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俺達はワイバーン内での悪鬼と人間、そして死霊の呼び名を変えた…ショッカー対策班…なんか脳筋野郎を集めた感じで不安があった。

俺はインターコムで皆に話しかけた。


「皆、今日は俺達ワイバーンは葛西近くの指定された場所に陣取って現場で対応しきれない事態に出動する即応任務だ。

 だけど絶対に油断しない様に。

 誰も死なない様に気を付けてくれ…それと…今日から俺達ワイバーンは悪鬼の事をアナザー、人間の事をヒューマンと呼び名を統一したいんだけど、どうかな?」


「彩斗、俺は賛成だぞ。」

「うむ、われも賛成だ。」


明石と四郎からすかさず賛成の言葉を聞いた。


「私もよ、彩斗が言い出すのを待ってたわよ。」


ジンコが付け加え、その他の皆が賛成した。


「そうね、ショッカー対策班みたいな差別する奴らと同じになりたくないからね~!

 私達ワイバーンは色々な種類の者が差別も偏見も何もなく完璧に組み合わさったチームなんだからさ。

 帰ったら圭子さんや司や忍にも伝えましょうよ。」


真鈴が笑顔を俺に向けた。

ああ、俺は良い提案をしたんだなと、嬉しくなった。

はなちゃんが手を上げた。


「彩斗!良い事を言ったじゃの!

 じゃが、いささか片手落ちじゃの!」

「え?はなちゃん、片手落ちかい?」

「そうじゃの!

 確かに悪鬼と言うと負の感じが強くてどうかと思っていたじゃの! 

 じゃがの、わらわ達は死霊と言う呼び名のままじゃの!

 わらわなどは神とも呼ばれたこともあるじゃの!

 それに、もうわらわだけではなく加奈やスケベ死霊達もワイバーンのメンバーじゃの!

 もちっと格好いい呼び名を要求するじゃの!」

「ああ、そうか、確かにね…。」


なるほど、はなちゃんも気にはしていたのか…。

加奈もふくれ面をして俺を見た。


「その通りです彩斗~!

 私たちにも何かかっこよい呼び名を付けろ!ですぅ!」


真鈴が考え込んだ。


「そうか~確かにはなちゃんが言う通りね~!」


因みに真鈴には加奈の声は聞こえていない。

最近は加奈が何か言う度に俺や凛などが通訳するのだが、今日ははなちゃんが話しているので面倒くさいから加奈の言う事は無視している。

はなちゃんの言葉で大体の意思が疎通できるだろう。

真鈴がジンコを見るとジンコが言った。


「そうね~日本語で漢字にするとおどろおどろしくなるのよね。

 英語にする?」

「ジンコ、英語だとどうなるの?」

「え~と、死霊と言う意味ではアンデッド、それか、リビングデッドと言う感じかな?」

「きしゃあああああ!

 ジンコ!それではわらわ達はゾンビと言う事になる感じでは無いかじゃの!」

「そのとおりですぅ!

 酷いですぅ!加奈がゾンビだなんて~!」

「ジンコ!加奈も文句を言ってるじゃの!」

「あ~はいはい、そうね今の日本ではゾンビのイメージが強いわね。

 後はゴーストかファントム…幽霊と言う意味ではゴーストの方が強いかな?

 他にドイツ語だと…。」

「まて、ジンコ!わらわはスカトロヒーもうまく言えんじゃの!

 難しい発音は御免じゃの!」

「加奈も難しい言葉は嫌ですぅ!」

「大丈夫よはなちゃん、簡単な言葉よ。

 ドイツ語だとガイスト…。」

「…。」


はなちゃんは黙り込んだ。


「今一ごついじゃの。」


ジンコがため息をついた。


「じゃあ、フランス語はどう?

 フランスだけじゃ無くてラテン系の国ではほとんど通じるわよ。

 フォントーム、最後に小さく、『ん』を付けるのだけど…。」

「…。」

「えと…じゃあスペイン語では?

 ファンタースマ。

 これなら簡単でしょ?」

「…うきゃきゃきゃ!ファンタースマで決まりじゃの!」

「加奈も異議なしですぅ!

 リビングデッドより何百倍も良いですぅ!」

「あ~はいはい、じゃあ彩斗リーダー、はなちゃんや加奈やスケベ死霊達をファンタースマと呼ぶ事で統一するけど良いかしら?」


まぁ、無難な所だろうな。

俺はジンコの申し出に賛成して皆も賛成した。

こうして俺達ワイバーンは以後、悪鬼をアナザー、人間をヒューマン、死霊をファンタースマと呼ぶ事にした。


「ファンタースマ!かっこよいですぅ!お洒落ですぅ!

