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ユキと死霊屋敷に戻ったら、死霊の加奈が念動の訓練をしていた…乾は『ひだまり』に来たが真鈴がお休みで非常に判りやすくがっかりしていた。

翌朝、俺とユキは朝食を済ませた。

実はユキが寝ている間に朝のトレーニングをしていた。

日本間で準備運動をして公園まで走り、ストレッチをしてまたランニングで戻って来た。

マンションに帰ってきたらユキも起きていてトーストを焼き目玉焼きを作ってくれていた。


「彩斗、トレーニングに行ってたんでしょ?」

「うん、すっかり習慣になっててさ。

 トレーニングしないと落ち着かないんだよ。」

「うふふ、まるでスポーツ選手みたいね…でも…怠けると殺されるかも知れないし…。」


そこまで行ってユキは黙って俯いた。


「ユキ、俺は大丈夫だよ。

 ユキがいるからね。

 シャワー浴びてくるよ。」


ユキは頷いた。


「彩斗、今度トレーニングする時は私も連れてってね。」


その後朝食を済ませ、明石のマンションに寄って郵便物をポストから出して死霊屋敷に向かった。

明石のマンションの近くも暴動の跡などはなく、ほっとした。

ラジオでは警察庁のショッカー対策班の発足等、政府は対策を立てているので一般の人々に落ち着く様に、暴動に加わらない様にと呼びかけていた。

世界でも最初のヒステリー状態からは少しは沈静化したのか一触即発状態の国の幾つかが落ち着きを取り戻そうとしていたが、中国だけが未だに自国の一地方に対しての戦術核攻撃をする体勢を崩していなかった。

それどころか日ごろの不満がこの騒ぎで再燃したのか過激なデモがそしてやはり過激に鎮圧する武装警察などの暴行が世界からの非難を浴びている。


「彩斗、このまま落ち着くと思う?」

「そうだねユキ、かなり落ち着くとは思うけど…日本が今までの様に平和になるかどうか判らないな…色々な不満、政府とか普通の人の差別意識とかが一気に噴き出して騒ぎになったからね。

 皆、表に出さなかったけど色々不満や敵意を抱えていた事が判ってしまったし…昔みたいな平和でみんな礼儀正しくてマナーが良いと言う日本に戻るかどうか…判らないよ。」

「…嫌な世の中になりそうね。」


死霊屋敷に戻る途中、死霊屋敷の最寄り駅で少し買い物をした。


「この辺りってそこそこ便利なのよね~なんか意外。」


買い物を抱えたユキが俺に言った。 


「そうだね、田舎とは言え大体の物は買えるしね…この先に少し小さいけど飲み屋街みたいなのも有るんだ。」


やはり買い物を抱えた俺が言うと、ユキはその飲み屋街を見てみたいと言うので、買い物をランドクルーザーに載せると歩いて飲み屋街に行った。

昼間なので静かだが夜はきちんと営業しているであろう居酒屋やカラオケスナックが何件か並んでいる。


「少し歩くと結構住宅街とかあるから夜は結構賑わうかもね。」

「そうね、彩斗、それにこの辺りは少し田舎だから却って馴染みの人達が常連でやっていけるかもね…昨日、みーおばさんがあんな事言っていたし、今の所より静かな所だからこの辺りに店を移しても良いかな?って勝手に思っちゃった。」

「そうか…確かのこの辺りなら変な暴動とかとは無縁かもね。」


俺達はランドクルーザーに乗り込んで死霊屋敷に向かった。


「彩斗、あの駅から彩斗の屋敷までどれくらいだろう?」

「うん、車で25分くらいかな?

 タクシーでも2000円くらいで行けるとは思うよ。」


俺がそう答えると、ユキは何か考え込んでいた。

死霊屋敷に戻ると、死霊になった加奈が暖炉の間のソファに座り、テーブルに広がったトランプのカードをじっと見つめていた。


「彩斗、おかえりですぅ~。」

「加奈、何をしているの?」


俺が尋ねると横でユキが小声でえ?加奈ちゃんがいるの?と聞いて来た。


「ここにいるですよ~!

 ユキちゃん元気ですか~?

