:地獄の使者3
『悪魔の正義』偵察部隊仮キャンプの会議場に二人の女と一人の男が座っていた。
男の名は西城 三津、内部組織『悪の種』のボスに急遽派遣された仮初めの男だ。
レッドラインの1で、『才気』『氷手』は遠距離に氷柱を放つ。
「こんな小組織に我々三人が派遣されるとは・・・・・提督は何を考えているのやら」
三津はつまらなそうに椅子の上でふんぞり返った。
三角形の台座の違う一辺に座るナンバー2、幸崎 未亜はソレを見て、
「提督のことだ、どうせ気まぐれですよ。それよりそろそろ偵察の任を浸食に移行するのはいかがか?」
未亜はブルーラインのMAX、『才気』『蒼炎』は蒼い炎の物質だ。
彼女には良くない噂が何個か立っており、その内の一つはいまだに残っている、三狂、『悪魔の正義』の中でも気が狂っていると言われていた三人の内の一人だ。今でもたまに気が狂って敵味方関係なく襲いかかる事がある。
台座のもう一辺に座った女が、
「そういう言い方は良くないな未亜、提督は提督なりの考えがあるからこそ、この任に我々三人に来させたのだ・・・・・それにこの計画を提督が推したなんて今でも考えられない」
「そんな考えが出来るのは君くらいだよ、木須」
木須、角祭 木須、レッドラインの1でナンバー1、『才気』『光明』はあらゆるものを解き明かす。
「それより進んでるのか?そろそろ攻め込みたいんだが?」
三津は木須の前にある紙をのぞき込んだ、それはまだ白紙のままだった。
「まだ全然じゃないか・・・・・それほどの組織なのか?」
「・・・・・そうね、何通りも考えたけど・・・何故かしら、何か予測不能な何かが・・・・・」
木須はまた熟考を始めた、こうなるとしばらくは何話しても耳を貸さない。
それを見ていた未亜は、
「ふ〜ん、完璧に近い予測をたてる『光明』がここまで・・・・・フフフ、私達三人が行かされたのが分かる気がするわ」
そう言って席を立つ、その顔はどこか喜んだように、気が狂ったように笑っていた。
三津はそれを見て、
「独断行動をするということは負けは許されない、行くなら覚悟しとけよ」
「私を誰だと思ってるの?私が世界組織『蟻の巣』に貰った異名を忘れたのかしら?」
不敵に笑い未亜は会議場を出ていった。
三津は心配などしない、なぜなら知っているから、なぜなら経験したから、なぜなら・・・・・、
「『悪魔の正義』の三狂の一人、『蒼炎の破壊神』未亜・・・・・だよな」
三津は木須を見た、『悪の種』の三柱神、仮初めではあるが、の一人が出た、つまり未亜が敗北すればその処理は残りの三津と木須に回ってくる。
戦略専門の木須は論外だ、つまりその処理は全て三津に回ってくる、
「まぁ・・・・・未亜を倒せるようなヤツがこんな小組織にいるとは思わないけどね、でも用心に越した事はないか・・・・・」
三津は目を閉じた、考えるためではなく休みを取るために。
『覇光』は千人程度の小さな組織だ、ただそれなりに強い者を集めている、その隊は今目の前に迫る敵を見ていた。
その数は五千強、ゆうに五倍はある。
何処を見ても穴がなく、偵察部隊とは思えない気迫だった。しかしどことなく周りの空気にながされている奴らがいるように見える、
「人数が多いが故か・・・・・その分人数が少ないこっちは纏めやすいから良いんだが・・・・・」
水鏡は目を後ろに戻した、ソコには五百ばかりの味方の奴らがいた。
残りの五百は祭りの準備と、それを護っている。
後ろから聞き慣れた声が聞こえる、
「困ったなぁ〜〜これじゃあ一人頭十人も倒さないとだめだぜ!とてもめんどくさい!」
