:水鏡、その存在怒れる稲妻の如し
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
突進、反転、突進、反転、突進・・・・・突進、反転、そしてまた突進。
何回躱されようが、決して止まることなく攻め続ける水鏡。
反転をより早く、突進をより強く、人間としてのメカニズムを越える為に、雷との同化をつよくする。
よって、反転は早くなり続け、突進は強くなり続ける。
その攻撃する間隔はもちろん短くなってきている。
【どうやら成長しているようだな、それも尋常じゃないスピードで・・・早めにケリをつけないとこっちが危ないな】
大涯はそう決めて、奥歯を噛み締めて、拳を力強く握りしめる。
「お前の力、相当精神の消費が激しいだろう・・・次で最後にするのはどうだ?」
「ううううう~~・・・・ぐううううううぅぅぅうううううう~~・・・・」
牙を剥き、うなり声を上げる。
その気配の影に、豹が目をぎらつかせて牙を剥き、うなり声をあげていた。
「もう、心まで獣か、いいだろう・・・その獣の心のまま、貴様の一番を踏みにじってくれる!」
足に力をいれて踏ん張る。
水鏡にもそれが伝わったらしく、最後の一撃を放つ為、距離を大きく取る。
「いくぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
大涯は足が地面にめり込むほどに踏ん張り、握りしめた拳をゆっくりと後ろに引く。
水鏡は一直線に大涯のもとに突っ込む、レーザーと烈風をつれて。
二人の交錯は一瞬以下の刹那。
結果、大涯は吹き飛び、水鏡はその場でぴたりと止まって動かなくなった。
だが、水鏡側には彰が立っていた。
「よくやったよ、水鏡、もういい、一緒に帰るぞ、『地獄の使者』のもとに!」
瞬間、水鏡の体を取り巻いていた雷はなくなり、水鏡は倒れた・・・・その顔は苦しげだったが、満足したような感じだった。
崩れた岩の下に大涯はいた。
「っく・・・やりやがったな、あいつ・・・まさか俺をここまでぶっ飛ばすとは・・・」
まだ手が痺れている。
あの瞬間、大涯の拳は水鏡に当たり、相手の顔面を破壊したような手応えが確かにあった。
だが、その直後に襲ってきたのは水鏡の、加速をつけた体当たりだった。
「確かに手応えがあったはずだ・・・確かに粉砕したはずだ・・・だが・・・」
吹っ飛ぶ瞬間に見たものは、水鏡の、満足したような顔だった・・・・自分が粉砕したはずの。
大涯はゆっくりと立ち上がる、全身がビキビキと悲鳴を上げる。
「いってぇ、最後のはキツかった・・・・・次会うときは必ず殺してみせる」
大涯は水鏡のほうに向かって拳を突き出す。
「覚悟しとけよ!水鏡!!」
ゆっくり『紡ぎの糸』の本部に帰る大涯。