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   :帰ってきた安らぎの風の法度、優しい雷の覇者

おぉ・・・・なんかめちゃくちゃ強くなっているような感じがw

僕のことながら少々呆れてしまいそうですw


まぁ何はともあれ面白そうな雰囲気にきた感じがしますw

これからもよろしくね~♪




また来てくださった方ありがとうございます!

はじめての方はこれからもよろしく!

みんな、楽しんでくれれば幸いです^^

【俺は一体何をしているのだろうか・・・・・俺はこの先ずっと、一閃の下で戦うつもりだったんだがな・・・】

水鏡は『覇光』に与えられた『紡ぎの糸』の部屋にいた。

ここには何もない、すべて自分で用意しなければならない。

だが今の水鏡には何も出来ず、唯、そこにいることしか出来ない。

「俺は・・・・間違っていたのか?」

いやそれはない、自分の問いにすぐ否定する。

「俺はちゃんとやっていた、そして向こうが先に破ったんだ、俺はそれで解放されたんだ・・・」

だがそれでいいのか、不安になる。

まさか自分は間違っているのではないのかと。

「間違ってないんだ、俺は・・・・間違ってなんか・・・」

でも何かが引っかかる、それに加えてこの空虚な感じはなんなんだろう。

ドゴッ、突然部屋の壁がぶち破られた。

「頭は冷めたか?」

彰はそこから水鏡を見下していた、隣には冥がいた。

「彰・・・か」

「今度は本気で殺すぞ、水鏡・・・俺はお前がここで分かったことを俺にぶつけて見ろ!!」

水があふれ出し、部屋を満たす。

水鏡はそれに飲まれる、抵抗はしない。

息が出来ない、死ぬかもしれない、それでも、水鏡は何もしなかった。

でも、ボンヤリとした意識の中で生きている。

「俺の・・・今までの・・・あの組織での動きに何か意味があったのか・・・」

ボンヤリ、はっきりした答えは出てこない。

『覇光』、外部組織にその名を轟かせ、警護と防衛、たまに秩序の役割さえもしてみせた組織。

「水鏡、お前はなんであの組織にいたんだ?」

そうだ、俺はなんのために・・・。

「ただ、一閃に負けたから入ったのか?」

初めはそうだったはずだ、俺はこれでも一組織の隊長を務めた男だから。

だが、違う、それだけではない。

「そう言うのであればお前は俺には勝てない、どうあがいてもお前はそのままそこに這い蹲るだけだ!!」

あぁ、俺はそれで終わってしまうのだろうか・・・・。


ガハッ!

