魔法も、彼に見せるととても喜ぶため大好きになった。
彼と過ごす1分1秒がこれ程大切なものになるなんて思いもよらなかった。
そしてこれが恋だということにも気づいた。
アカギ(私......やっぱり好きなんだ、ルクスの事)
最初はもう1人の兄として見ていた。しかし徐々に別の感情が芽生え、本でこれの正体を知った時彼女はその想いを心にしまった。
アカギ(私には勿体ない......だって私は"魔女"なんだから)
今はまだなにも起きていないが、もし正体がバレればここにいられなくなる。そしたら2度と彼に会えなくなる。それがなによりも辛かったのだ。
だから彼女は妹を演じる。決して実らない恋だからと自分の心を押し殺して。
それでも......やっぱり.......
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~そして現在~
今、アカギはルクスの隣にいる。リムルが勇者となって旅立ったのだ。
そして、作戦が無事完了して喜んでいる最中だ。
アカギ「ねぇ……ルクス」
ルクス「ん?どうしたアカギ?」
ルクスに抱きつき、アカギは深呼吸をする。
アカギ(ずっと押さえ続けてきた感情……私が魔女だからと諦めていたこと……)
そんな自分に彼は言った
。
「もう魔女なんて言わせない」と。
だったら、私も言っていいのかな?
もう我慢しなくてもいいのかな?
そう思い、彼女はルクスに想いを伝える。
アカギ「私……ね、ルクス……の……事……が……大好き……!」
そう言って彼女は彼の唇を奪った。
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続く




