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完結●悪役令嬢ただし断罪後のハピエン確約で異世界召喚!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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21/30

20:陰ながら応援していた?

 教皇と聖女リサと王太子の婚約者である私がつながる理由……。

 なにか点と点を結び付ける事象があったはず。


 そこで一つの可能性に気づく。


 セルジュが私に伝えた教皇の予言。


 悪役令嬢から辛辣ないじめや嫌がらせを受ける聖女は、何度となく助け、庇うセルジュに、純粋な恋心を芽生えさせる。そしてその想いが募り、断罪の場で悪役令嬢が罰せられたその瞬間、聖女はセルジュと結ばれることを決意し、聖女であることを放棄する。


 この予言に従い、私は悪役令嬢になろうと奮闘していた。


 でも、それはうまくいかなかった。

 失敗に続く失敗を繰り返していた。


 まさか……。

 教皇は味方……?


 セルジュが聖女と結ばれるために、陰ながら応援していた?


 本来、リサを、聖女をいじめるのは悪役令嬢である私の役目だ。だが私はなかなか悪役令嬢になれず、その一方でセルジュとは良好な関係を築いていた。そのことに教皇も気づいている。もしかすると、リサがエリックに心惹かれていることにも、気づいたのかもしれない。このままではリサはエリックと結ばれ、セルジュの命も国民とこの国の未来も大変なことになる。


 だから。

 教皇はリサを誘拐・監禁することにした。

 奇しくも私が『リサとセルジュの吊り橋効果作戦』を思いついたように、教皇も同じことを思いついたのでは?


 私が考えた『リサとセルジュの吊り橋効果作戦』は甘いものだ。監禁すると言っても、宿の部屋に閉じ込め、眠らせる直前に文句をねちねち言うぐらいで、服を脱がせるとか、汚すとかそんなことをするつもりはなかった。


 でも本気で監禁するなら今のような状況、これぐらいはやらないとダメだったのではないか? あんな風に祭服を脱がされ、十字架に磔にされ、その状態でセルジュに助けられたら……。


 リサはとんでもない恐怖を味わっている。

 それをセルジュに救われたとなれば、もうセルジュにゾッコンだろう。


 私の眠り薬による監禁でセルジュに助けられても、うっかり昼寝を自分がしたぐらいに思われていたかもしれない。寝落ち直前に聞いた悪口は、夢ぐらいで片付けられていたかもしれない。


 教皇のこのやり方こそ、真のヒール、悪役がすること。

 つまり身をもって教皇は示してくれたのではないか?


 さらに私も一緒にさらったということは、この誘拐・監禁の手柄を、譲るつもりなのではないか? つまり、これは教皇が考え、実行した計画なのに、私が企て、行ったことにしてくれるのではないか? この件が明るみになれば、間違いなく、私は悪役令嬢だ。リサがどれだけこの件でセルジュを好きになるか分からないが、もし完全に好きになってくれれば、このまま断罪コースにだって進める。


 私は教皇を胸ばかり見て、金にがめつい世俗まみれな奴と嫌っていたが……。本当はセルジュや国民を、国を思う、イイ人だったのでは……!?


 こうなったら遅かれ早かれメラニーにはすべて話すことになるだろう。ならばと私は、今ひらめいたことをすべてメラニーに語って聞かせた。


 すると……。


「……シルヴィさまがなかなか悪役令嬢になれない理由が、よくわかりました。本当にシルヴィさま、あなたはイイ人過ぎます。悪役令嬢には向いていないですよ」


 あっさりそう言われたのだが。


 なんというか声音が変わり、顔の表情もさっきまでとは違い、なんだか別人に感じる。思わずガン見するも、メラニーは懐中時計を確認している。


「いい頃合いです、シルヴィさま。セルジュさまの執務が終わる時間です。きっと今頃、魔力の追跡を行い、いるはずの宿ではなく、サン・ウエスト大聖堂で魔力を感知し、目を丸くしているはずでしょう」


「メ、メラニー、何を言っているの……!?」


 メラニーは私の額を指でつんと押した。


「ここに、セルジュさまの魔力追跡魔法がかけられています。しかも反射魔法まで。魔力追跡魔法。これは自身の魔力を一時的にここに移し、その魔力を追うことで、相手がどこにいるか感知できる魔法です。魔力追跡魔法は簡単な魔法ですが、セルジュさまは自身の魔力で、さらにより高度な魔法に変えています。ここに魔力追跡魔法が使われていると分かるのは、この国では三人ぐらいしかいないのでは?」


 ま、まさか……。そんな魔法を? いつ?

 いや……。額にキスをされた。旅の安全を願うジンクスだと言って。


「ここまで魔力を練成しているとは。さすがセルジュさまです。そして反射魔法というのは、この魔力追跡魔法を解除しようとすると、それを解除しようとした者に魔法が跳ね返るという魔法。つまりシルヴィさまにかけられた魔力追跡魔法は、セルジュさま本人と僕ぐらいしか解除できないというわけです」


 いろいろな情報が飛び込んできたうえに、今、メラニーは自分のことを「僕」と言わなかったか。ど、どうして、何で……!?


「シルヴィさま、まだ分からないですか? 僕が誰であるかを」


 まさか……。


「変身魔法解除」


 濃い紫のローブ、その下には白シャツに濃い紫のジレ(ベスト)、ライトパープルのスーツの上下……大魔法使いシルウスだ。


「な、どうして……」


 絶句する私にシルウスは微笑む。


「シルヴィさま、君は王太子の婚約者。その婚約者を護衛なしで街へ出すなんて、するわけないでしょう?」


「で、でも、セルジュは私に過保護にするつもりはないって……」


「彼なりの気遣いです」


 すっかり化かされてしまった。

 が。

 今は状況が状況だ。

 この場に国で一番強い魔法使いがいてくれることは……。

 それに越したことはない。とても心強い。


 あ、でも、教皇は私に花を持たせようとしているのでは……。

お読みいただき、ありがとうございます!

次回は、本日 11時台 に以下を公開します。

「人心掌握が上手い」


心強い仲間が登場、さあ、どうなる!?


引き続きよろしくお願い致します!

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