笑いを含む声に肩の力がほぐれる、戦場でこれだけ気が抜けた発言が出来るこいつには少々すごいと思っている。
「あまり困ったように聞こえないぞ彰、むしろ楽しんでるような感じだ」
柿崎 彰、『覇光』のナンバー1にしてブルーラインのMAX、『才気』『海原』は辺り一面に水を創製する。隊員から好かれていて、いざというときの率先力は水鏡よりも上だ、それでも本人は水鏡に付いていくと言っているので実質はやはり水鏡なのだが。
そして水鏡が最も信頼を置く隊員の一人で、幼なじみでもある。
「楽しまなきゃだ!水鏡も楽しめよ!」
制止の命を解けば今にも飛び出していきそうな感じである。だがまだ解かない。
水鏡と彰には秘策がある、だがまだだ、まだ出来ない。だからこそ飛び出さないし、いつでも飛び出せるようにしている。
そしてその時が来て二人は一気に駆け抜けた。
『覇光』の勝利の秘訣はなんといっても圧倒的な力を覆す先手の特攻だ。
彰が先陣を切り『海原』により前方超広範囲に薄い水の膜を張り巡らせ、水鏡がその中を『雷人』を発動したまま突き抜ける。水に電気が走り、その水に触れているもの全てを焦がしていく。
一閃がこの混合技につけた名は、
「『電龍』――――――すまないな、五千程度では少しばかり少ないだろ?」
水鏡は立ち止まりあたりを見渡した、五千はすでに半分以上削られているようだった。
水鏡に近づく者は悉く『電龍』にあたり焼けこげていった。
不意に後ろから声が響く、
「何をやっているの?水を避けて前進しなさい、ここは私が引き受けますから」
「行かせはしない、全員をここでくい止める」
「出来るかしら?あなたごときの『才気』で・・・・・?」
「そのごとき・・・・・試してみるか?」
水鏡は振り向くと同時に前進に雷を纏った。
そして炎の常識を覆した蒼い炎をみた。
「名乗りをしましょうか・・・・・未練は残したくないでしょう?それに、変な敗因なんてつけられたくないし」
名乗り、それはこの世界において誇り高く戦うことを指す。
一方が名乗ればもう一方も名乗る義務を負う。
そしてその戦いはどちらかが死ぬ、もしくは第三者が止めるまで続けられる。
「・・・・・先に名乗ったらどうだ?それとも怖いのか?」
水鏡は相手と対峙する、それはまるで見たこともない怪物を前にしたような感覚だった。だから出来るだけ虚勢を張った。
圧倒的な戦闘経験、一騎打ちの数々、そしてその者の狂気が目に見えるようだ。
「いいのかしら?では言おうかな・・・・・」
女は一拍置き、水鏡をにらみつけた、その瞬間水鏡の体を寒気が襲いかかった。
「私の名は幸崎 未亜、『蒼炎』を宿す炎の子!!『蒼炎の破壊神』と呼ばれる者である!!」
「!?『蒼炎の破壊神』だと!偵察程度にお前を!?」
「さぁ、私が名乗ったんだ・・・・・君も名乗らないといけないよ」
水鏡は歯ぎしりをして、
「大空 水鏡、『雷人』を宿す雷の子・・・・・名乗ったからには、全力でいかせていただく!!」
水鏡の体から超高電圧の雷が漏れ出る、未亜はその手に蒼炎の剣を握っていた。
「綺麗な技だね、神様みたいだ、それに相性が良い、炎と雷・・・・・実に相性が良い」
未亜は不敵に笑い剣を振るう、水鏡はその瞬間、包み込んでいる雷に超電流を付加した。
「その雷に触れれば死ぬぜ!良い相性だなぁ!おい!」
剣が雷に当たる、その部分から雷が消えた。
「触れれば・・・ね」
未亜は笑う、水鏡を見下すように、
「知ってたかい?炎は雷を通すんだよ、言ったでしょ、相性が良いって」
