:近づく真実
こんな時間にあげちゃいます!
また来てくださった方ありがとうございます!
はじめての方はこれからもよろしく!
みんな、楽しんでくれれば幸いです^^
「戦ってるのね、一閃は・・・この間にどうしても、一閃の部屋に忍び込みたいんだけどな・・・」
紅葉は自室でそっと遠くを見る。
コンコン、とドアがノックされて一人の人間が入ってきた。
「確か、紅葉だったか?・・・来てくれ、もうみんな集まってる、後はお前だけだ」
「冥さんだったね、なんのようかな?」
「それを話す為に呼んでるんだけど」
「ははっ、それは悪い事を聞いたね、ところで冥さん、私一つ良い事を知ってるんだけど聞きたくないかしら?」
「・・・・・・・聞きたい気もするが、嫌な気がする・・・後で聞けるか?」
紅葉は笑って首を振る、もちろん横に。
冥はしばらく考えて、話せ、というような仕草をとる。
「でも一応言っておくけど、コレは戯言です、信じる信じないはあなたの裁量に委ねます、強制は出来ませんしね」
冥はいぶしかげな顔をするが、それを逆に喜んだように紅葉は声を少し上げる。
「単刀直入に言います、『存在』一閃はこの世のモノではありません」
「・・・・どういうこと?」
混乱する冥は頭痛を感じていた。
「そのまま、『一閃』はこの世のモノではない」
それにさらに拍車を掛けるように紅葉は告げる。
もちろん余計に頭を悩ます冥は、付き合っていられないとばかりに踵を返す。
だが、その前に部屋のドアは独りでに閉じた、まるで冥を逃がさないとばかりに。
「なんのつもりかしら?」
「聞くといったからには最後まで乗っていただこうかなっと、いいでしょう?」
冥は明らかに嫌な顔をしたが、そこらへんのゴミをのけて、ドカッと座る。
楽しそうにそれを見て、自分はゴミの上に座る。
そして意外な事に冥が先に口を開いた。
「それで?その理屈はどのようなものから来てるのかしら?」
「それはね、私も、彼と同じ『存在』だから、同じ『存在』は互いに惹かれあうんだよ」
「それにも根拠はないわね、遊びなら付き合いたくないわ」
「どうとらえるかは強制しないっていいましたよ、ですが嘘とは限らないよ」
眉間に皺を寄せてあからさまに困った顔をする。
そして、目の前でやはり楽しそうに笑顔が一つ、紅葉がいる。
「・・・それで、仮にその『存在』があったとしよう、それはいったいなんなんだ?」
「あら、疑い深いわね・・・そうね、一言で言うには少々デカすぎるから、こっちの言葉を借りてわかりやすくすると、それは『天使』」
「『天使』?」
あまりにも常識とかけ離れた言葉に、思考が追い付かない。
付き合っていられない、そう思って立ち上がる。
「あら、短気ね」
「頭が逝かれたやつの話なんて聞くんじゃなかった、こっちまで頭がおかしくなりそうだ!」
ドアを開き、最後に大声で怒鳴るその前に、紅葉は言う。
「信じる信じないはこの際どうでもいい、だから言おう、彼は、いつかここに戻ってくる、全てを終わらせるためにね」
「・・・一階の大広間だ!!さっさと来いよ!!」
バタンと力強く閉じられた。
「『天使』か・・・・・・彼は確かにそれなんだけど、何で彼はあんなに完璧に・・・ある意味とても歪にいるのだろう?」
地面は抉れ、起伏が激しい場所になっていた。
「まさか、素手がそこまで強いとは思いもしなかった・・・やるな、臼」
「馴れ馴れしく呼ぶな」
「馴れ馴れしく呼ばないで!てゆうか、それだと私は驚異じゃないように聞こえるんですが!?」
臼の拳を止めた状態で、再砂は喋っていた。
臼は拳を止められ、次の攻撃が繰り出せずにいた。
その様子を離れた所から木根がみている。
「まさか、俺の砂が突破されるとわな・・・・・いけ、俺を倒した褒美だ・・・」
再砂はその場に倒れる。
その脇で大きく肩を揺らした、臼と木根が立っていた。
二人ともかなりの手傷を負っていた。
「馬鹿野郎・・・・こんな状態で攻めれるわけがねぇだろ、お前の勝ちだよ!」
「悔しいけど、私達を相手に良くここまでしたもんだわ、それだけは褒めてあげましょう」
臼と木根は『地獄の使者』にいくのとは反対方向に歩を進め、去っていった。
そして再砂には、大きな影が重なった。
「瞬夜、もう大丈夫だ・・・!」