 彩斗、私の事、ファンタースマ加奈って呼んでみて!」


加奈がはしゃいだ声を上げた。


「…ファンタースマ加奈。」

「うひー!かっこよいですぅ!」


加奈が弾ける笑顔で足を踏み鳴らした。

あ~はいはい。


俺達の車は葛西駅からほど近い倉庫に到着した。

中に入ると応急の作戦指揮所のような感じになっていて、色々なモニターが並び町中の監視カメラ映像を映し出し、葛西駅を中心とした半径2キロを表示した巨大なモニターが正面に鎮座していた。

ショッカー対策班や岩井テレサの調査部の人間達は慌ただしく歩き回り、そして倉庫の隅にソファとテーブルが並べられ、カスカベルやスコルピオ、タランテラのメンバーが座った待機していた。

悪鬼…いや、アナザーのメンバーが多くいるのでテーブルの上にはお菓子と飲み物が山盛りに積まれていた。


「は~い、彩斗達来たね!」


リリーがお菓子を頬張りながら俺達に手を振った。


「あら、加奈も来ているの?

 昨日はご苦労様ね、何人か死霊仲間がやられたって?

 大変だったわね。

 気を落とさないでね。」

「リリー、今日は奴らを何とか捕まえるのを見届けたいですぅ!

 あ、それから今日から私やはなちゃん達の事をファンタースマと呼んで欲しいですぅ!」


リリーが笑顔で両手を加奈に伸ばした。


「あら、お洒落で良いわね~!

 ファンタースマ加奈ぁ~!」


リリーが加奈に向かって両手をひらひらさせると加奈が嬉しそうにはにかんだ。


「なに?彩斗達、死霊の呼び名を変えたの?」

「そうなんだよリリー。

 岩井テレサ達に習って俺達も悪鬼をアナザー、人間をヒューマン、死霊をファンタースマと呼ぶ事にしたんだ。」


リリーやその他の悪鬼や人間のメンバーも笑顔になった。


「あら、素敵じゃないの!

 あなた達ワイバーンはメンバーの彩りが豊かだからね~!

 いいと思うわ~!」


そこまで行ってからリリーは別の隅に待機しているショッカー対策班を見た。

ショッカー対策班の機動部隊は皆、重装備でむっつりと座っていた。


「偏見を排除しないとチームとしてうまく機能しないからね…あいつら…悪鬼…アナザーを殺す気満々だからね…今回は生け捕り最優先なんだけど、奴らに任せるのは少し不安よ。

 あいつらの敵意が足を引っ張るかも知れないわ。」


真鈴とジンコ達もショッカー対策班をちらりと見て苦い顔をした。


「そうね~、人間…ヒューマンとアナザー、ファンタースマの中で一番偏見に囚われているのは…ヒューマンなのかもね…。」


ジンコがぼそりと言い皆が頷いた。

確かに人間は未だに偏見や差別から逃れられていないで同族同士で互いに大掛かりな殺し合いを続けている。


横で話を聞いていたノリッピーが豆せんべいの袋を取って一つ取り出した。


「そうなんだ、今はね~奴らの思うつぼの様な状況になりつつあるようで心配しているんだよ。

 何というか、奴らの目的はヒューマンとアナザーとの全面対立と言う感じの図式を作り出そうとしているようなね…昨日、岩井テレサとも話したけど、この傾向がエスカレートしたらどうなるのか…少し不安だよね。」


そう言うとノリッピーが豆せんべいをバリバリと齧った。


俺達もソファに座ってお菓子や飲み物を手に取った。


「成る程な…奴らが時々チラチラと俺達を盗み見ているが、恐怖と不信の念が滲み出ているしな。」


明石がため息をついてバームクーヘンを口に入れた。

成る程共同作戦は難しい。


「とにかく今回は彼ら彼女らが先走って重要な証拠をぶち殺さないように気を付けないといけないね。

 はぁ、私たちはデリケートな問題を抱えてるよ。」


ノリッピーがそうぼやくともう一つ豆せんべいを手に取った。


「さてさて、ワイバーンも来たからもう一度担当区域と出動基準、行動手順の確認をしようか…。

 今回は本当に生け捕り最優先でデリケートな行動を要求されるよ。

 皆、気を引き締めて行こう。」


ノリッピーはそう言うと大きな地図をお菓子の上に広げた。







続く


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