先に置く — 本文と余白の往復譚
本名と官報が人を定義する近未来の町。記憶の欠落と引き換えに「手順」を携えた青年サクは、呼吸(吸=注記/吐=本文)、歩幅、視線、そしてギターの〈五・七・開放〉で記録を読み直す。“紙は後から強く、音は先に弱く広い”。町の所作が増えるほど、冷たい本文は「読める体」へと戻っていく。やがて、未来の記録を守る友・海斗は自らの“遅れ”を失う代わりに、戸惑いを検知して注記を浮かせる規格〈S−∴〉を残した。延命でも焼却でもない、往復としての第三の道――「先に置く」。これは、記録と人間が共存するための手順の物語。
第1話 名前のないサビ
2025/08/27 04:13
第2話 写真の温度
2025/08/27 04:15
第3話 母音の抜けた手紙
2025/08/27 04:16
第4話 三証式(さんしょうしき)
2025/08/29 21:00
第5話 証拠の温度
2025/08/31 21:00
第6話 遅れ拍の誓い
2025/09/02 21:00
第7話 余白の地図
2025/09/04 21:00
第8話 廃駅の鍵
2025/09/06 21:00
第9話 注記の人
2025/09/08 21:00
第10話 本文に戻る体(前編)
2025/09/10 21:00
第10話 本文と余白の往復(後編)
2025/09/12 21:00
終章 先に置く
2025/09/14 21:00