 彩斗、通訳して欲しいですぅ~。」


俺は仕方なく加奈の向かいに座ってユキに加奈が言った事を通訳した。


「ユキ、加奈が『ユキちゃん元気ですか~?』と言っているよ。

 今、向いのソファに座っているよ。」


ユキは多少戸惑った表情ながら向いの加奈に頭を下げた。


「加奈、私は元気だよ。

 ありがとう。」

「いえいえ、どうぞゆっくりして行ってくだいね~。」

「ユキ、加奈が『いえいえどうぞゆっくりして行ってね』と言っているよ。」

「あ、はい、ありがとう。」


ユキは戸惑いながらも加奈に笑顔を向けた。


「所で加奈は何をしているの?」

「はなちゃんが静岡に出張する時に教えてもらったですぅ~。

 訓練すれば加奈も物を動かせるようになると言っていました~。

 今その練習ですぅ~。」

「ふ~ん。

 ユキ、加奈は今念動の訓練をしているんだってさ。

 このトランプを動かせるか練習しているんだって。」

「へぇ~そうなんだ。」


ユキが興味深そうにトランプを見た。


「そう言えば心霊動画とかで物が動いたりするもんね~。」

「ユキちゃん、あれは多分私の様に念動で物を動かす訓練をしているのかも知れないですぅ~。」


なるほど、心霊動画とかで物が動く時に何かぎこちなかったり必要以上の力が入っていたりする、ちょっとぶきっちょな感じがする時があるけどそういう事なのかな?


「あ!動いた!彩斗!今端っ子のトランプが動いたよ!」


確かに端っこのトランプが数枚動いた。


「ふぅ~中々力の加減が難しいですぅ~。」


加奈がソファの背もたれに体を預けてため息をついた。


「ユキ、確かに今のは加奈が動かしたそうだよ。

 でも力加減が難しくて少し草臥れている感じ。」

「そうなんだ~でも、その内見えない私でも加奈ちゃんと何か意思疎通できるようになれば嬉しいな。

 加奈ちゃん、頑張ってね~!」

「あいあい!頑張りますぅ~!

 ユキちゃんありがとうですぅ~!」

「ユキ、今加奈がユキにありがとう頑張るって言ってるよ。」


と言う訳で俺の通訳を通してユキと加奈はいくつか会話をした。

そして俺とユキは買い物を部屋に持って行き、屋敷の外に出て家を建てる所を風の通り具合や陽の当たり具合を見ながら話し合った。


結局、屋敷のやや北東の部分に50坪ほどの区画を作ってそこに家を建てる事に決めた。

この場所なら少し地下道を掘れば岩井テレサの敷地に繋がる地下道に直接アクセスできるし、屋根付きの通路を作ればプールにも死霊屋敷にも濡れずに行き来が出来る。


俺は紙に線を引いて家の大体の間取りをユキと話し合った。

そして、ユキがまだ敷地で採れたイチゴを使った『ひだまり特製イチゴ特盛ショートケーキ』をまだ食べていないと言う事で『ひだまり』にコーヒーとケーキを楽しみに行く事にした。

『ひだまり』の駐車場にはウィンチやらアニマルバーが付いた古めかしいランドローバーシリーズⅡが停まっていた。

俺ははは~ん、乾が来ているな、と思った。

店に入るとやはり乾がいつもの席で少ししょんぼりした感じでコーヒーとチーズケーキを食べていた。

意外と判りやすい奴だった。


俺とユキは個室に行き、凛がオーダーを取りに来た。


「彩斗、いらっしゃい!

 ユキちゃんも久し振り~!」


凛が笑顔で可愛くユキに手を振った。


「凛、まだユキは『ひだまり特製イチゴ特盛ショートケーキ』を食べていないんだよ。」

「え~!それはもったいないわよユキちゃん!

 ぜひ今日食べて行ってね!」

「うん、ありがとう。食べて見るわ。

 彩斗が一押しなんだよね。」

「そのとおり、私も一押し。

 今まで食べた事が無いくらい美味しいわよ。

 喜朗おじがね、イチゴを使った新メニューも研究しているのよ。」

「ところで凛、乾は今日も来ているね。」

 

俺が尋ねると凛が面白そうな笑顔になった。


「そうなのよ~真鈴が急遽静岡に出張になっちゃったでしょ?

 乾はそれを知らずに来て、暫くお店の中を見回して真鈴がいないからね聞かれたから真鈴は暫く用事があってお休みですと伝えたら凄く判りやすくがっかりしているみたいよ~!

 それではブレンドコーヒー2つと『ひだまり特製イチゴ特盛ショートケーキ』2つをお持ちいたします。」


凛が個室を出て行くとユキが俺の顔を見た。


「え?彩斗、真鈴のファンの人なの?

 でもまぁ、真鈴もジンコも凛も、ここの女の子たちは皆美人で可愛いから当たり前よね~!」

「ユキ、そうなんだよ。

 でも、少し訳ありでね~。

 今来ている真鈴のファンはね、少し訳ありなんだよ。」






続く


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