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俺達は敵の捜索に真鈴とジンコとはなちゃんを静岡に送り込んだ…俺とユキの家か…そうなれば当然…。

翌朝、トレーニングと朝食を済ませた俺達は今後の行動を決めた。

真鈴とジンコとはなちゃんが上岡夫婦を連れてボルボで静岡に向かう事に、静岡では調査部の田所達と合流して現場付近を調べる事になった。


「現場100回ね。

 上岡さん達の家とか、襲われた公園付近、静岡駅のロータリなどはなちゃんを連れて行けば何か収穫が得られるかも。

 あの辺で白人の男の子は結構目立つと思うから聞き込みをして見るわ。」


真鈴達はそう言い、2~3泊分の着替えとジンコの宇宙飛行士試験のテキストなどをボルボに載せて出かけた。

明石か四郎か凛か誰か悪鬼を付けたかったがはなちゃんがいなくなることで死霊屋敷の防備が薄くなるので仕方なく、真鈴とジンコに行ってもらう事にした。

結構繁盛している飲食店などに暴徒の襲撃があり略奪に会ったと言うニュースを見て、『ひだまり』の守りも固める必要があった。

ジンコは警察庁警視の身分証を持っているので何かあった時に役立つだろう。

静岡県警にも協力してくれるようにとの要請を岩井テレサの組織が手配してくれていた。


加奈は留守番をして杏奈の面倒を見る事になった。

俺はずっと留守にしている俺と明石のマンションの様子を見に行きがてらユキの家に行かせてもらう事になった。

本当は昨日の夜にユキの家に行きたかったが…。


「彩斗、ここの守りは固めておくぞ。

 何かあったら連絡するから心配するな。

 念のためにSIGとかも持って行けよ。

 今の状況では武装は必要だからな。」


四郎が俺の肩を叩いて言った。

そう、今ならユキはSIGを見ても驚かないし余計な事故を起こす心配も無い。

こんな事態でいざと言う時ユキを守る為にも必要だ。

俺はSIGと小雀ナイフを身につけている。

出掛ける時にランドクルーザーにルージュの槍とUMPサブマシンガン、オリジン12ショットガンを乗せるつもりだ。


「そうだな、ここは俺と四郎がいれば万全だ。

 圭子もいるしな…ところで彩斗…お前、ユキちゃんの事どう思っているんだ?」


明石が小声で訊いてきた。


「え…そりゃあもちろん…真剣に考えているよ。」


明石がニヤリとした。


「そうか…もう1軒家があればなとは俺達も思っているんだが…そうなればここの防備もますます固くなるし、万が一追われた人達が逃げて来ても保護収容するスペースも増えるしな。

 岩井テレサの施設を見て思ったのだが、俺達も俺達以外の周りの人達を守れるように備えるべきだと思うんだ。」

「…景行、俺もそう思っていたんだけど…でも家をもう1軒とかそれって…。」

「彩斗、お前も1軒、家を持っても良いんじゃないか?