口から血を吐く。

目の前が霞み始めている、だが、ここで倒れるわけにはいかない。

周りにいる黒づくめの奴らの一人が告げる。

「もう諦めてください翔汰様、これ以上はあなたが不利です、それにどれだけ頑張っても昴様は必ず・・・」

「・・・・あぁ?させねぇつってるだろが!」

会話を終え、また渾身の力でもって風を繰り出す。

「あきらめが悪いですね」

冷ややかな声が耳元で囁かれる。

いつの間にか一人の黒づくめが翔汰の背後に立ち、剣を喉に突きつけていた。

動けない、翔汰はそのままの状態で固定されてしまう。

さらにもう一人のくろづくめが何かを運んできた、翔汰にはもうソレがなんなのかわからない。

「それでは『闇の影』昴様の処刑を開始します」

残酷に告げられた事を耳にすら入れていない翔汰であった。


「角理、よく眠れたか?」

「おかげさまでね、それと情報よ、『八皇』はある組織からの攻撃を受けて散り散りに逃げてます」

角理はめんどくさそうにソレを告げて手を前に出す。

一閃はそれをなんのことかと見る。

「・・・私の荷物返してください、それからこの爆弾を外して!」

今度はもう一方の、話すと爆発すると言われたものを持っている手を突き出す。

「あぁ、それか、離して良いぞ、それ偽物だからな」

「え?」

角理がそれを離すが何も起こらずに、ソレは地面を転がる。

角理はしばらくソレを眺めてから、ハッと目を見開き、一閃を睨み付ける。

「まさか、騙されるヤツがいたとわな~」

ソレを拾い、カバンにしまう一閃。

そして半歩後ろに下がる。

その眼前を角理の精一杯の力を込めたパンチが通り過ぎる。

「騙したな!!!一閃!!」

通り過ぎた拳を受け止め、力任せに宙を介し、地面に叩きつける。

メキッと痛々しい音が聞こえるが気にしない。

「騙される方が悪いんだ、さっさと行くぞ」

そのまま角理の荷物を置いて歩き始める。

「何を寝ている、さっさと行くぞ、今度は適度に大きめな酒場などに行くぞ」

「あの・・・手伝ったりは、してくれないのですか?」

「・・・・・お前、そこに好きでねてるんだろう?」

「・・・・・はい、わかりました、自分で頑張ります・・・覚えてろよ!」

角理は弱々しく立ち上がって一閃の後に付いていく。

ちょうど隣になったくらいで、一閃は立ち止まった。

「あ・・・・・・・こりゃあぶないな、ちょっと頭下げとけ、角理」

唐突に角理の頭をわしづかみにしてじめんにたたき伏せる。

「ぐっ・・・・二回目・・・・!」

そんな呟きが聞こえたか聞こえなかったというくらいに轟々と氷の柱が立ち貫いてくる。

その爆音の中で可憐な声が響く。

「よく気付いたわね、一閃、その子は・・・あなたの新しい恋人かしら?」

目の前に白銀の髪、淡い蒼の瞳をした華鈴が仁王立ちしていた。

一閃は華鈴を睨み付ける。

華鈴はそれにマッタク動じることなく、いや、ふるえを手だけに抑えて、立っていた。

「一閃、話し合いましょう、戦いでは解決しないこともあるわよ」

「てめぇと話すことなどない」

一閃は次の言葉を待たずに、手に炎を宿し、ソレを振るう。

辺りは一瞬にして炎に包まれてしまった。


俺は、結局は何がしたかったんだ・・・。

一閃に敗北し、全てを無くして一閃に仕えた・・・、それは何故か?