水鏡は後方に飛び下がり、未亜との間合いを取った。
恐怖から息切れしている、
「君程度の人で光の子の完全予知が防がれるとは思わない、いるんでしょう?強いヤツが・・・・・早く連れてきなさいよ、その後殺してあげるから」
未亜が一歩前に出る、それに合わせて水鏡は一歩後ろに下がる、
「もしかして君がこの隊のボスかい?よほど人員に困っていると見える、何故『悪魔の正義』に降らない?」
「決まってるだろ・・・・・!俺達のボスが降らないからだよ!俺達は全員ボスの意見を尊重するんだ!!」
「・・・・・仕方ないね、じゃあ君の命・・・・・」
未亜の手から蒼い炎が噴き出てくる、その炎はしだいに形をともない、その形は斧だった。
「取らせて貰うよ!!」
未亜は一瞬で間合いを詰めた。
そしてため息をつき、
「失望だよ、もうちょっと強い人を期待したんだけどな・・・・・でもまぁ私が相手だから仕方のないことだけどね・・・・・」
斧が振り下ろされた。
ドゴオオォォォオオオオ・・・・ン!!!
振り下ろされた斧は、地を砕き、捲り上げた。だがそこに水鏡の死体は無い。
「仲介です、名乗り合ったのなら、それで止まるでしょう?本当は雑魚同士の戦いなんて見るだけにしようと思っていたのだけれど・・・・・」
声は未亜の後ろから聞こえる。
「誰だ!?」
未亜は振り返った。
ソコには白銀の髪に白銀の肌、淡いブルーの目を持った女が立っていた。
その手には気絶した水鏡が抱えられている。
「名乗りません、あなた程度では相手にならないから・・・・・無駄な殺しはもう止めたの」
「・・・・・『蒼炎の破壊神』のあたしが相手にならない?試してみるかしら・・・・・その威勢吹き飛ばしてあげるわ!」
未亜は一気に間合いを詰める、しかしその女はすでに未亜の後ろに回り込んでいた。
「あなたはブルーラインのMAXでしょう?あなたが私に勝てる確立は一に満たないわ」
「くっ!・・・・・あなたのラインは?それくらいいいでしょう?」
女は少し考えたあと、
「そうね、じゃあ教えてあげる、私のラインは・・・・・」
「ブラックライン、未知の力と勝手に言われていますが実際は違う、その実体は最強最古の絶対的な力の人々、そして未来永劫に消えることのない人々、世界組織は把握はしていない、ただ文献に記されているだけの引用、私達の強さはレッドラインと呼ばれる者どもの比ではない、もう一度言いますが、
その脆弱な力で本当に私に牙を向ける気ですか?」
女は未亜を睨み付けた、たぶん普通に立っているだけなのだろうが、その体から出る殺気は未亜の首に刃物を突きつけているようだった。
未亜はあまりの恐怖にへたり込む、が最後の力を振り絞り、
「あ、なたは・・『地獄の使者』の人ですか?」
「いいえ、たまたま通りかかった者ですよ、人が目の前で死ぬのは嫌になっているのし、ここで借りを一つ作っておこうと思いましてね、フフフ」
女はそう言った後、水鏡を置き、歩き去っていった。
未亜はその背中に薄れゆく視界の中はっきりとみた。
『八皇』、昔、最も大きな組織でありとあらゆる組織を壊滅させ、世界を唯一統率した組織の名だ。
そして最も驚くべきはその構成員の数、彼等はたった八人でそれを成し遂げたのだ。
その強さが滅んだ理由は未だに解明出来てはいない。
あの時何があったのか、何がどうしたのか知るものは少ないだろう。
ちょっとだけ感想が欲しかったりします;
そしてどんどん作っていきたいとおもいます!!
お楽しみに〜〜^^・・・・・・?