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   :本来の姿

「長い十秒だったな・・・・・『間の世界』とはいえ、だな」

一閃は元いた場所に戻っていた、その手には嬉しそうな顔をした紅葉が抱えられている。

結局はすべて一閃の謀の内に入っていたのだ。

紅葉の『才気』を『地獄の使者』に役に立てる為に引き入れる。

そして、紅葉の内に隠れている『天使』を殺すこと。

後は、適度に麗香あたりの心を揺さぶるような事を言ってくれていれば上等だった。

「・・・・・・・・ん・・・」

紅葉が一閃の腕の中で嬉しそうに寝返りを打っている。

そう、本来殺しておくべきの紅葉を一閃は生かした、殺す事も出来たのだが生かす事にしたのだ。

戦っている最中観察した、紅葉は生きようとしていた、自分が死ぬとわかって受け入れたんじゃない、受け入れたように思いこまされていた。

そして、最後までそれが可笑しいと思っていたのだ、だから生かした。

「まったく、あいつほどの『天使』、本来片鱗を触れるだけで狂気乱舞するところを・・・・・こいつってやつは」

一閃は紅葉を優しく撫でた、撫でたその手を紅葉の手が掴む。

「優しいね、一閃」

「起きてたのかよ!!」

「ねぇ、一閃・・・・・私、あなたが好きよ・・・・・大好き」

一閃は黙って紅葉を見ている、紅葉も一閃の目を覗き込むように見ている。

「好き」

一閃にはその言葉の真偽は分かっている、だからこそ黙っている。

「大好き」

これは本当の言葉だ、そして一閃にも心のどこかで紅葉のことを好いている感情があることがわかる。

だからこそ一閃は黙ったまま、紅葉の顔を見ている。

「超好き」

一閃はそろそろ何か言おうかと本気で悩んだ、確かに言葉の真意はあるのだが、そろそろ語彙が追い付かないだろうから。

だが、待つのもオモシロいと思って黙っている事にした。

「・・・・・・・チョースキ」

そろそろ無くなってきた頃か、一閃は次が気になるモノの、拗ねられると厄介なので提案する。

「俺も好きだ、でも俺の心中心にはお前はいない、それはわかるか?」

「ええ・・・・・わかってるは、あの人・・・・・麗香でしょ?」

「さぁ、わからないぞ?」

一閃は意味ありげに微笑むと、間をおいて聞く。

「『地獄の使者』に行ってやってくれないか?あいつらだけに任せるのは少しだけ不安でな、人員は多いに越した事はないからな、どうだ?」

「・・・・・・・・・愚問ね一閃」

「それは何故だ?」

紅葉は優しく笑っている。

「私はもう『地獄の使者』の一員のはずでしょう?あなたが誘って私が受け入れた事を忘れたのかしら?」

「・・・・あぁそうだったな、でゎ敵からの忠告をボスに伝えてくれるか?」

「任せなさい!敵さんがそれで満足するならいいわよ」

二人とも大声で笑う。

「はは!じゃあ頼もうか!・・・・・俺はそこにいる、それは絶対に割るな・・・・そう言ってくれ」

「『本物』を壊さないようにね、了解よ、じゃあ!我らがボスがあなたに会うまで死なないでね!」

紅葉はそう言って『地獄の使者』に向けて疾走していった、その姿は一瞬で見えなくなる。

一閃はその姿を愉快そうに見ている。

「これでいい、『七皇』の予想外が現れる、これでもしもの時は万全だ、そしてこの戦いでおそらくは・・・・」

一閃は少し悲しそうな顔をする。

「みんな俺が唯一人の為に戦ったり死んだり堕天したりしてると知ったらどれだけ笑うかな?」

一閃は自嘲気味に弱く笑い、その目を森に向ける。

「俺の言ってる意味がわかっているならそろそろあいつらと出会ってる頃かな?」


かつて『阿修羅』と呼ばれた代替物の主は最も聖なる所にいた。

それ故に、そのもっとも聖と感じた行為は、その他誰から見ても最悪のものだったのだ。

唯一人を助ける為に、『天界』で、自分の行為を認めなかった神に攻め込んだ。

唯一人を助ける為に、『現世』において、その『存在』の断片を集めて、器を作った。

唯一人を助ける為に、『地獄』の最深部で、『存在』の塊を奪い、悉くを破壊して持ち帰り、器に入れた。

そうあらゆる世界に置いて最もしてはならない行為、『蘇生』を行ったのだ。

その行動の原理は、唯一人、最も愛する人を救う、それだけの為に・・・・・。

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