焦げた臭いが辺りに充満し、まるで地獄の如く炎が煌めいていた。
その場にいるのもはみな等しく死を予期し、その圧倒的な『存在』を前にひれ伏すだろう。
その炎の世界の中心には一人の炎を纏う男が立ち、その前で風はひれ伏していた。
「はぁはぁ・・・・一閃・・・・」
「どうした、お前の本気はそんなものなのか?お前の思いとはその程度のモノなのか?」
一閃はまったく疲れを見せず、普通にそこに立ち、そこに凛然とある。
対する翔汰は、服の所々が焼き破れ、疲労困憊、立ってる事さえままならない状態にあった。
【この力の差はなんなんだ!?何故ここまで力に差がつくんだ!?】
強くなったと思った、しかし、世界は広かった。
「俺がお前に対して最高の侮辱をくれてやろう、翔汰」
一閃は背を向ける、翔汰が、這い蹲って動けないにもかかわらず、背を向けた。
翔汰の中で熱が暴走する。
「悔しいか?敗者にはちょうど良い罰だよ」
「一閃・・・・・・いつか、また、挑んでやる・・・覚悟、しとくんだな・・・・!」
翔汰は最後にそう言って、気力だけで保っていた意識を手放した。
「まったく翔汰、お前ってヤツは・・・」
一閃は岩陰に隠れていた角理を呼ぶ。
「・・・・さっき鼻打ったんだけど!どうしてくれるの!乙女の顔を!!」
「いいだろ、乙女じゃないんだから、それよりこいつ運ぶの手伝え」
「え~~~~、一人で出来るでしょ~?」
「いいから、足を持ってくれ、なるべく慎重にな」
嫌々、ほんとうに嫌そうな顔をしながら、ぐちぐちといいつつ、角理は言われたとおり翔汰の足を慎重に持った。
一閃は両脇に両腕を入れて持ち上げ、二人して翔汰を木の根本まで持っていった。
翔汰の顔はどこか満足したようだった。
「どうして、慎重に運んだの?」
「そんなこともわからないから俺に勝てないんだよ、ボケ」
角理はカチンときて、白雷を一閃に連発する。
それを軽やかに全て避けて、角理を地面に叩きつける一閃。
「痛い・・・!!」
「痛くしたんだよ、アホ、いいか、ヤツはほとんどずっと本気を出し続けていたんだ、これがどれほどの労力かわからないのか!!」
「鼻折れてそう・・・」
「すぐ治る、『情』を解放した状態での本気は、並のモノがあれだけの時間使えば精神崩壊レベルの労力だ・・・」
一閃は誇らしげに翔汰をみた。
それは部下の成長を楽しみにして、その成長を確かめれた時のものだった。
「それよりはやくここから離れるぞ、やっかいなのが近づいてる、こいつに迷惑をかけるわけにはいかないからな」
一閃は立ち上がり、角理を見る。
「おぃおぃ、そんなに地面が好きなら地面を這ってればいいだろうに・・・まぁ趣味は人それぞれだからとやかく言わないが・・・」
「貴様のせいだ~~~!!!!!!」
角理がガバッと起きあがると同時に、頭をがしっと掴まれて引きずられる。
「遅いぞ~早くしないからこうなるんだ」
「お~~~ろ~~~~し~~~~て~~~~!!!!!」
角理は覚えているだけで六つたんこぶを作った後、気絶してしまった。
「あら?冥、どうしたの?てっきり彰に付いていったのかと思ったわよ?」
「彰が付いてくるなといったので・・・それで、これは話そうか迷ったのですが、一閃についての情報です」
それを聞いて麗香が冥を睨むように見る。
冥が少し後ずさっている間も、続きを言って、といったように見続ける。
「でわ申し上げますが、あくまである意見の一つとしてお聞きください、私はこの意味がよくわからず、受け入れる事に反対です」
「いいから・・・!早くいいなさい・・・!」
いくらか我慢したようだが、それでもいらつきは隠しきれてはいなかった。
「一閃様は、人間ではありません」
「人ではない・・・?センちゃんが?」
「はい、これを話した者は彼の事を『天使』と呼びました、こんなの常識から外れています」
冥は心底言うんじゃなかった、と後悔した顔をしている。
麗香は冷静に、その意味を考えている。
「わからない・・・な、そんな人外のもの・・・・・・・人外?そうか!彼女に聞いてみよう!」
「彼女?彼女とは誰ですか?」
「秘密よ、そういう約束なの、ごめんなさい・・・冥、私の留守の間ここを頼むわね」
冥は軽く頭を下げて、お辞儀する。
麗香はそれをみてから、その教室を出ていった。