「俺は・・・」

手に力を篭めた。

自分を証明するものなど簡単なものでいい、簡単ですぐに説明が付くもの。

「俺は・・・・俺は!一閃を支える!そして、自分自身を一閃のために掲げるんだ!!」

それは『覇光』を任された者の義務で有り責任。

水鏡の『雷人』はそこで進化する。

雷が自身を纏い、そして雷と人が半分融合する。

そこは脚。

「雷速蹴り」

雷のスピードのまま放たれた蹴りは簡単に彰を捕らえる。

まともにくらった彰は、軽々と遠くまで飛ぶ。

そしてワクワクとした顔で言う。

「そうだ!水鏡、お前はそうでないといけない!それがお前だ!『地獄の使者』の大空 水鏡だ!!」

両手を上にあげ、莫大な量の水を収束させる。

それをすべて無理矢理凝縮させ、槍状にして水鏡に放つ。

水鏡はその脚で以てそれを蹴り返そうとするが、蹴りが当たった瞬間破裂、水が散弾のように奔り抜ける。

「っく・・・・!!」

咄嗟に顔を庇った腕に水が大量の矢の如く当たってゆく。

「だが、まだだ!そんなものでわ無いはずだ!一閃を、そんな脆弱な力で支えられると思うなよ!!」

その槍を数本、いや、崩れれば何億ともなる様なばかでかい水の槍を片手に彰は顔を綻ばせる。

「これは俺の最大の攻撃だ・・・水鏡、お前なら是を破って見せてくれるだろう」

大きく上体を後ろに反らせ、手にありったけの力を篭める。

水鏡が雷速で後ろにさがったのと同時に初動だけの腕と腕以外で無理矢理大槍が放たれた。

そして、一瞬にして空気抵抗をくらい分散していく。

彰は、ソレを放ち、様子をみるが、

「水鏡、お前は何で前に出なかったんだ、いくら雷速とあれ、この数億に匹敵する水槍を防ぐことや避けることが出来るわけないだろうに」

その時水鏡の顔が不敵に綻んだかと思えば、急停止し、あろうことか前にでた。

それもかなり無理をしているかのような速度、それに加えて手を広げ空気を巻き込んでいく。

「ハッ!!!!」

水鏡はまたも、そしてあろう事か急停止して、身を捻りながら渾身の蹴りを放った。

結果雷速の蹴りと巻き込まれた風、それに加え少しの帯電した大気は、轟々とならしながら数億の槍を消し飛ばした。

彰はそれを呆然と見つめるしか出来なかった。

自分の一番の攻撃を防がれたどころか、打ち負けてしまったからである。

「彰!!」

声を呼ばれる。

「俺は『地獄の使者』に戻るぞ!」

待っていた言葉、そして此処で彰はこの男には逆らいたくなかった理由を知った。

この男は・・・・自分よりも脆く、そして、自分よりも遥かに強かったのだった。

「お前も来いよ!」

自然と顔が綻んだ、これは『あの場所』に居たときには無かった、自然な笑顔。

「あぁ、どこまでもついてくぜ水鏡、俺はお前の部下だからな」

ソコには戦った二人と、大勢の『覇光』の構成員、そして、最も遠くに微かに風を纏った冥が立っているのだった。

『地獄の使者』の威光を広める為の優しい雷は新たな進化を遂げてこの瞬間、戻ってきた。


「翔汰!聞いて!お願い!翔汰!」

【誰かが俺を呼んでいるのか・・・フンッ、かまうものか、所詮はここで死ぬ、聞いた所で意味は無い】

翔汰は完全に手足を封じ込められた状態で顔すら上げない。

目の前ではいかにも殺す為の道具がそろい踏みしており、翔汰はそれを眺めていた。

【あの鎌がいいかな、殺されるなら・・・】

布の様なものが目の前をちらついてもそれにたいする興味は湧かない、ただ漠然と何かが通ったと思うくらいだ。

【首だな・・・やはり首を落とされるのが一番良い】

そう考えるだけで首の辺りがちくちくとしてきたが、翔汰はそんなこと気にしない。

「翔汰!ねぇ翔汰!!聞いてるの!?翔汰ってば!!」

【五月蠅いな、最後くらい静かにさせてくれないのか?俺はもう覚悟が決まったんだ】

ふと翔汰は何かに引っかかった。

【何故覚悟が決まったんだ?】

大したことはない、自分が覚悟が決まったと言えば決まった事になる。

だが、それでも翔汰は不自然な感覚がぬぐえなかった。

【俺は何故此処に居る・・・俺は殺されるためだけにここに居たのか?】

ちょっと前の記憶さえ飛んでしまった、もう何も考えれそうになかった、でも、翔汰は何故か考えてしまった。

「翔汰!翔汰!」

【俺を呼んでるこの声はなんだ?・・・顔を上げれば見れるだろう、だが顔が上がらない、どんなに頑張っても顔があがらない】

上げようとするたびにちょこっとだけ顔が揺れるだけだった。

【だが、懐かしい様な、嬉しくさせてくれる様な、心が落ち着くような声だな・・・一度でいいから顔が見てみたいものだ】

今度はさっきまでの呼びかけとは違う、明らかな怒声が頭に響いた。

「翔汰!!!」

