1 初めての海釣り 地元は温泉地
カッコーン…
「はぁー…きもちぃ…////」
そこそこ有名な温泉地。
地元の人しか入れない高温で有名な温泉でテレビでも取り上げられた共同浴場。
常連の"たまご"はそんな45℃以上当たり前の激熱温泉に平気で入り、気持ち良さそうな声をあげていた。
「お客さーん。そろそろ閉店すっから、おしまいだで」
「えー…もう、ちょっとだけ♡」
彼女の名前は″すもも″
この共同浴場で働く。たまごの幼なじみだ。
「こんな、あっつい温泉さ、浸かってっとすぐばぁさんになっちまうぞ!」
「もう!うるさい!」
すももと違ってたまごは友達が少なく、テレビばかり見て聞く言葉は標準語だったせいかぜんぜん訛っていなかった。
「もう、あたしらも29だってよ!あたしには"あんず"がいっからいいけんど、あんたどうすんの?いい人いんの?」
「ほっといてよ…」
そっぽをむくたまご。
「せっかく、色白卵肌!マシュマロボディのいい身体してんのにいたましぃねぇ」
「見ないで!恥ずかしい…」
『いたましい』とはもったいないという意味だ。
「まあ、でもあんたより背の高い男はこの田舎じゃ少ねぇからな…」
「うるさい!ちびには言われたくない!」
「ねぇ出掛けね?男探しに」
「はぁ!?どこに?」
「海!」
「海!?」