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完結●悪役令嬢ただし断罪後のハピエン確約で異世界召喚!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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27/30

26:いろいろな妄想

 これで一件落着と思えたが。

 自分がこの後どうなるのかと疑問が生じた。


「ねえ、シルウス。もう悪役令嬢は不要ですよね? 私は悪役令嬢になるために召喚された。ということはお役目御免……。当然、セルジュの婚約者でいる必要もない。ということは……私はオゾン家に戻ることに……?」


 悪役令嬢としての役目を果たしていたら、シルウス、ランディ、エリックのいずれかと結ばれる……ということもあったかもしれない。でも悪役令嬢になることなく、事態は収まった。だったら私が王宮を去り、それでようやくすべて解決のはず。


 一瞬路頭に迷うかと思ったが、オゾン家という帰る場所があることを思い出せて良かった。


「さあ、それはどうでしょう」

「え……」

「それを決めるのはセルジュさまです」

「……確かに」

「でもシルヴィさま、面白いことを教えてあげます」


 シルウスはまるで子供のような顔つきになる。

 それは悪戯を思いつき、楽しくて仕方ないという表情だ。


「え、何ですか!?」


 すると対面に座るシルウスが、突然前のめりになり、私の腕を掴んで自身の方へ引き寄せる。風にそよぐフリージアのような甘い香りを感じられるぐらい、シルウスが近い。このままキスをしようと思えばできる距離感なのに。私の心臓は無反応だ。


「シルヴィさま、キスの経験は?」

「!?」

「前世でのことは答えなくていいですよ。ここに召喚されてから、誰かとキスをしましたか?」

「し、していません!」

「そうでしょうね。ではどうですか? この国で初めてのキスを僕とする。そう想像してドキドキしますか?」


 シルウスとキスをする!?

 それを想像する!?

 というかキスは……もし今、キスをするなら、それはシルヴィにとって初めてのキスだ。相手が誰であれ、当然ドキドキするハズ。しかもシルウスのような甘いマスクの美青年とのキスだったら、心臓は破裂寸前に……なっていない!?


 心臓はピクリとも反応していない。

 なんで!? おかしい。私……不感症?

 呆然とする私を見てクスリと笑うと、シルウスは私の腕を離し、体を元の位置に戻した。


「シルヴィさまは、僕にときめきませんよね?」

「……、どうして分かるのですか?」

「君には魔法がかけられています」

「魔法?」

「そう。特別な魔法が。その魔法をかけることができる人間は、限られています。誰でもかけられるわけではない」

「そんな……」


 なんてヒドイ魔法だ。

 キスをされそうになってドキドキできないなんて……。


「誰がなんのためにその魔法をかけたのか。君だったらすぐその答えに辿り着くハズですよ」

「え、シルウスは犯人が分かっているのですか!?」

「犯人……。そう言わないであげてください、シルヴィさま。苦肉の策だったのだと思います」


 なぜシルウスが犯人を擁護するか理解できない。

 こうなったら犯人を見つけ出し、解除してもらわなければ。もし解除してもらえなければ、どうしたってこの後の人生は味気ないものになりそうだ。


「シルヴィさまは鋭いところもありますが、自分のこととなると驚くほど鈍感ですね。仕方ない。これは最大のヒントです」


「なんですか!?」


「人間の召喚というのは、とても高度な魔法です。消費する魔力も多く、強い魔力が必要。よって人生で一度しかできません。ただ、召喚される人間の年齢や容姿については、ある程度召喚者の希望が通ると言われています。でも性格についてはコントロールできません。ただ容姿はまさに理想の姿。これで性格が好みと一致していたら……」


「一致していたら?」


「一致していたらってシルヴィさま。これはものすごいヒントだと思うのですが?」


 何の何に対するヒントなのかさえ分からない。それに外は既に暗いし、馬車の中は間接照明で薄暗いし、なんだか眠くなってきた。


 馬車はとにかく乗り心地が悪いと前世では聞いていたけど……。


 この国の馬車はめちゃくちゃ乗り心地がいい。あと、誘拐され監禁され、自分では気づかなかったが、疲れていたのだろう。


 だから。


 気付けば眠りに落ちていた。



「シルヴィさま、到着しましたよ」


 シルウスの甘い声で目覚めた。


 こんな甘い声で囁かれると思わず、ありもしない未来を妄想してしまう。


 もし私が悪役令嬢を演じ切り、断罪後にシルウスと結ばれたとして。こんな甘い声で目覚めを促されても、ベッドからすぐに起きるのは無理な気がする。


 妄想は乙女ゲーをしている時には毎度のことだった。久々にこんな妄想をしてしまうのは……この先、私は王宮を出て、オゾン家に戻る確率が高いからだ。


 乙女ゲーにいそうなイケメンに囲まれた日々は、終わりを告げる。


 そんなことを思いながら、ゆっくり目を開けて驚く。


 シルウスは対面の席に座っていたはずなのに。いつの間にか私の隣に移動していた。つまり、私はシルウスの肩にもたれ居眠りをしていた……。


「シ、シルウス、ごめんなさい。私、図々しくも」


 シルウスの指が私の唇を押さえる。


「君が断罪されていたら。婚約破棄された君の新しい恋人候補は僕でした。でも断罪の場は失われてしまった。……それは嬉しいような、悲しいような。複雑ですね」


「シ、シルウス、何を言っているのですか!?」


「さあ、シルヴィさま、降りてください。さすがに僕が抱きかかえて部屋まで運んだと知ったら、焼きもちをやかれそうですからね」


 そう言うなりシルウスが追い立てるので、私は慌てて馬車を降りる。するとそこにはメラニーがいた。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回は、本日 13時台 に以下を公開します。

「本当は……」


メラニーの思いがけない指摘にビックリ。


引き続きよろしくお願い致します!

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