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完結●悪役令嬢ただし断罪後のハピエン確約で異世界召喚!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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2:セルジュの苦悩

 悪役令嬢ということばかりに頭がいって、断罪後まで頭が回っていなかった。だがセルジュはちゃんと断罪後のことを考えてくれていた。


 通常なら悲惨な末路のところが、ちゃんと受け皿が用意されているとは。


 絶対にセルジュが気を使って用意したのだろう。

 やっぱりセルジュは悪い人ではない。優しい人と思える。


「つまり悪役令嬢を演じても不幸にはならないのですね」


 セルジュはコクリと頷く。


「アンブロジア魔法王国大魔法使いシルウス=カルティエ・カミュ、筆頭魔法騎士のランディ・サン=シュトフ、筆頭公爵家の嫡男エリック・ド・バルドー。この三人は、魔力も家柄も容姿も性格も、申し分のない者ばかりです。国中の令嬢が狙っています。でも、彼らは私の婚約者が定まらなかったことに配慮し、未だ婚約者がいません。この三人のいずれかと婚約できるよう、手配するつもりです。断罪が終わった後に」


 大魔法使い、筆頭魔法騎士、筆頭公爵家の嫡男。

 乙女ゲーではお馴染みの肩書きだ。

 確かにこの三人と結婚できれば、生きていく上での苦労はないだろう。


 魔力や家柄は、肩書きだけでも十分分かる。

 でも容姿や性格は、実際に会ってみないとなんとも言えない。


 それに私はセルジュの婚約者になれると、テンションMAXになったわけで、それをいきなり別の男性と婚約できると言われても……。


「ごめんね、シルヴィ。急な話で驚いたと思います。この三人は私より人格者で、頼りがいもあり、きっとシルヴィのことを幸せにしてくれます。それは私が保証するので。だから安心して悪役令嬢になってください」


 そんな風に畳みかけられても……。

「わー、そうなのですね! だったら悪役令嬢を頑張って演じます!」

 なんて簡単に気持ちを切り替えるのは、無理だ。


「それにシルヴィ、君と私はさっき会ったばかりです。さすがに私のことを、本気で好きになってはいないですよね?」


 それは……。

 思わず顔をあげ、セルジュの瞳を見ると……。

 澄み渡った空のような碧い瞳が、悲しそうに見えた。


 まさか。

 悪役令嬢を演じてくれとセルジュは私に言っているのだ。悲しそうな瞳をしているわけがない。でも気になることはある。


「確かにさっき会ったばかりですものね。でもご自身はどうなのですか? その聖女のこと、好きなのですか?」


 その瞬間、セルジュは痛いところをつかれたという顔になる。

 不意打ちだったのだろう。誤魔化しようがなく、反応していた。


 なぜこの質問をしたのか。


 それは「聖女が聖女であることを放棄すれば、後は私が努力し結婚までこぎつけます」というセルジュの言葉を聞いてしまったからだ。


 セルジュは王太子。

 イケメン・金持ち・性格良しの三拍子が揃った、間違いなくハイスペック。

 それが努力で結婚までこぎつけるということは……。

 聖女は聖女であることを放棄した時点で、セルジュにゾッコンだろう。

 でもセルジュはそうでもないのでは?


 もし断罪した悪役令嬢が、大魔法使い、筆頭魔法騎士、筆頭公爵家の嫡男のいずれかと結婚しても、いくらでも言い繕うことはできるだろう。例えば悪役令嬢は魔物に憑依され、聖女にヒドイ仕打ちをしていたが、本当は普通の令嬢だと分かった。魔物は祓ったから、結婚を認めた、とか。


 だから聖女のゾッコンは、断罪前後で変わることはないだろう。


 つまり、断罪後の悪役令嬢の高待遇(身分の高い者との結婚)を知り、聖女がセルジュに愛想を尽かし、それを引き留めるために努力して結婚にこぎつける……というわけではないと思う。


 そうなるとセルジュ自身は聖女に好意はなく、でもそうしないと自分が死ぬ。

 だから好きでもない聖女と努力して結婚する……?

