エピローグ シュウとお出かけ?
待ち合わせ場所が見えてくると、待ち人はそこにいた。
しばらく遠くからこっそり眺めてみる。
ふと顔を上げた待ち人が、こちらに気がつく。
しまった、と、慌てて走り寄る。
「お待たせしました」
「いえ、先ほど着いたばかりですし、待っている間というのも楽しいものですよ」
「え?」
「人物観察、と言うと冬里のようですね。ですが本当に色んな方がいらっしゃいます」
「そう、ですね」
「それと……」
と、その人はこちらを優しげに見つめて微笑む。
「?」
「今日は映画もそうですが、他ならぬあなたとご一緒できるのが、とても楽しみでしたので」
「!」
いや、心臓に悪い!
この人はあんなこと言ってるけど、本当に純粋に映画が楽しみなだけなのよ!
この人の優しさは、人類共通・ひいきなし。
それが乳幼児であっても、生意気なドチビであっても、わがままな中坊であっても、意識高いと勘違いしてるレディであっても、いや、レディに限らず、むさ苦しいおっさんであっても!(数々の失礼な発言、お許しください)
けれど、その言い方が、微笑みが、もしかして私だけ? と思わせる。
さすが、最強の天然人タラシ。
「では、行きましょうか」
優しく手を取って自分の腕にかけてくれる。
えーと、今は中世? ここは王宮? 私はプリンセス?
まるで舞踏会に行くかのような優雅なエスコート。
このあと、どんな夢心地が待っているのか。
けれど、主役はあなたなのですよ。
あとはあなたが思うまま、素敵な1日をお過ごし下さい……。
了
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
エピローグは、まあお遊びという事で。
シュウのこと、煮て食おうが焼いて食おうがどうぞご自由にって事です。え? 手抜きですって? たまにはこういうのもよろしいじゃありませんか(笑)
それと、奈帆さんの願い事だけ叶ってませんが、またいつかと本人も言っていたので、また、いつかお話しできれば。
『はるぶすと』は明日も通常通り営業致します。
皆様のお越しをお待ちしております。