そのあまりの大きさに、反射的に顔を持ち上げることが出来た。

ソコにいたのは天使の様に綺麗な女性だった。

「ぁ・・・・・ぁぁ・・・・・・」

声は出ない、かろうじて口の間から音が漏れる。

そんなことはお構いなし、自分も捕まえられてるにもかかわらずその女性はぐいぐいと顔を近づけてきた。

「翔汰聞いてる?聞いてるなら目を閉じて」

翔汰は目を閉じる。

安心したような気配が瞼越しに伝わってくる。

そして優しく告げられた。

「翔汰、伝言、一閃様から・・・・許す、お前達はもう自由だ」

意味が分からなかった、今の翔汰には一人でこれを理解することは出来ない。

だが、そこにはもう一人、いた。

「翔汰、思い出して、私達の記憶を、優しかった、翔汰を、そして、荒れていた時の、翔汰も・・・」


初めは『悪魔の正義』に所属していた。

そこで三狂として畏れられていた。

誰かに出会い、同時に誰かを好きになった。

『悪魔の正義』は抜けて別の組織に入った。

まだ名を広がっていない組織だった、だがそこには快い空間と仲間がいたはずだ、そして、彼女もそこにいた。

彼女の危機を誰かに聞き、彼女を守る為に何かをした。

彼女は反対したが、おれは無理矢理押し切った。

約束は・・・これは覚えている。

「許すと言うまで、お前達は結ばれてはいけない」

それが、その、誰かとの約束だった。

俺はそれきり、ずっとソレを守ってきた、そして破る気はさらさらなかった。

そして・・・。

【そうだ、ここで何かがあったんだ、思い出せ、過去もひっくるめて全てを・・・】

そうだ、約束は破られた。

思い浮かぶのは目の前にいた女性の名前、そして破った本人の名前。

【昴・・・一閃・・・・】

昴は俺が約束を守るたびに嫌になったように可愛らしく怒った。

俺はそれが見るのが嫌だった、でも、昴の存在が近くにあるだけで嬉しかった。

【俺は昴を、守りたい・・・そうだ、俺は昴を守る、守らなきゃいけないんだ!】


翔汰はそこで考えるのを止め、カッと目を開く、目の前には昴と、黒装束の者ども。

見えないのは拘束された自分と背後に居る多分黒装束の者ども。

体は動かなくなっている。

だが、そんなことあり得るわけがなかった。

「精神の束縛か、『闇の影』の特殊能力だったな」

また目を閉じて精神を収束していく。

「だが、俺にはもう、それは通用しねぇな、俺も一応その訓練受けてるからなぁ・・・」

そう、誰かの代わりとして受けた、今目の前に居る女性を守るために。

また目を開き、一気に風を吹き付け黒装束に限り吹き飛ばした。

目の前には服を剥がれた女性、昴がへたり込んでいる。

翔汰はそれに自分の来ていた上着をかける。

「昴、ちょっと待ってろ、今片づけてやる」

次に昴に攻撃されないように全員に対して威圧をふりまける、そう、『まき散らす存在感』。

それに加えて、一人一人、個々に向けての殺意、『まっすぐな殺意』。

それがそろった時、翔汰の、『暴風』は真なる力を解放した。

「烈風刃!!」

いつもは大きなひとつの風の刃が飛び出るだけなのだが、今回は違う。

今回は、大きな風の刃が幾重にも重なり、あたりに飛び回る。

黒装束の半分は片づいた。

残りの者どもは、自分の『才気』を使い精神崩壊をもくろんでいるようで、何回かからだが止まろうとしてしまう。

だが、翔汰はそのたびに昴の顔をみてそれにうち勝った。

翔汰の頭の上に莫大な風の塊が収束する。

ソレを無理矢理に押し込め、それの周りにまた空気を纏わせ、また押し込める。

そしてできあがったのは明らかに重そうな外見を伴った空気の球体。

すでに轟々という音すらも聞こえない。

「死ね」

ソレを割る。

渾身の力でもってその塊を粉砕した。

中身が暴走して、風が荒れ狂う、もちろん、発動した本人と、昴も例外なく襲いかかってくる。

翔汰は昴を抱いてじっと脚を踏ん張る。

やがて風は止み、あたりに静粛がおとずれる。

その中心に二人はいた。

「昴・・・・お前のことが大好きだ、だから、俺は俺のけじめをつけてくる、でもな、今度こそ・・・」

「分かってるわ翔汰、気持ちいいベッドでも用意して待ってるわよ・・・・行ってらっしゃい!」

翔汰は軽く微笑み、昴の頭をぐしゃぐしゃと撫でた後、奔り始めた。

今度は暗く重い声ではなく、明るく尊敬の念を込めた声で、

「いいい~~~~~~~~~~~~~~せえええええええんんんん!!!!!!!!!!」

咆哮高らかなそれは遠く空の彼方まで響きそうだった。

そしてこの瞬間、『地獄の使者』に安らぎを与える風、法の番人が戻ってきた。

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