 俺も圭子や司や忍達の為に1軒家を建てたが、なかなか良い物だぞ。

 この前掘った地下道の近くにもう1軒、家があれば死霊屋敷の防備もますます充実すると思うんだがな。」


そう言って明石がウィンクした。

そうか…俺の家か…俺とユキの家…。


俺はランドクルーザーでユキの家に向かいながら、結婚式の日に必死の形相で花嫁のブーケを勝ち取ったユキが走ってくる光景を思い出した。


そうだな…結婚か…今こんな時だからこそ、もっと真剣に考えるべきかもしれない…。


ユキの家が近づいて来て、静かな住宅街は暴動や略奪の痕跡が見られなくて安心した。

ユキの家のドアを開けるとユキが飛びついて来て俺を抱きしめた。

俺も思い切りユキを抱きしめた。


愛し合った後でユキと昼食を食べた。

テレビで物騒なニュースが流れ、ユキは顔をしかめてリモコンでチャンネルを変えた。

いつもはばかばかしいと思っていたお昼のバラエティ番組も、最近のニュース番組の特番をしていた。


「ああ、もう、こんな話ばかりだよ~嫌だな~。」


ユキがテレビを消そうとするのを俺は止めた。


「ユキ、御免。

 ちょっとこのニュースだけ。」


テレビでは事態収拾とこの騒ぎの張本人を逮捕するために、『ショッカー対策班』と言う特別部隊の創設を警察庁長官が発表していた。


「ショッカーね…もちろん、こんなのと本当の危ない奴らの事は違うんでしょ彩斗?」

「ああ、だけど名前を付けて敵をはっきりするのは良いと思うよ。

 ショッカーと名前が付いた組織は敵に違いないよ、誰かがこの事態を収めようと考えたんだろうな。

 まぁ、国民を納得させて落ち着かせるにはこういう措置は必要だと思うね。

 敵の名前が判りました、対抗してこういう部隊を作りました、安心してくださいって感じだろうね。」

「ねえ、彩斗達は大丈夫なんでしょ?

 あの…こういう部隊が彩斗や岩井テレサ達を攻撃してきたりとか…。」

「ユキ、俺達と政府は同じ立場にいるから大丈夫さ。

 この部隊も味方だよ、友軍さ。」

「だったら良いけどね…なんだかな~ママがね、こんな騒ぎが続くようなら『みーちゃん』閉めるかもって…ママが、みーおばさんが40年近く続けてきた店なのにね。

 コロナの騒ぎも何とか乗り切ったと言うのにさ~。」

「え?そうなの?

 それは寂しくなるよね。

 ママも色々あって草臥れたのかな?」


ユキがため息をついて箸を置いた。


「そうかも、みーおばさんが私に次のママになって欲しいと考えてるって先月に私のかあさんに会った時に言ってたしね~。

 私は『みーちゃん』大好きだからみーおばさんがいよいよになったら後を継ぎたいと思っているけど、まだ全然早いよ~、なんか寂しいな~。」


今日は様子を見ながら『みーちゃん』を開くと言うので俺はユキと『みーちゃん』に飲みに行く事に決めた。


昼食を済ませて近所をユキと散歩したが、やはり人通りは少なかったし、閉めている店も多かった。


俺は一枚ガラスが割られていてテープで応急処置をした大きな書店に行って家の建築と内装に関する本を何冊か買った。

その後俺はランドクルーザーでユキを連れて俺のマンションに行った。

郵便物を仕分けしてからコーヒーを淹れてダイニングのテーブルに本を広げた。

夕方になったらユキと一緒に『みーちゃん』に行く予定だ。


「彩斗、そんな本を買ってどうしたの?」

「えへへ…ユキ、じつはさ、死霊屋敷の敷地に俺の家を建てようと思っているんだ。

 その…俺1人じゃなくて…その…ユキも一緒に住める…あのさ…将来、子供が出来ても大丈夫な…家をね…。」


俺は本に顔を向けて目だけを上げてユキの顔を見つめた。

ユキは口に両手を当ててじっと俺を見つめている。


ユキが手を伸ばして俺の身体を抱きしめた。


「…彩斗、本当に…本当に?」


ユキが少しかすれた声で言った。


「ああ、俺は真剣に考えているよ。

 まだその…指輪も何も買っていないけどさ…ユキ…俺と…。」


俺がそこまで言うとユキは俺の口に人差し指を当てて塞いだ。


「待って彩斗!

 今はまだそれを言わないで!

 もっとちゃんと…お願い…もっと落ち着いたら…ちゃんとしてからね…。」


そしてユキは俺の首に手を回して俺の耳に口を寄せた。

ユキが俺の耳に囁いた。


「でも、彩斗、私はオッケーだよ。

 私は…オッケーだよ彩斗、準備が整ってからもう一度きちんと言って。

 私も彩斗の事…大好きだよ…愛してる。」


俺はユキを抱きしめた。

暫く抱き合ってからユキが体を放し、家の間取り図やインテリアの写真が載っているページを覗き込んだ。


そして俺とユキは笑顔で色々と新居のアイディアを話し合った。

遠くから暴徒らしき者達の声が微かに聞こえ、パトカーのサイレンが聞こえて来た。

あの騒ぎが俺達に近づかない様に。

あの騒ぎと怒りと憎しみが俺とユキと俺の大事な人達に近づかない様に。

俺はそう祈りながら、ユキも俺も外の騒ぎの音を聞こえないふりをして本を覗き込んで、家の間取りや家具を色々と吟味した。







続く



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