:地獄の使者へ、いざ!
突如起こった光に一瞬視界が奪われた。
その光から自分を守るように一人の男が光を阻む。
「角理!大丈夫か?」
「ありがとう、楚良さん・・・・・・・でもとても強い光だったね」
「ああ、どこの誰だか分からないがな・・・・・・後楚良さんはやめてくれ、普通に楚良でいい」
「そ!・・・・っそうね、そ、楚良・・・・・・くん」
角理はなるべく平静に言っているようなのだが、噛んでいてはバレバレだ。
【呼べるわけないでしょーーーーーーー!!!!!まだ合ってちょっとしかたってないのよ!】
こういった具合にパニクっているわけで、そうそう普通に話す事のできる心情ではなかった。
「む・・・・・くん、もいらないよ?ちゃんと呼んで?」
何も知らない楚良は覗き込むようにして顔を近づける、息がかかるくらいの距離にまで。
途端、角理は顔を真っ赤にして身を飛ぶように引いた。
「そ・・・・・・・楚良・・・・・・・」
「それでいい、これからどこに向かうんだ?結局一閃さんはいなかったんだろう?」
紗代さん達に見送られて森を出てから、一閃がまっているであろう場所に戻ったが、一閃はいなかった。
これは紗代が予測していたことでたいしておどろかなかったが、実は・・・・・、
「・・・・・あの野郎!!私の下着諸々が入った鞄を!あんな場所にポイッとしやがって!!」
「ちょっと地が出てるよ~・・・・・・・・・・・それに盗られなかったからいいじゃねぇか」
「・・・・・ごめん、取り乱してた」
「気にするな、それよりまずはどこに向かうかを決めよう、宛もなく彷徨うわけにはいかないからな、そんなことしたら俺が母上に・・・!」
「そうね・・・・・・・・・あ、あそこにいかないと、一閃のいた組織、『地獄の使者』に」
角理は一閃についておおまかなことを紗代から聞いている、その中にその組織が出て、行こうと思っていた。
その前に驚いた事が紗代のもつ情報量の多さだ、なんでも今はボス一人が抜けた『迷い子』のボスを務めているらしい。
そしてその『迷い子』の情報のすべてを頭の中に持つ前ボス、柿崎 彰がその『地獄の使者』にいるらしいのだ。
正直、紗代は自分の記憶以上、いや現在進行形で増え続けるここの情報よりも彰の情報量のほうが多いと言っていることが恐怖だ。
「まぁ、正確はすこし捻くれてるみたいだけど、はなしてくれないわけじゃなさそうだし、行くだけ行ってみよう」
「行くとこは決まったし、早く行くこうか!」
「うん・・・・・・・・とりあえず今日は泊まる所確保しないと・・・・・」
紗代は、何故か、二人を夜に出発させたのだった。
角理にはその意図がなんとなくわかり、紗代を笑っている顔が目に浮かぶのだった。
「そうだな・・・・・なら近くの宿屋に行こうか、そういえば確か温泉が気持ちいいところだったはずだ」
「う、うん・・・・・・・」
なんか平気そうな楚良に対してイラつきを感じる角理は、すかさず後ろから軽く頭を殴る。
楚良は頭をさすりながら角理を睨む。
「何するんだよ!!」
その反応に対して角理は何か物足りなさを感じていた。
「え?・・・・・・あ、うん、ゴメン・・・」
それがなにか分からないでいる角理だった。