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本部(2)

「え!マジで!?」

怒りも忘れて思わず声をあげた。

自分でも目が輝くのがわかる。

「そうだ。お前の特性を計算して、最適な武器と防具が用意されている」

「す、すげえ!俺の?俺のなんだよな!?」

俺専用の、俺の特性に特化した、特別な武器と防具がついに!ついにできたんだ!!

「ッシャー!!」

思わずガッツポーズをした。

だって超楽しみじゃん!

「よし、まずはどっちを見てみたい?」

「武器!!」

即答。そりゃあ武器でしょ、やっぱ。

親父が十文字の武器みたいなのをスチャッと出した時、めちゃカッコよかったもんな。

近未来的なレーザー銃とか剣みたいのでもいいけどさ。

安心・安全第一・安定がモットーの俺としては、武器も防具も嫌でたまんなかったけど、いざ手元にくるのなると興奮するもんだな。

「わかった。ナノ、アタルの武器を頼む」

「ナノ!?」


「はーい」

にょろん 


返事と一緒にナノが現れた。

「なんでナノがここにいんの!?」

「ん?家にいただろう?」

「え!なんで知ってんの!?」

「見えるからな。俺にはナノが見えるんだよ。ちなみに話もできる」

「え!・・じゃあもしかして、ハンバーガーのことも・・」

親父がクツクツと笑っている。

「あー!ナノ!お前がバラしたのか!」

「バラすって何を?AJが食べてた物の名前を訊いただけだよ」

「ダー!結局言ってんじゃん!!」

「まあまあ、ナノは探究心が旺盛なんだよ。なんでも記憶したがる。それはお前もわかってるだろ」

不貞腐れながらも頷いた。

モグのことも、めっちゃ知りたがってるもんな。

「次からは、何でもかんでも親父に言うんじゃないぞ!俺に断ってからだかんな!」

「じゃあ好きな子の話もしないほうがいいの?」

ドキリとした。

ナノの目が悪い目になってキラリと光っている。

コイツ!ぜってぇワザとだな!

「好きな子!?」

やべぇ!親父がめちゃくちゃ食いついている。

「AJが、友達に好きな子の話ししてたの」

「バカ、よせ、ヤメロ!!」

「誰が好きなんだって?」

「あのねー、」

「バカ!ヤメロって言ってんのがわかんないのか!?」

「まるくてね、」

「わーー!わーー!ヤメローー!!」

「イボイボしててね・・・」

ふむふむと聞いていた親父が爆笑している。

だから嫌だったんだ・・・!


屈辱だ!親父にすっかり知られるなんて、屈辱以外の何者でもない。不貞腐れて胡座で座っている俺に、ナノがご機嫌を取るように話しかけてきた。

「ほら!いまAJ用の武器を出すから見ててね〜」

話しかけられても無視だ無視!

そう思ってはいたんだけど、ナノが目からビームを出して、目の前の空間に武器らしき物の影が現れ始めると、無視なんてしていられなくなった。

「すっげえ!ナノの目力って、物まで出せるんか!」

プロジェクターだけじゃなくて保管庫にもなれんだな。

ワクワクしながら見ていたけど・・これって・・武器?

出てきたそれは赤褐色で細い筒状のものだった。

形はタピオカとかスムージー用のストローだ。

お世辞にもカッコいいとは言い難い。

っていうか、どう見ても、ぶっといストローだし!!

ワクワク感が急速に萎んでしまった。

宙に浮いたそれを手に取ると、触った部分の色が変わる。よく見ると、粒のような模様がたくさんあった。

「これ・・なに?」

「・・・なんだろうな。俺にもわからん」

「え!?じゃあ、どうやって使い方をマスターするんだよ?」

「だから、訓練するんだよ」

「訓練?」

「その武器・・のはずだが、それはお前のためだけに存在する。逆に言えば、誰にも使いこなせないってことだ。だから、様々な状況が再現されているここで訓練するんだ」

親父が訓練に固執してたのは、こういうことだったのか。

萎んでいたワクワク感が少し復活してきた。

どう見ても、ただのタピオカストローなんだけど、俺にしか使いこなせない代物なんだ。それって、すげえ特別感だよな。

これが武器って言われても全っ然ピンとこないけど、とりあえず俺だけの武器なんだ。この際、見た目は気にしないことにしよう。

「なあ、防具の方も早く見たい」

どうしよう。わくわくが止まらない。

「ふむ。防具っていうより、ユニフォームだな」

親父が顎に右手を当てて言った。

「ユニフォーム?じゃあさ、そのユニフォームに、その場に合わせた防具がつくってこと?」

「いや、ユニフォームにつくわけじゃない。ベースのユニフォームそのものが、状況に合わせて防具に変化するんだ」

え!なんかすごくね?でも・・・

「だったら、俺と親父のユニフォームは同じでもいいんじゃないの?どうせ防具に変化するんだったら、同じことじゃん?」

チッチッチ 親父が人差し指を立てて横に振った。

「そうじゃないんだなぁ。父さんとお前では、体型も運動能力にも違いがある。当然だけどな。だから、ベースユニフォームも違うし変化後の防具も違う。お前のユニフォームは、お前にしか使いこなせない。お前だけのものだ」

「おほぉ!」

よしよしよしよし!心の中でガッツポーズをした。

「ナノ、ユニフォームも出してやってくれ」

「オッケー」

ナノは軽い調子で返事をすると、またビームを出した。

「お・・おお・・・おおお・・」

予想はしてたけど、防具まで出せるなんて、マジでナノのポテンシャル高え!

でもなんか・・ユニフォームの形がちょっと・・

「ほら!」

そう言って手渡されたユニフォームは・・

ユニフォームは・・

全く着る気になれない代物だった。

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