 いや、もしかして……。


「セルジュ、あなたは既に聖女と対面している。そしてその聖女のことをあなたは特に好きではないのでは? でも彼女と結婚しないと、この国が衰退し、滅びてしまうかもしれない。自分が死ぬことは構わない、でも国民を不幸にはできない、その義務感で、聖女との結婚に突き進もうとしているのでは?」


 私の指摘は図星だったようだ。

 セルジュは降参を示すように両手を挙げている。


「シルヴィ、君はやはり私の……。その通りです。私は既に聖女と対面しましたが、何の感情もわきませんでした。でも例えそうだしても、元々私は心から愛する人との結婚なんて難しい立場です。王族の結婚。それは政治ゲームの一環。国民のため、国のために、愛のない結婚なんて当たり前。ですから……、私は聖女と結婚するというその運命を受け入れます」


 王族って身分としてはその国で一番のはずなのに。

 結婚に関しては自由がないのね。

 思わずため息が出て、さらに浮かぶ疑問をセルジュに投げかける。


「でもなんでわざわざ召喚なのですか? 王族に忠誠を誓う女性の腹心はいないのですか?」


 これまた聞かれると思っていない質問をしたようで、セルジュが困った顔になる。


「それは……。確かにそういう部下は……いないわけではないです。でもこれは機密事項であり……。すまないです、シルヴィ。君に話すことが出来ない事情もあります」


「なるほど。では、私が召喚された悪役令嬢であることを、知っているのは誰なのですか?」


 なぜ召喚なのかとしつこく追及しなかったことに安心したようだ。

 今の質問にセルジュは即答する。


「国王陛下夫妻、大魔法使い、そして私。それだけです。シルウス……大魔法使いには、君の存在をいろいろな人に信じてもらうため、魔法を行使してもらう必要があります。よって事情を話す必要がありました」


「ということは、筆頭魔法騎士と筆頭公爵家の嫡男は、私のことを性格の悪い意地悪な悪役令嬢として、断罪が終わるまで見続けるわけですよね。どう考えても、私のこと嫌いになりますよね。後から演技だと言われても、急に気持ちが変わるなんて……あり得ますかね?」


「それは……」


 セルジュの美しい顔が苦しそうにゆがむ。

 ああ、美貌の優しい王太子に、こんな苦しそうな顔をさせるなんて。

 

 私、本当に悪役令嬢がピッタリなのかな。


「ごめんなさい、セルジュ。悪気はありません。ただそうなのだろうなって思って。あと、これは私が覚悟を決めるために教えてください」


「なんでしょう、シルヴィ?」


「召喚された私は、もう元の世界に戻れない。悪役令嬢をやりたくないと言ったら、私は王宮から追い出されるだけ。ですよね?」


 またもセルジュが苦しそうな顔になってしまう。


「大丈夫です。答えなくても。分かっています。私、前の世界で死んでいるので」


 今度は絶句し、セルジュが悲しい顔になっている。


「あ、あの心配しないでください。私、前世では奴隷みたいな状態で。生きる屍だったので。解放されてスッキリしていますから。それに断罪の後の幸せが保証されている悪役令嬢なんて、レアだと思います。だから頑張ります。聖女とセルジュがハッピーエンドになれるよう、全力投球しますから、安心してください」


 これ以上、セルジュの苦しむ顔も、悲しい顔も見たくはなかった。彼は自分の気持ちを犠牲にして、国民と国のために生きようとしている。


 それに比べ、私は悪役令嬢なのに、断罪後の幸せが確約されているのだ。


 だったら。

 悪役令嬢、やってやろうじゃないですか。

 乙女ゲー、やりこんでいた私なら出来るはず。

 女って多分、強い生き物だと思う。

 こうも即時に腹を括ることができるのだから。


「それではこの後の予定を教えてください」


「……そうだね」


「セルジュ、大丈夫です。ちゃんとやってのけますから」


 セルジュが眩しそうに私を見る。

 そしてなぜだか寂しさと嬉しさが混じった笑みを浮かべた。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回は、明日 8時台 に以下を公開します。

「夢のよう!でもいきなりですか(汗)」


慣れない異世界であるイベントに挑むシルヴィは……。


引き続きよろしくお願い致します!


  【完結済み・一気読みおススメ】

『モブなのにフラグ回避・やり直し・イベントが

あるなんて、聞いていないのですが……(焦)』


https://ncode.syosetu.com/n2246id/


目指せ、リア充!

大好きだった乙女ゲームを封印し、

恋人を作るため、大学生デビューを飾った私ですが。

我慢していた乙女ゲーに再び手を出したところ

まさかの事故死。

モブとして、プレイしていた乙女ゲーの世界に

転生することになりました。


すぐそばにヒロイン・悪役令嬢・攻略対象の

イケメンが揃っています。

でも私は背景の一部として

静かに引きこもって生きていこうとしたのですが……。

まさかモブなのにフラグ回避が必要で、

やり直しにイベントまであるなんて、聞いていません……! 


なんとか平和に生きたいモブの私が

少しだけ勇気を出し、奮闘し

そして信じられない幸せを手に入れる――。

ほんわか、ものすごく稀にスリリングな物語が

始まります。


まずはプロローグの試し読み、お願いします♪

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